MG151
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データ | |
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名称 | MG151/20 |
全長 | 171.0cm |
重量 | 42.5kg |
口径 | 20mm×57 |
砲口初速 | 790~800メートル毎秒 |
発射速度 | 毎分780~800発 |
弾頭重量 | API 117g/HE 115g/HE(M) 92g |
装弾数 | ベルト給弾120~250発 |
機構 | クローズ・ボルト及びショートリコイル |
製造国 | ドイツ |
製造 | マウザー・ヴェルケ社 |
MG151は1940年にナチス政権下のドイツでマウザー(Mauser)社が開発、製造された機関銃。第二次世界大戦中、メッサーシュミットBf109(Me 109)やフォッケウルフ Fw190などドイツを代表する戦闘機だけでなく、爆撃機などドイツ空軍の航空機用機関銃の1つとして幅広く装備された。
目次 |
[編集] 名称
MGとはマシーネンゲヴェーア(Maschinengewehr)の略であり、機関銃を指すドイツ語である。地方によってはドイツ語も訛りや癖があることを留意する必要があるが、詳細はドイツ語を参照。
日本陸軍でいう機関砲にあたるが定義が異なり、ドイツでは MK と略されるマシーネンカノーネ(Maschinenkanone)が機関砲である。
なお、MG151(MG151/15とMG151/20)はプロペラ同調が可能、または容易に対応させることができるのでエンジンにマウントしたプロペラ軸内装備の場合は英語でモーターカノン、ドイツ語でモートルカノーネ(Motorkanone)に部類されるが、日本では単にプロペラ撃ちを避ける同調式構造を持っていればモーターカノンと呼んでいたという意見もある。
[編集] 経緯
ドイツはヴェルサイユ条約によってMG34と同じように、それまで航空機関銃も製造が禁止されていた。ラインメタル(Rheinmetall-Borsig)社はスイスから輸入したMG30を改良し、旋回機銃のMG15や固定機銃のMG17など7.92mm機関銃が生産され、主力戦闘機を想定していた初期型のBf 109には後者が搭載された。
スペイン内乱での実戦経験のノウハウにより火力の増強が図られ、エリコン(Oerlikon)社製の20mm FFS機関砲を至急購入したが、寸法が大きくDB601のシリンダーの間に納まらず、代わりにエリコンFFをもとに、給弾ドラムなどに改良を加えた20mm MG-FF機関銃がライセンス生産された。しかしBf 109E-2に試験的に搭載したところ、エンジンからの振動によるトラブルが多発、結局主翼に装備せざるをえない事や、初速や弾道性能などの評判がよくなかったことから、ラインメタル社とマウザー社のそれぞれに新型機銃が発注された。ラインメタル社は電気発火式(Electric Priming)によるプロペラ同調式の13mm MG131機関銃を開発した。
一方、マウザー社でMG151/20の元ともいえるMG151は15mm機関銃として開発された。これはより高威力を求めるドイツ空軍の要望を満たすため、小口径機関銃の高初速性能と大口径機関銃の火力を狙ったと思われる。初速が900m/sを突破するという驚異的数値を叩きだすが、15mmという中口径に見合わない重量と反動による航空機の機首強度、部品破損などが問題になったことから次期機関砲の開発が進められた。
そこで、開発されたのが20mm MG151/20機関銃だった。
[編集] 特徴
MG151/20はMG151/15と大差ない重量であるにも関わらずMG151/15の196cmというサイズよりも短く、フランスで開発されたイスパノ・スイザ HS.404機関砲の250cmと比較すると小さかった。そして、ドイツのオリジナルである大威力の炸裂弾である薄殻榴弾(英:high explosive mine shot/独:Minengeschoss)を搭載できる。HE(M)と表記される薄殻榴弾は、弾丸の製造に精密なプレス加工を要し、従来の榴弾と比べると炸薬比率が高いものだった。
MG151/15の後継とあって電気発火式も開発され、ダイムラー・ベンツ(Daimler-Benz)社製など倒立V型エンジンへのプロペラ軸搭載も考慮された。モーターカノンとして搭載した場合、プロペラ同調装置を必要とせず機首搭載による命中率の向上が期待できる他、強固なエンジンマウントに実装する事で発射反動を吸収でき、小柄な機体でも大口径機関砲を搭載し易く、重量物が機体中心に集中するので慣性モーメント増大を防ぎ運動性に影響を与え難い等の利点がある。だが、当初に計画された主力機であるBf 109の機首に搭載するには少々大きかった。それでも、ベルト給弾式のスマートで高威力な機関銃としてFw 190Aに翼内銃として搭載され、後にはBf 109でも主翼の両翼下のガンポッドに搭載されるなど装備されることとなった。以降、戦闘機から爆撃機まで幅広く従来の7.92mm機銃や、MG151とは名コンビとなる13mm MG131機関銃などと混載装備された。
また、当時の日本にも約40万発の弾薬と合わせ、「マウザー砲」として800丁輸入され、三式戦闘機 飛燕一型丙に搭載された。戦中、MG151/15を捕獲したアメリカがこのコピー生産を試みたのがロック・アイランドT59E1 60口径(15.2mm)機銃だが約350挺が製造されたものの精巧な機構を完全にコピー出来ず製造不良に悩まされ、結局は破棄するはめになった。当時の工業力世界一といわれたアメリカでさえ真似できなかった、鋼鉄の芸術品であったことを物語っている。日本は薄殻榴弾どころか機関砲のコピーすら成功しなかった。
実際のところは、メートル系公差付きで加工された部品をインチ系で完全に再現できないことが、この種のコピーが困難である大きな理由の一つとなっている。
[編集] 採用国
- ドイツ(Bf 110、Bf 109、Fw 190、Ta 152、Ar 234)
- イタリア(MC.205、Re.2001、G.55)
- 日本(三式戦闘機)
- ルーマニア(IAR-81C)
- ユーゴスラビア (S-49C)
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
Lone Sentry: German MG-151(英語)
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