諸星あたる
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諸星 あたる(もろぼし あたる)は、高橋留美子の漫画作品およびそれを原作としたテレビアニメ作品『うる星やつら』に登場する架空の人物で、同作の主人公である。アニメにおける声優は古川登志夫。
目次 |
[編集] 特徴・設定
友引高校2年4組に通う高校生で、ラム曰く彼女の夫(もちろん実際には籍は入れていない)。基本的には楽観的かつアホなことをする性格であり、また無類の女好きで、美人をみるや声をかけ住所と電話番号を聞き出そうとする。劇中ではそれ程成功していないように思えるが、成功率は本人曰く40%。
時折、皆が気持ち悪がった大食らいの芋虫を大事に育てたり、病院前を通るあたるに片思いしながら病死した、幽霊の少女の好意を受けデートをするなど、心優しい性格も垣間見える。女性は殴らないというポリシーも持っている。また日記もつけており、ナイーブな面も持ち合わせている。
女性関係からみていくと、最初のガールフレンドは三宅しのぶであり、ラムに対しては、当初押しかけ女房的な態度を取る事を嫌がっていた。しかし物語が進むにつれ、しのぶとの関係は、面堂終太郎の登場と共に自然消滅していき、また本人にとってラムもかけがえの無い存在になっていく。それでも表面上はラムに対して冷たい態度を基本とっているが、ラムがピンチに陥ったり、拉致されたりすると、ラムをかばう行動や、率先して助けにいく等、男らしい一面を持ち合わせてある。
生まれは4月13日の金曜日、仏滅で大地震の起きた日であり、チェリー(錯乱坊)曰く「世にも稀な凶運の相の持ち主」であるという。またゴキブリ並の生命力とトカゲのしっぽの如き再生力を有し、ラムの電撃をものともせず、100mを7秒で走破し、巨大な羽子板を問題なく扱っていたりする等、身体能力は人間離れしている。また手先も意外と器用なようで、チェリー(錯乱坊)そっくりな人形を制作したりしている。
キャラクター設計の観点からみると、当初は災いを自身に呼び寄せる「凶運」が前面に出た受け身のキャラクターであったが、これでは話が続かないと作者が判断し、徐々に女好きの面が強調され、基本的には楽観的で浮気性なキャラクターに変化していくという話がある。
特技は真剣白刃取り。また対面堂用の武器あるいはツッコミに大槌を、テンとのケンカにはフライパンをよく使う。
[編集] ラムとの関係
このあたるとラムの関係は複雑なもので、ラムはあたるとの関係を夫婦といってはいるが、正式なものではない。またあたるはそれを認めていないようだが、ラムが他の男と仲良く(あたるの気を引くためのフェイクの場合が多い)していることに対して腹を立て、「浮気者」という時もある。また作品に出てくるおみくじには、クサレ縁といわれている。周りの人間もいまいちつかめていないようだが、二人の仲がそうそう容易く終わるものではない、と思ってはいる模様。このように、恋人なのか、夫婦なのか、自他共にはっきりしていないところが特徴で、それが「うる星やつら」の魅力でもある。
二人の関係の始まりは、人類の代表として宇宙の鬼族ラムと鬼ごっこを始め、勝利するが、前日にしのぶから試合に勝ったら結婚してあげると言われ、ラムを追いかけながら「結婚じゃー! 」と叫びまくっていた為、ラムに自分への求婚と勘違いされてしまい、そこから二人のドタバタ生活が繰り広げられる。物語序盤ではラムを冷たくあしらっていたが、「君去りし後」では、ラムが自分に見切りを付け、故郷に帰ったと勘違いし、号泣した。中盤においては「夜を二人で!! 」では共寝、「愛と闘魂のグローブ」ではグローブの呪いの為ラムに殴りかかる自らの左拳を自らの顔面を盾としてラムを守ったりして、あたるのラムに対する愛情が明確に露呈されていった。終盤においてはデートをしたりラムと結婚する未来を守ろうともした。最終話では、ラムがほんとうに好きだったが、「好きだ」の一言で地球を救える、という勝負の最中だったため、逆に、地球を救うための嘘だと周囲に思われたくないが故、素直に言えなかった。しかし最後にはラムに「いまわの際にいってやる!!」という、間接的にラムへの一生の愛情を表すセリフを言い、物語は終わる。
[編集] 名前の由来
実在の人物である漫画家の諸星大二郎と巨人の江川卓の弟、江川中(あたる)から由来する。様々な災厄に見舞われるという意味で「諸々の星に当たる」に、それにをそれぞれかけたものであると考えられている。
[編集] その他
原作を最初から読んでいない人には、主人公はラムであると思われがちであるが、「少年サンデーグラフィック」において「どちらが主人公か?」との質問に対し「わたしは諸星あたるが主役だと思います」との作者の発言がある。原作にも、面堂からあたるが主役であるということを認めている節があり、あたるが「俺が主役だ」と断言しているシーンが存在している。ちなみに、ラムも自分が主役だと思っていて、「ウチじゃないのけ?」とあたるに質問すると「俺が主役だったんだよっ!」と返答するシーンがあり、ラムの人気が出てどちらが主役かわからないこの漫画自体を揶揄してるようなシーンもある。
ラムの登場回数が激増した後半も、話が次の回へつづく時に「つづく」と言うのは最後まであたるであった。
『うる星やつら』は一人の主人公に多数の異性が関わるといういわゆるハーレムアニメの様な状況となっており、しばしば、彼の特徴的なキャラクター類型は「まるで諸星あたるのように」と象徴的に名前を出されることがある。しかしながら、ラムと初期のしのぶ、ゲストキャラで登場した少女・望以外の女性キャラクター全てが主人公(あたる)に好意を抱いていないという点において後の時代に登場するハーレムアニメとは一線を画している。(むしろハーレムアニメ的傾向は、同時期の高橋留美子の作品めぞん一刻の方が顕著である)
[編集] 豆知識
- 『銀河英雄伝説』で無類の女好きという設定のオリビエ・ポプランというキャラがいるが、彼はファンから「イゼルローン(同作品内に出てくる要塞名)の諸星あたる」とあだ名がつけられる。後に作られたOVA版でのポプランの声優はあたると同じ古川登志夫となるが、これは製作が同じキティ・フィルムであったことと、ファンのつけたあだ名も知られていたからでもある。
- 高橋留美子の漫画史上、最も涙を流した回数が多いのは諸星あたる。
- 高橋留美子の漫画史上、最もキスした回数の多いカップルは、諸星あたる&ラム。
- 諸星あたるの誕生日である「4月13日の金曜日、仏滅」が当てはまる、『うる星やつら』の連載が開始した1978年から見て過去の年代で最も近い年は1951年である。『うる星やつら』の年代設定が連載時期と連動すると仮定した場合、計算上は連載開始時点で既に27歳だったことになる。