アテネ・フランセ
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アテネ・フランセ は、東京都千代田区神田駿河台2-11にある外国語学校である。
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[編集] 沿革
アテネ・フランセは、1913年創立の言語の「各種学校(社団法人東京都専修学校各種学校協会 (TSK) に未加盟:社団法人全国外国語教育振興協会加盟)」で、現用言語 (langue vivante) を直接教授法で教授する著名な多言語の学校として、ベルリッツと比肩する多現用言語と古典語の言語学校(財団法人)である。
アテネ・フランセを創設したジョゼフ=コット (Joseph Cotte) は、往時、東京帝国大学講師で古典ギリシア語・ギリシア文学を教授していたフランス人で、病気で東京大学を退官した後、神田錦町の東京外国語学校に「高等フランス語」の教室を設立し、1913年1月から教授を開始。1914年、同校の私設の教授施設に「アテネ・フランセ」と命名。約3年のあいだ教室の移動を繰り返した後、1916年、神田神保町の中華料理店3階に開校。1922年、神田三崎町に新綜合校舎を建設した。当初よりフランス語・ギリシア語・ラテン語の授業を続け、1944年から11月間戦時閉校期間があったものの、戦時下でも自由教育を貫き、一時、文化学院内で授業を行った。1962年に現在の駿河台の新校舎を建設、文化学院内の仮設校舎から移動した。新校舎の設計は元在校生の建築家吉阪隆正の設計になる。
現在は、古典ギリシア語の基幹言語のほか、フランス語、英語(アメリカンイングリッシュが主体)、ラテン語が開講され、附属のアテネフランセ文化センターで「映画美学校」というフィルム映像の撮影技法と銀塩フィルムによる映像メディアの芸術学講座も開講されている。現在組織は創設者の没後「財団法人」として運営され、1949年から松本悦治(ギリシア語学者)が第二代の校長の職にある。
[編集] 年表
- 1913年1月21日 - 東京帝国大学講師ジョゼフ=コットが、東京外国語学校に「高等仏語 (Cours SUPERIEUR) 」の教室を設置しフランス語の講義を始める。
- 1922年 - 独立校舎となる。講師の充実により、古典ギリシア語・ラテン語・フランス語(初等科・中等予備科・中等科・高等科)開講。
- 1949年 - 創立者のジョセフ=コット死去。同氏の遺言により、財団法人化される。
- 1962年 - 現在の校舎新築。設計は吉阪隆正+U研究室。落成式に高松宮夫妻が臨席した。
[編集] 特色
アテネ・フランセの特色は、文化学院と類似した自由教育と、大学アグレジェ(教授資格者)のフランス人等の卓越した大学院並みの教授陣にある。また、元在校生には、文化人、作家、芸術家等々が「卒業」という最終段階まで在籍せずとも、フランス語のエキスパート(通詞・フランス文学者・学者)となったり、イギリス語の翻訳家になったり、関口存男等の日本の第一級の言語学者をも多数輩出させていることに特色があり、フランス語を主とするも、ギリシア語、ラテン語、英語等々の言語の専門家も含め、多数の言語に業績を残す多数の著名人・文化人・学者・作家がその門をくぐっており、『フランス語を習得するにはアテネ・フランセに通わなければならない』という不文律もフランス語界ではできている(例えば東京大学のフランス語の第1回目の講義でもこのように宣言されてきた)。またかつては、ギリシア語とラテン語の高等科の履修者について、奨学金制度もあり、ギリシア語・ラテン語学者をも数多く輩出させた実績も特筆に値する。なお近年、イギリス語についてはアメリカの大学の協力を得てTEFL (Teaching English as a Foreign Language) 教授法を導入し、多数のTEFL教授を招聘している。
また附属のアテネ・フランセ文化センターは、銀塩フィルム映像作品の名作を、独自の発明(特許公開平9-304836)の「字幕同時映像投影法」で作成された字幕付き映像で上映し、日本の映像文化に多大の貢献をしている。
[編集] 講師陣
- 校長松本悦治 日仏ギリシア・ローマ学会会長
- 教授安田悦子 日仏ギリシア・ローマ学会会員
- 講師大谷能生 映画美学校専任講師
[編集] 著名な受講生
- 近衛文麿(政治家)
- 西園寺公一(政治家)
- 堀田善衛(作家)
- 山本有三(作家)
- 佐藤春夫(作家)
- 吉屋信子(作家)
- 谷崎潤一郎(作家)
- 坂口安吾(作家)
- きだみのる(作家)
- 日影丈吉(作家)
- 今日泊亜蘭(作家)
- 中原中也(詩人)
- 竹久夢二(画家)
- 岡鹿之助(画家)
- 淡谷のり子(シャンソン歌手)
- 菊池真一(応用化学・写真化学者)
- 吉阪隆正(建築家)
- 辰野隆(フランス文学者)
- 山内義雄(フランス文学者)
- 福井芳男(フランス言語学・フランス文学者)
- 鈴木力衛(フランス文学者)
- 平林初之輔(フランス文学者)
- 篠沢秀夫(フランス文学者)
- 古谷佐世子(フランス文学者)
- 大木浩寧(古代ギリシア音楽学者)
- 南原繁(外交官・政治学者)
- 鈴木敦也(外交官・現代ギリシア文学者)
- 尾崎正延(経済学者)
- 森田伸子(編集者)
- 鳥羽みさを(無体財産権法学者)
- 前田護郎(言語学者)
- 関口存男(言語学者)
- 八木橋正雄(言語学者)
- 大橋巨泉(タレント、司会者、実業家、エッセイスト)