西武観光バス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
西武観光バス(せいぶかんこうバス)は、埼玉県所沢市くすのき台に本社を置く西武グループの貸切・乗合バス事業者である。練馬、大宮、狭山、秩父の4営業所において貸切バスを営業するほか、大宮営業所において高速バスを、秩父営業所において一般路線バスを運行している。
秩父営業所管内全線でバス共通カードが利用できる、また2008年以降にPASMOを導入する予定である。
目次 |
[編集] 沿革
西武観光バスは、1989年に西武バス秩父営業所を分社化するにあたり、西武秩父バスとして設立された会社である。秩父地域の路線は、戦前に秩父自動車によってその骨格が築かれ、これを現・西武鉄道の前身である武蔵野鉄道が買収し、西武バスへと移行したものである。
西武秩父バスの設立後は、西武バスより順次秩父市周辺路線の移管を受け、その後、西武バスが貸切バス部門の分社化を進めるにあたり、この受け皿として1996年に西武バスの埼玉県内における貸切バス事業も譲渡された。これに伴い、同年4月1日に社名を現在の西武観光バスに変更した。さらに、都内の貸切バス及び高速バスの一部も移管され、現在に至る。
[編集] 現行一般路線
一般路線は、全線が埼玉県秩父市野坂町にある秩父営業所の担当である。なお、小鹿野町に小鹿野車庫が、秩父市荒川贄川に、分車庫として贄川車庫が存在する。
[編集] 小鹿野線、栗尾線
- 西武秩父駅 - 秩父駅 - 秩父橋 - 泉田 - 小鹿野役場 - 小鹿野車庫
- 西武秩父駅 - 秩父駅 - 市立病院 - 秩父橋 - 泉田 - 小鹿野役場 - 小鹿野車庫
- 西武秩父駅 - 秩父駅 - 秩父橋 - 泉田 - 小鹿野役場 - 小鹿野車庫 - 栗尾
- 西武秩父駅 - 秩父駅 - 市立病院 - 秩父橋 - 泉田 - 小鹿野役場 - 小鹿野車庫 - 栗尾
西武観光バス秩父営業所の基幹路線であり、西武秩父駅を起点に主に国道299号を経由し、西の小鹿野町へ向かう。小鹿野車庫までの便を小鹿野線、それより2kmほど西の栗尾まで足を延ばす便を栗尾線と称し、両者に市立病院を経由する便と経由しない便がある。本数は、全便合わせて1時間に1〜3本である。
[編集] 定峰線、三沢線
- 西武秩父駅 - 秩父駅 - 坂氷 - 金昌寺 - 山田 - 栃谷 - 上郷 - 定峰
- 西武秩父駅 - 秩父駅 - 坂氷 - 栃谷 - 札所一番 - 高原牧場入口 - 中三沢 - 観光農園村 - 親鼻駅 - 皆野駅
西武秩父駅から秩父駅を経由し、秩父市東部の山田、栃谷方面へ向かう路線である。沿線には秩父札所の1番〜5番がある。両線は栃谷で分岐し、定峰線はさらに東の定峰へ、三沢線は皆野町に入り三沢川沿いを北上して皆野駅に至る。両線の重複区間では1時間に1本程度の運行本数が確保されている。
[編集] 寺尾線
- 西武秩父駅 - 秩父駅 - 中村町四丁目 - 尾田蒔中学校 - 秩父中央病院 - 萩平 - 下寺尾 - 太田入口 - 皆野駅
寺尾線は、西武秩父駅から荒川沿いの寺尾地区を経由して皆野駅に至る路線である。秩父鉄道との並行度が高く、運行本数は少ない。
当路線は、2008年3月31日の運行をもって廃止。翌4月1日より、後述の秩父吉田線ルートの一部となる予定。当該項目も併せて参照されたい。
[編集] 正丸線
- 西武秩父駅 - 秩父駅 - 坂氷 - 横瀬駅入口 - 根古屋 - 芦ヶ久保駅 - 中井橋 - 長渕 - 松枝
- 西武秩父駅 - 秩父駅 - 坂氷 - 横瀬駅入口 - 根古屋 - 芦ヶ久保駅 - 中井橋 - 長渕
- 西武秩父駅 - 秩父駅 - 坂氷 - 横瀬駅入口 - 根古屋
正丸線は、西武秩父駅から国道299号を東へ向かい、横瀬町の松枝に至る路線である。
この方面への路線は、秩父自動車時代から運行されており、昭和の初期には秩父から赤谷付近まで路線が通じていた。その後、正丸峠を越えて吾野駅まで延長され、武蔵野鉄道(現・西武池袋線)との連絡が図られた。しかし、西武秩父線の開通によって正丸駅までに短縮され、正丸駅 - 吾野駅間は廃止された。その後、正丸駅 - 松枝間も短縮・廃止され、現在に至る。また本数も少ない(松枝行きが一日2往復)
