ゼクス・マーキス
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ゼクス・マーキス(Zechs Merquise)は、アニメ『新機動戦記ガンダムW』の登場人物(声優:子安武人)。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
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[編集] 人物
秘密組織OZ /スペシャルズに属する仮面を纏った士官。階級は本編開始時点で上級特尉。北欧系男性。初登場はTVシリーズ第1話。
本名はミリアルド・ピースクラフトで、完全平和主義を唱えた王国サンクキングダムの王子である。しかし王国は地球圏統一連合に滅ぼされ、ミリアルドは復讐のため仮面を被り名を変えて連合の中に入り込む。やがてOZの中で頭角を現していき、ライトニング・バロン(閃光の男爵)、後には二級特佐に昇進しライトニング・カウント(伯爵)の異名で敵味方から恐れられるパイロットとなる。
実の妹はリリーナ・ドーリアン(旧姓リリーナ・ピースクラフト)。ピースクラフト王家の血筋らしい美貌を持つが、闘争心の強い性格でもあり、かつての執事パーガンが語った過去のエピソードからわかるように、相手にハンデをもたれることを嫌う。またトレーズ・クシュリナーダは早くから彼の正体を見抜いており、彼を有能な部下として評価しつつ動向に関心を寄せていた。
シリーズ前半では、騎士道[1]と、合理的・能率的に破壊と殺戮を実行する近代的兵士のプロフェッショナリティの狭間で葛藤する姿が多くみられた。
そのMS操縦技術は五人のガンダムパイロットと同等で、彼らとは幾度も干戈を交える。ヒイロとの初戦では機体性能では劣るリーオーを巧みに操り、ガンダムの動きを封じ込めた。常人では発するGによって命にも関わるトールギスを、最初は苦しみながらも短期間で御し、後にはトールギスの運動性のほうがゼクスの反応速度に追いつかなくなるなど、肉体の強靭さや反射神経などパイロットに要求される能力については、ヒイロ達のような特殊な訓練を受けた者にも劣らず高度なものを持つ。
しかし、OZへの裏切り行為を働いたという理由で、ロームフェラ財団が差し向けた70機ものMS部隊に正面から挑んだり、ピースミリオンに所属してからも、トールギス一機で、これも真っ向から、OZのモビルドール部隊を幾度も襲撃するなど、無軌道とも言える戦闘を行う傾向がある。
主人公であるヒイロ・ユイとは、良きライバルとして幾度も交戦し、互いに苦心しながらもゼロシステムを使いこなすようになる。また、単独での活動を前提とするゲリラ兵として教育されてきたガンダムパイロットの面々と異なり、正規の訓練を受けた軍人である為、戦略眼はガンダムパイロットより優秀であるとされる[2]。
一部では、おそらくやっかみなどから、「部下殺し」という不名誉なふたつ名を陰で口にする者もいたが、王族という出自から来るカリスマ性、部下に対しては明朗な気さくさも持ち合わせていたことから、OZ内でゼクスに信望を寄せるものは多かった。士官学校の同期であったルクレツィア・ノインとは、恋人同士ともいえない微妙な友情を抱き合う関係だったが、強い信頼感を互いに対して内に秘めていた。
作中では次第に立場を違えて敵同士となり、ノインはゼクスの考えをすぐには理解できず悩む。一方ゼクスは、立ち塞がるノインを倒せないことを、理想を貫ききれない弱さであると感じ、自分自身の甘さをなじる。しかし最終的には和解し、せめて傍でその戦いを見届けたいと言うノインに、ゼクスは「好きにするがいい」とそれを許す。
その一年後のマリーメイア軍との戦いでも、数百機のサーペントにノインと共に挑み、窮地に陥るが、その中で自分の無茶な戦いにつき合う必要は無いと言うゼクスに、ノインは「一年前、ずっと傍にいると言ったはず」と互いの背中を守り合った。その乱が終結した後、火星へのテラフォーミング事業にゼクスとノインは向かうが、「こんな私につき合う事は……」というゼクスに、ノインは「何度も同じ事を言わせないでください」と釘を刺すなど、その絆は強いようである。
名前の由来はドイツ語の6 (sechs ゼクス)、および英語の侯爵 (Merquise マーキス)であるが、TVシリーズ本編開始時点での彼の爵位は上記の通り男爵 (Baron バロン)である。ヒイロ達、5人のガンダムパイロットが1~5の数字に由来する名前であるように、ゼクスが「6」の数字を名前に持つのはゼクスがもう一人のガンダムパイロット、引いてはもう一人の主人公であるということを示している。
