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オペレーション・メテオは、アニメ『新機動戦記ガンダムW』の中に登場する作戦名。作品全体を一貫する重要なキーワードである。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] 概要
- オペレーション・メテオは、地球圏統一連合の支配に反目する、一部のコロニー居住者による地下組織(名称は未だ確認されていない)によって行われた作戦である。流星に偽装した新兵器(ガンダニュウム合金製のMSガンダム)をパイロットと共に地球に降下させ、統一連合およびその中に姿を隠す秘密組織OZに対して、破壊活動を行うことが目的であった。しかしこの作戦は事前に「M作戦」の名で連合及びOZに察知されていた。このため工作員の一人ヒイロ・ユイの乗機は地球への降下中に、ゼクス・マーキス搭乗のOZの攻撃輸送機との遭遇戦で墜落、その後リリーナ・ドーリアンと出会うこととなる。そして互いを知らぬまま地球に降下した他の工作員たち…デュオ・マックスウェル、トロワ・バートン、カトル・ラバーバ・ウィナー、張五飛も、ガンダムパイロット同士や様々な人間と出会い、時代を動かしていくこととなる。
- 5機のガンダムとそのパイロットの突出した能力による破壊活動は、戦術的にはOZに大きなダメージを与え、ガンダムの威力を連合やOZの間に轟かせた。しかし組織力の違いは明らかで、徐々に彼らは追い詰められていく。情報戦に長けたOZは彼らを逆に泳がせ、偽情報を流し連合内の軍縮論者達を一掃させ、自分達の連合に対するクーデター「オペレーション・デイブレイク」の手駒として利用する。またOZにコロニーを盾に取られた時、彼らガンダムパイロット達は成す術もなく退き下がるしかなく、特にガンダムは渡せないというコロニーの意思に従ったヒイロは、乗機を自爆させるに至った。
- 後にトロワが語ったように「感情の激しい一部の者達の行動」、すなわちテロリズムであるオペレーション・メテオは、最初から戦略的に敗北する運命にあったといえる。またコロニー全体を戦争に巻き込まぬように、あくまで一部の者達の暴走という建前であったため、宇宙に進出するOZと手を結んだコロニー政府は、ガンダムパイロット達を切り捨て、抹殺対象とした。更にコロニーは、ヒイロたちの願いとは裏腹に軍備増強と戦争の道へと走り、時代の流れはヒイロたちにとって逆境となっていく。そうした流れを受け入れられず、過酷な状況に直面したカトルは、全てを破壊したいという想いに囚われたが、トロワの命を賭けた行動によってそこから抜け出し、「パイロット独りが暴走しても何も変わらない」という事に気づいていく。
- やがて軍備を拡大したOZ宇宙軍の中に潜んでいた反地球のコロニー組織が蜂起し、「ホワイトファング」としてその司令官となったミリアルド・ピースクラフト(ゼクス)のもと、”真の”オペレーション・メテオを起こそうとする。AC(アフターコロニー)195年に実行されるはずだった実際のオペレーション・メテオとは、大型のコロニー(x-18999)を地球に落下させ、これによって混乱した地球を5機のガンダムで制圧するというものであった。
- しかし、ガンダムを設計したドクターJをはじめとする5人の科学者はそれに反対して指令内容を変更する。
- コロニー落としという行為に納得出来なかったヒイロ。
- 少年時代を過ごしたV08744コロニーを地球に落としたくなかったデュオ。
- 本物のパイロットが殺される現場に居合わせ、罪の呵責に苦しむパイロットを殺した男に同情してそのパイロットの名を名乗ってガンダムに乗り込んだトロワ。
- H教授の配慮でオペレーション・メテオの全容を知らされていなかったカトル。
- そして、亡き妻・妹蘭がお気に入りにしていた花畑を失いたくなかった五飛。
- 彼らはそれぞれの理由から「大量虐殺の英雄」となる事を拒否し、作中のような内容の作戦となったのである。真のオペレーション・メテオを推進するカーンズは、科学者が指令内容を変更しなければ「人類の覚醒」(地球を半分死の星にして人々を宇宙に上げ、また戦争の悲惨さを刻み付けて、二度と戦争を引き起こさない人類にするという、ゼクスの考えのことと思われる)がもっと早く起きていたと言うが、「人類をもう少し買いかぶっている」科学者達は再びその作戦の邪魔をし、地球に落下する巨大戦艦リーブラの軌道を変える。そして様々な流れを経て、時代全体を見極められるようになった5人のガンダムパイロット達も、地球と宇宙の戦乱に終止符を打つ役割を担うようになり、最後のリーブラの破片を射つヒイロの一撃が、戦争の歴史に一旦の幕を引く。
- その一年後、コロニー組織の黒幕であったバートン一族が地球圏支配を狙って「真の」オペレーション・メテオを再び画策。これを阻止するため、ある1人を除いた4人のガンダムパイロット達は再び動く。まずカトルが、先の戦いの終結後、太陽に向けて飛ばすことで廃棄予定であったガンダムの封印を解き、ウイングガンダムゼロのみを射出してもらう事でそれを受け取ったヒイロが地球に向かうが、その前に同じガンダムパイロットの五飛が「ナタク」で立ちはだかる。5人の中で唯一マリーメイア軍阻止に動かず、逆にマリーメイア側についた五飛は、一年前にあれほどの戦火を体験したにもかかわらず、何も変わらない人々に業を煮やし、自らもトレーズとの決着と、戦いそのものへのこだわりから抜け出せないでいた。
- 次いでガンダムを取り戻したトロワたちは、「オペレーション・メテオはこうあるべき」と、地球に降下しマリーメイア軍の大部隊に挑む。ゼクスとノイン、デュオ、トロワ、カトルはマリーメイア軍の圧倒的な物量を前にしながら、以前と異なりパイロットを殺さないという困難な戦いに挑み、結果徐々に追い詰められていく。そこに到着したヒイロは、半壊した機体に一斉攻撃を受け続けながら、ひたすらマリーメイア軍の指令部をツインバスターライフルで撃ち続ける。負け続けながらも、真っ向から戦う彼らの姿勢に打たれた人々は、自ら立ち上がり平和を望む声を上げる。それを見た五飛は、平和は武器を持たず立ち上がることによって勝ち取るものだと、自らのこだわりにピリオドを打つ。そしてヒイロは、バートンに傀儡として祭り上げられていたマリーメイア・クシュリナーダを弾の無い銃の引き金を引いて「殺し」、表舞台から降ろすことで、地球圏における戦争の歴史に真の幕を引いた。
[編集] オペレーション・メテオMS
[編集] 関連項目