小田急2000形電車
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小田急2000形電車(おだきゅう2000がたでんしゃ)は、1995年(平成7年)3月4日に営業運転を開始した小田急電鉄の通勤形電車。
小田急2000形電車 | |
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小田急2000形電車 (2006年6月16日、新百合ヶ丘駅にて撮影) |
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編成 | 8両編成 |
起動加速度 | 3.3km/h/s |
営業最高速度 | 100km/h |
設計最高速度 | 120km/h |
減速度 | 4.0km/h/s(常用最大) |
車両定員 | 先頭車145(座席46)人 中間車158(座席54)人 |
全長 | 先頭車20,150mm 中間車20,000mm |
全幅 | 2,860mm |
全高 | 4,060または4,145mm |
軌間 | 1067mm |
電気方式 | 直流1,500V (架空電車線方式) |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 175kW |
歯車比 | 7.07 |
駆動装置 | WN平行カルダン |
台車 | モノリンク式ボルスタレス台車 SS-143・SS-043 |
制御装置 | 三菱電機製VVVFインバータ制御(IGBT素子)(3レベル) |
ブレーキ方式 | 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ |
保安装置 | OM-ATS |
製造メーカー | 日本車輌製造・川崎重工業・東急車輛製造 |
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目次 |
[編集] 概要
2600形の老朽取り替えを目的に、1000形を基本に改良した上で導入された。
1995年に8両編成2本(16両)、1998年(平成10年)に8両編成1本(8両)、2000年(平成12年)から2001年(平成13年)にかけて8両編成6本(48両)が製造され、8両編成の2600形を置き換えた。
車体は1000形と同じく ダルフィニッシュ(つや消し)仕上げの軽量ステンレス鋼製車体に、FRP製の前頭部を取り付けた構造である。前面は貫通式構造である。
外観デザインも1000形に近いが、正面ではスカートの形状や車両番号表記がステンレスの切り抜き文字であることなどが同系列と異なる。側面ではドアの大きさや側窓の大きさが異なる程度である。客用ドアの幅は1000形ワイドドア車の実績から1,600mmとしたが、運転席後部のドアのみ従来通り1,300mmである。また、小田急では初めて転落防止幌が設置された。
本形式は帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄)千代田線への乗り入れも考慮して製造された。このため車体幅は1000形と同一の2,860mmとされ、ATCを搭載し、中間車を挿入して10両化すれば同線への乗り入れが可能なように設計してある。また、前面への運行番号表示スペースの確保や後述する運転台にも対応準備がされている。
[編集] 車内内装
車内は「さわやかさと暖かみ」を目指し、化粧板は側・天井などピンク系の色調のものを採用している。床材は暗い緑色と灰色の2色であり、出入り口付近は滑り止めつきのものを使用した。客用ドアは車内側も化粧板仕上げであり、ドアガラスには複層ガラスが使用されている。
座席モケットは1人の掛け幅が440m幅のバケットシートであり、一般席は赤色、優先席は紫色系のものである。なお、座席定員はドア間が7人掛け、車端部は3人掛けである。
本系列より荷棚はパイプ式とした。両先頭車には車椅子スペースが設けられている。また、非常通報器は乗務員と相互通話可能な対話式のものを各車2台設置している。
側窓はドア間に2連窓があり、車端部にはない。いずれも開閉可能であり、初期タイプでは通常のガラスにロール式カーテン付きとしている。(3次車の車いすスペース部の側窓は固定窓)また、戸袋窓・妻面窓は設置している。
冷房装置は集約分散式の能力11,500kcal/hの装置を各車4台搭載する。また、オーバーヘッドヒーターが内蔵されている。天井には冷房用ダクト・吹出口があり、中央には補助送風機として先頭車9台・中間車10台ラインデリアが設けられている。
