C. elegans
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?Caenorhabditis elegans | ||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||
Caenorhabditis elegans |
Caenorhabditis elegans(C. elegans シー・エレガンス)は、線形動物門 双線綱 桿線虫亜綱 カンセンチュウ目 カンセンチュウ科に属する動物の一種。土壌に生息し細菌類を食べる。多くの線虫が他生物に寄生することが知られるが、大半の種は寄生せず(Politz and Philipp, 1992; Baldwin et al., 2004)、同種も非寄生性である。体長約1mmで透明な体をもつ。実験材料として非常に優れた性質をもつことから、様々な研究にモデル生物として広く利用されている。多細胞生物として最初に全ゲノム配列が解読された種でもある。
[編集] 生物学的特性
性染色体による性決定は XO 型である。XXの個体は雌雄同体になり、XOの個体は雄になる。雌雄同体は幼虫期に300個弱の精子を作り、成虫期になると卵形成し、貯めておいた精子を使って自家受精を行う。一個体が産卵する子孫は300匹弱。このことは実験上、遺伝的な背景を均一にすることに役立つ。一方、雄は約0.2%の割合で現れる。これと雌雄同体とを交配させることも可能。
雌雄同体成虫の体細胞は959個で不変。ただし、多核細胞も存在するため細胞数とは核の数を意味する。神経、筋肉、消化管、表皮、生殖巣といった組織、器官をもつ。胚は約14時間で孵化し、幼虫はクチクラ層の脱皮を4回繰り返し成虫になる。体の半分以上の体積を占める生殖系列細胞は1000個を越えることもある。
光受容器はないが温度を感じることができる。神経細胞はわずか302個で、頭部の神経環と呼ばれる部位に多数集まり脳に相当する領域を形作っている。これだけの細胞で物理刺激に対する回避運動や、化学物質や温度と餌を関連付けた学習などを行っている。また、個々の神経がどの細胞とシナプスを形成しているかが電子顕微鏡の連続切片像から完全に再構築されていることや、レーザーを照射して特定の神経細胞を破壊する実験などからどの神経細胞がどのような行動に関わるかもある程度わかっている。
[編集] モデル生物としての C. elegans
実験室では寒天培地上に生やした大腸菌を餌として飼育される。
モデル生物としての歴史は1960年代に始まる。当時シドニー・ブレナーは発生過程と神経系の問題が今後の生物学で重要な分野になると考えた。分子生物学の成功には、大腸菌などの生物 (取り扱いやすく、大量に培養可能で、遺伝学や生化学的手法が使えるという性質をもっている) を使ったことが大きく関与していると考えた彼は、同様の特徴を持つ多細胞生物としてC. elegans を材料とすることを提案した (当初近縁種C. briggsae も候補にあげられていたが、好みでC. elegans になった模様)。現在ではCaenorhabditis Genetics Centerに登録される研究室は400を越える。しかし、やはり単細胞生物と比べると生化学的な系は比較的手薄と言える。
1990年にヒトゲノム計画のモデル系として、全ゲノム配列の決定が3年間のパイロットプロジェクトとして開始された。これはNIHとMRCの資金によるもの。1994年の資金追加を経て、1998年に多細胞生物として初めて97 Mbの塩基配列読み取りが完了した。その結果、6本の染色体上に約19000個の遺伝子の存在が予測されている。
また、2本鎖のRNAを導入すると、それと相同の配列を持つ遺伝子の発現が抑制されるという、RNAiと呼ばれる遺伝子抑制手法が初めて確立された種。1998年にFire等により報告されたこの現象はsiRNAの発見へとつながり、現在遺伝子治療でもっとも期待される手法の一つとなっている。
C. elegansをモデル生物として確立し、器官発生とアポトーシスの遺伝制御に関する発見をした成果に対し、シドニー・ブレナー、ロバート・ホロビッツ、ジョン・サルストンは2002年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。
[編集] 参考文献
- Baldwin, J. G., Nadler, S. A., Adams, B. J. EVOLUTION OF PLANT PARASITISM AMONG NEMATODES.2004. Annu. Rev. Phytopathol. 42, 83-105.
- Politz. S. M., Philipp, M. Caenorhabditis elegans as a model for parasitic nematodes: A focus on the cuticle. Parasitol. Today. 1992. 8(1):6-12.