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64DD - Wikipedia

64DD

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

64DD
64DD
64DDとNINTENDO64を接続した様子
メーカー 任天堂
種別 ゲーム機周辺機器
世代 第5世代
発売日 日本の旗 1996年
対応メディア ZIP
対応ストレージ 磁気ディスク
オンラインサービス ランドネット
  

64DD(ロクヨンディーディー)は任天堂のゲーム機NINTENDO64用の周辺機器で、本体の下に取り付けて使用する磁気ディスクドライブである。

目次

[編集] 概要

64DDは「ロムカセットに見られるデータ容量の制限を克服した上で、CD-ROMでは実現できない大容量の書換え領域を活用することにより、ユーザーに新しい遊びを提供する周辺機器」として開発された。

当初「NINTENDO64DiskDrive」の略称だったが、発売時には正式名称になった。 旧称の名残として、ソフト挿入口横のN64ロゴ(Nキューブ)に「Disk」の文字が見られる。

一般販売はされず、同機を利用したネットワークサービス「ランドネット」の端末としてレンタルされた。 ただし、その契約内容としては分割支払いによる販売だった。 後に量販店等で1年分の料金(30000円)を支払うことでの店頭販売も開始された。

また、本体上部には更なる付属機器を追加出来るようにコードを通す溝があるが、使用する必然性のある周辺機器が発売されることは無かった。

本体は任天堂とアルプス電気の共同開発。

[編集] 仕様

  • 型名:NUS-010(JPN)
  • 記録方式:両面磁気記録
  • フォーマット容量:約64.45Mバイト(64,458,560バイト)
  • データ転送レート:約1.0Mバイト/秒(最大)
  • 時計機能:内蔵

[編集] 歴史

NINTENDO64発表当初から公開されており、ユーザーの間では長らく発売が待たれていたが、ソフト開発の遅れやNINTENDO64自体の普及が進まなかったことなどにより発売の延期が繰り返されていた。

ところが1999年に任天堂とリクルートの合弁会社「株式会社ランドネットディディ」の提供するネットワークサービスランドネット(発表当初の「エンターネットサービス」から改称)専用の通信端末としての発売が決定する。 同年11月に予約受付が開始されることとなったが、当初は通信販売の形態を取っており、更に、

  • 64DDを購入するにはランドネット会員となる必要があること。
  • ランドネットへの入会申込みにはクレジットカードが必要で、一定額の分割払いしか選択できず、他の決済方法での受け付けを行わなかったこと。
  • 64DD本体のみの購入はできず、専用ソフトとモデムなどの周辺機器、ランドネットのプロバイダ料金を合わせたセット販売であったこと。

など、NINTENDO64の主要ユーザーであった低年齢層を無視した販売方法だったことから全く普及しなかった。また当初64DD用として開発されていたソフトのほとんどがカセットでの発売となったこと、更にはNINTENDO64の次世代機となるニンテンドーゲームキューブの開発着手が公表され将来性を疑問視されたことも普及を鈍らせた。

サービスの核となるランドネットサービスは当初12月に開始する予定であったが、通信用ディスクの開発が遅れたことから翌年2月に延期された。

更にサービス開始から半年ほどは、ランドネットへのアクセスポイントが「東京03」しか用意されず、付属のモデムも28.8kbpsと、当時としても低い性能だったため、割引サービスを利用しても通信料が非常にかさんでしまい、地方のユーザーからは敬遠された。

広報的にも積極的な活動は行われず、口座振替による支払いを可能にする等の購入を容易にする対応も遅く、しかも限定的にしか行われなかったことから加入者を伸ばすことができず、期待されていた『ゼルダの伝説時のオカリナ』の拡張ディスクや『ウォール街』などのソフトの発売予定すら立たない内に、ランドネットは1年でサービスの提供を終了してしまう。

このような結果に終わったことから、そこそこ普及したNINTENDO64本体と比較すると、影の薄い周辺機器となってしまった(現在は中古で数万円と希少価値があるアイテムである)。

ランドネット会員の募集に際しては先着10万人までという人数制限があったものの、実際の加入者はおよそ1万人程度であったといわれている。

サービス終了後ランドネットディディは清算され、従業員はそれぞれ元の会社に戻った。

結果的に数々の構想はほとんどが実現の芽を見ぬまま終ったが、64DD構想はWiiのWiiConnect24に引継がれ、ランドネット終了から5年後の、2006年12月2日のWii発売によって実現した。