[編集] 乗務員室
乗務員室内は緑色の配色である。運転台計器盤は電気指令式ブレーキの採用によりデスクタイプの運転台とした。右側にはモニタ装置(三菱電機製)のモニター表示器が設置されている。この乗務員支援・検修機能などを持つ多機能モニタ装置の採用は小田急では本系列が初である。
主幹制御器はマスコン(1~4ノッチ)とブレーキ操作器(常用1~8段・非常)が別々のツーハンドル式である。なお、ブレーキ操作器は固定式である。
運転台は千代田線への乗り入れも視野に入れており、速度計は車内信号対応形、保安表示灯にはATC関連の表示も準備されている。
乗務員室仕切りは1000形と同じく客室から見て左から 運転台背面は壁、中央に仕切扉窓、右端に2段式の窓がある。遮光幕は仕切扉窓のみ設置されている。
[編集] 案内機器
また、車内にもLED式の車内案内表示器が千鳥配置されているほか、ドアチャイムも搭載している( ドアチャイム )。なお、1次車にはLED式案内表示器を配置していないところに路線図式の案内表示器が配置されているが、こちらは停車駅をランプで表示し、駅を発車した時点でランプが消える仕組みになっている。
車内放送装置には1000形8連で試験的に導入した自動放送装置を本格的に採用した。
[編集] 走行機器など
主回路制御は三菱電機製のVVVFインバータであるが、使用素子は小田急で初めてIGBTを採用した。磁励音は帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄)日比谷線用の03系や南北線用の9000系に搭載された三菱製IGBT-VVVFインバータに類似する。制御方式は1基のインバータで4個の主電動機を駆動する1C4M2群制御である。
補助電源装置には東芝製の200kVA出力のIGBT素子を使用した静止形インバータ(SIV)を採用した。
台車は小田急で初めてボルスタレス構造のモノリンク式空気ばね式を採用した。電動車はSS-143、制御車と付随車はSS-043である。
小田急の通勤車両で初めて電気指令式ブレーキが採用された。電気指令による遅れ込め制御も行う。8両編成のため他形式との連結する必要がないことから、電気連結器の搭載も省略されている。だが、1999年5月に多摩線にて他形式併結試験が行われた。
[編集] 諸元
また、小田急の通勤電車としては最初に全編成のパンタグラフを菱形のPT42形からシングルアーム式に交換した。
[編集] 1次車
1995年製造の2051F~2052Fが該当する。なお、2次車までの車いすスペースは連結面側の設置である。
[編集] 2次車
1998年製造の2053Fが該当する。車内表示器はLED式の千鳥配置のみに変更。また、通過標識灯を廃止した他、警笛の音色も変更された。
[編集] 3次車
2000年~2001年製造の2054F~2059Fが該当する。
空気圧縮機がレシプロ式からスクリュー式に変更された他、屋根上の冷房装置カバーに車外スピーカーが新設され、乗降促進チャイムを流すことが可能となった。車内設備では、7人がけシートにスタンションポールが設置された他、車いすスペースが乗務員室直後に移設された。座席前のつり革の高さを50mm低くしたほか、優先席前の荷棚とつり革は一般席よりもさらに低くした。側窓は濃い緑色のUVカットガラスを使用して遮光用カーテンを廃止した。
[編集] 編成
8両編成9本(72両)が在籍し、将来の10両化を見越した設計となっている。 登場以来運用が限定され、2004年12月11日以降は通常ダイヤでは各駅停車と区間準急にしか充当されなくなったため、女性専用車のステッカーも貼付されていない。
2008年現在、8両固定編成のため小田原線と多摩線の各駅停車と区間準急を中心に運用している。過去には一部の急行(主に早朝の新宿行や土曜・休日の急行小田原行片道1本など)や本厚木発着の準急でも運用していた。しかし、江ノ島線には基本的に入線しない。
[編集] 車内
[編集] その他
- 第4編成 (2054F) の電動機は、2000年に廃車になった2600形VVVFインバータ制御改造車 (2666F) から流用されたものである。
- 第9編成 (2059F) の電気警笛の音色は他の編成と異なる。
[編集] 歴史
[編集] 外部リンク
[編集] 関連項目
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