機動戦士ガンダムのシャア・アズナブル(キャスバル・レム・ダイクン)のオマージュキャラであり、『ガンダムW』本編におけるゼクスの行動は「逆襲のシャア」までのシャアの行動と酷似している。そのため、ゲーム「スーパーロボット大戦シリーズ」等では(「逆襲のシャア」の)シャアの部下として行動する事が多い[3]。また、シャアのものと酷似した仮面を被っているため、アムロ・レイやシャア本人に仮面について言及される事がある。
初期設定ではニュータイプであり、コミックボンボン連載の漫画版にもゼクスがニュータイプであるというセリフが存在する。しかしその後、ガンダムWの世界観にはニュータイプを出さないことになり、TV版でニュータイプという単語が出ることは無かった。
[編集] 劇中の活躍
[編集] 新機動戦記ガンダムW EPISODE ZERO
本編から4年前、テロリストの鎮圧に赴いた際に、テロリストに人質に取られたリリーナと再会、救出する。しかし、この時は自らの素性を話す事無く自ら『星の王子様』とだけ名乗り、その場から立ち去る。
[編集] 新機動戦記ガンダムW
スペシャルズの部隊長で、地球に降下してきたウイングガンダムを迎撃するなどの功績を認められ、トレーズからは高い信頼を得ている。アニメ前半は主にトールギスを駆り、ガンダムパイロットと幾度も戦う。
OZを脱退後はハワードの助力を得て、トールギスで宇宙に上がり、サンクキングダム親善大使ミリアルド・ピースクラフトと名乗り、コロニーに和平と非武装化を説き続ける。しかし時代の流れを変えることが出来ず、また、戦場ではゼクス・マーキスとして仮面を被り2つの顔を使い分けることになる。
後にガンダムエピオンを駆り、ミリアルド・ピースクラフトと名乗りホワイトファングの指導者となる。人類に戦争の愚かさを見せ付けるため、戦争の根源である地球の存在を否定する。最終的にはヒイロ・ユイの乗るウイングガンダムゼロと一騎打ちを繰り広げるも敗退、リーブラの動力部の爆発の中にガンダムエピオンと共に消えた。
漫画版ではニュータイプ(TV版も初期設定ではミリアルドはNTだった)という設定があったが、本編で使われることなく没設定となったため、漫画版でも後半はそのことについて言及されることはなく、実際本編でもそのような描写はない。また、リーブラの破壊方法がTV版と異なる(エピオンを含めた6機のガンダムでツインバスターライフルを放つ)ため、行方不明になる事無くエピローグでトレーズの墓に訪れている姿が描かれている。
[編集] 新機動戦記ガンダムW Endless Waltz
1年間行方不明になっていた(どのようにリーブラから脱出したのかは不明)が、マリーメイア軍が蜂起すると、レディ・アンの元に訪れ「プリベンター・ウインド」のコードネームを名乗り[4]、トレーズの形見となるトールギスIIIを駆り、マリーメイア軍と戦う。
マリーメイア軍の主戦力であるサーペント部隊の居場所を唯一見抜き、MO-IIIを強襲するが、真のオペレーション・メテオまでは見抜けず、X-18999コロニーを地球に落とすとデキムに宣告された上、サーペント部隊の地球降下を許してしまう。コロニーの安定後はトールギスIIIのメガキャノンでMO-Ⅲを破壊する(しかし、デキムはMO-Ⅲの爆破寸前に脱出したため取り逃がす)。
地球降下後はルクレツィア・ノインのトーラスと連携し、多数のサーペントを撃破。反乱終結後はノインと共に火星のテラフォーミングを行うために宇宙へ旅立っていった。
[編集] 主な搭乗機
- 新機動戦記ガンダムW
- OZ-06MS リーオー
- OZ-00MS トールギス
- XXXG-00W0 ウイングガンダムゼロ
- OZ-13MS ガンダムエピオン
- 新機動戦記ガンダムW Endless Waltz
- OZ-00MS2B トールギスIII
[編集] その他
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
- ^ 劇中で語られるその内実は、現実の騎士道と同一のものではなく、むしろ安土桃山時代以降に体系化された武士道及び江戸期に再定義された武道の観念と同様のものであると言える。
- ^ 『Endless Waltz』でデキム・バートンの企みをいち早く見抜き、MO-IIIを強襲出来たのはそのためであると、小説版では明かされている。
- ^ 『Endless Waltz』準拠である『第2次α』では、ゼクスは既にプリベンター・ウインドとなっており、シャアの部下になるのもその目的を調査するためである。そのため、この作品のみ途中で味方に戻る。
- ^ ちなみに、劇中では登場人物の誰もこのコードネームで呼ぶことはない。
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