[編集] 周辺機器

メモリー拡張パックと接続の様子
メモリー拡張パックと接続の様子
64DDディスク
64DDディスク
マウス
マウス
マイクとカバー
マイクとカバー
キャプチャーカセット
キャプチャー
カセット
モデム
モデム
型番 名称 備考
NUS-007 メモリー
拡張パック
旧称ハイレゾパック。4MBの増設メモリで、本体上部手前の36Pinメモリー拡張コネクタに接続する。本体のメモリは4MBであるため、メモリー拡張パックを使うことで容量を一気に倍加できる。本体に同梱。
NUS-011 64DD
ディスク
64DDのゲームプログラムを格納した専用メディア。データ容量は約64MBだが、その内約38MBは追記用の領域になっている。ダイナミックデータディスク(DDD)という呼称もあった。仕組みとしてはZipに近い磁気ディスクとなっている。
NUS-017 マウス ボール式の2ボタンマウス。コントローラポートに接続して使用する。
マリオアーティスト ペイントスタジオ』に同梱。
NUS-021 マイク 単一指向性のモノラルマイク。キャプチャーカセットに接続して使用する。『マリオアーティスト タレントスタジオ』に同梱。NINTENDO64音声認識システムに使用されていたものと同一である。
NUS-026 マイク
カバー
球状の黄色いスポンジで、マイクのセンサー部分にかぶせ、息や風の音を軽減する。
NINTENDO64音声認識システムに使用されていたものと同一。マイクに同梱。
NUS-028 キャプチャーカセット RCAピンジャック(映像、音声L・R)とマイク用ミニジャックがついたカセットで、
映像や音声を取り込むことができる。『マリオアーティスト タレントスタジオ』に同梱。
ファントム電源が供給されている為、専用マイク以外は絶対にミニジャックに接続してはいけない。
NUS-029 モデム 本体のカセット挿入口に接続して使用する専用モデム。通信速度は28.8kbps。本体に同梱。
HVC-053 モジュラーケーブル モデムに接続する長さ4mの電話線。本体に同梱。
RND-001 キーボード 専用キーボード。対応ソフトは「ランドネットディスク」のみ。

[編集] 専用ソフト

64DD専用ソフトには以下の10タイトルが存在する。この内『ランドネットディスク』と『マリオアーティスト コミュニケーションキット』の通信機能はランドネットサービスが終了した現在は使用することができない。

[編集] ランドネットセットに含まれていたソフト

これらのソフトは会費以外の代金を別途支払う必要は無く、ランドネット入会後に順次配布された。

  • 巨人のドシン1
  • マリオアーティストシリーズ
    • 『マリオアーティスト ペイントスタジオ』
    • 『マリオアーティスト タレントスタジオ』
    • 『マリオアーティスト ポリゴンスタジオ』
    • 『マリオアーティスト コミュニケーションキット』
  • シムシティー64
  • 『F-ZERO X エクスパンションキット』
    • カセットの『F-ZERO X』と併用することで新しいコースが追加される。それに加え、自作のコースやマシンでプレイすることも可能。ディスク単体での使用はできない。
  • 『ランドネットディスク』
    • 64DD専用のウェブブラウザ。基幹部分はACCESSNetFrontを採用し、N64のコントローラでの操作に最適化されている。特に3Dスティックと5つのボタンを使用した文字入力システムは使い勝手が良く、N64ソフト『どうぶつの森』にも採用された。
    • しかし度々バージョンアップが繰り返されたドリームキャスト用の『ドリームパスポート』と比較すると機能は格段に劣っていた。例えば「書く」や「行った」といった基本的な単語が変換できないなど特に漢字変換能力が弱く、辞書機能も無い。また、フォントがウェブ閲覧に適しておらず、しかも文字の大小関係無く同じ大きさで文字が表示されることから一般のウェブサイトの表示は大きく乱れやすかった。FlashやJavaScript(一部)も非対応である。後に、キーボードの不具合に対応するための改良版が希望者に配布された。
    • NINTENDO64用のキーボードに対応した唯一のソフトである。

[編集] 別売りされたソフト

これらのソフトはランドネットのショッピングサービスにて販売が行われた。

  • 『巨人のドシン解放戦線 チビッコチッコ大集合』
  • 『日本プロゴルフツアー64』

逆に販売を予定していたが、そこまでには至らなかったソフトもある。

[編集] 発売中止になったソフト

これらのソフトは企画されたのにかからわず発売中止になったソフトも有る。

[編集] 本体の修理・交換の状況

64DDの修理は原則として可能であり、2005年末の時点では64DD本体の在庫も任天堂本社にあり交換してもらうことも可能である。 なおソフトの在庫は、マリオアーティストシリーズの「タレントスタジオ」「ペイントスタジオ」、そして「巨人のドシン1」「F-ZERO X エクスパンションキット」などは在庫無しの状態にあるが「ポリゴンスタジオ」「シムシティー64」は、在庫有りの状態である。(2005年末の時点)

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ


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