正丸駅発着時代には秩父駅 - 松枝 - 山伏口 - 正丸峠 - 正丸峠ガーデンハウス - 正丸駅、同 - 正丸峠、正丸駅 - 見晴台 - 正丸峠ガーデンハウス - 正丸峠の各便が運行されていた。
[編集] 市内浦山線
- 西武秩父駅 - 中道 - 秩父駅 - 上町一丁目 - 田の沢原 - 影森 - 浦山口 - 浦山常磐橋
市内浦山線は、西武秩父駅からいったん秩父駅を経由した後、秩父鉄道沿いを南下して浦山口駅近くの浦山常盤橋に至る路線である。
[編集] 志賀坂線
- 小鹿野役場 - 小鹿野車庫 - 栗尾 - 半平 - 法師落人橋 - 納宮 - 小金平 - 坂本
志賀坂線は、小鹿野町の中心部から主に国道299号を経由し、志賀坂峠手前の坂本まで至る。小鹿野町を東西に横断する路線である。秩父方面への路線(小鹿野線、栗尾線)と接続するダイヤが組まれている。
この路線は、志賀坂峠を越えて群馬県側に短距離ながらも乗り入れていた経緯がある。その後、坂本より2つ先の志賀坂峠までの路線に短縮・運行されていた。その志賀坂峠バス停附近に、西武志賀坂ロッジというドライブインがあった。また、この頃は西武秩父駅が起点の急行路線であり、現在のように小鹿野役場での乗り換えはなかった。
[編集] 倉尾線
- 小鹿野役場 - 巣掛峠入口 - みどりの村吉田口 - 上吉田駐在所 - 上吉田 - 長久保入口 - 長沢
志賀坂線と同じく、小鹿野役場を起点とする路線であり、秩父方面路線との接続ダイヤが組まれている。小鹿野を出ると、上吉田を経由して長沢へ向かう。終点の「長沢」は、「ちょうざわ」と読む。
[編集] 上吉田線
- 皆野駅 - 国神 - 龍勢会館 - 和田 - 上吉田駐在所 - 上吉田 - 塚越団地 - 吉田元気村
秩父鉄道・皆野駅を起点に、秩父市北部の吉田地区(旧・吉田町)を東西に横断する路線である。荒川の支流である赤平川、吉田川に沿って走り、合角ダムのほとりにあるキャンプ場・吉田元気村に至る。もともと上吉田が終点だったが、吉田元気村の開設にあたり、2停留所延長した。
当路線は、2008年3月31日の運行をもって廃止。翌4月1日より、後述の秩父吉田線ルートの一部となる予定。当該項目も併せて参照されたい。
[編集] 吉田線
- 皆野駅 - 太田入口 - 早道場 - 龍勢会館 - 藤六 - 泉田 - 小鹿野役場 - 小鹿野車庫
皆野駅と小鹿野の間を下吉田経由で結ぶ路線である。上吉田線が皆野駅 - 吉田地区の間で赤平川の北側を経由するのに対し、この路線は南側の太田地区を経由する。
当路線は、2008年3月31日の運行をもって廃止。翌4月1日より、後述の秩父吉田線ルートの一部となる予定。当該項目も併せて参照されたい。
[編集] 原谷線
原谷線は、秩父市内の交通不便地域の解消が目的である「お出かけ楽々バス」として、2005年10月に運行を開始した路線である。西武秩父駅から秩父鉄道沿いを北上し、和銅黒谷駅に至る。和銅黒谷駅付近は、ループ線となっている。
[編集] 久那線
- 西武秩父駅 - 佐久良橋 - 巴川 - 久那
- 西武秩父駅 - 上町 - 旭町 - 影森中学校 - 巴川 - 久那
久那線も原谷線と同時に開通した「お出かけ楽々バス」の1路線であり、西武秩父駅から南西の久那地区へ向かう。開通に当たっては、原谷線と共にフリー乗降制の導入が協議されたが、安全上の理由から見送られた。
[編集] 三峰口線
秩父鉄道の終点である三峰口駅からさらに荒川沿いを上流へ向かい、秩父湖及び大滝福祉センターへ向かう路線である。大滝老人福祉センター行は、もとは宮平行だったのを福祉センター開設により、1停留所延長した。後述の中津川線と共にフリー乗降制度を一部区間を除き導入され、バス運転席上に設置されたスピーカーより音楽を流してバスが来た旨を知らせる「メロディーバス」として、運行されている。
[編集] 中津川線
- 三峰口駅 - 太陽寺入口 - 大輪 - 宮平 - 中双里 - 中津川
中津川線は、三峰口駅から荒川沿いを進み、宮平で三峰口線と分岐して、紅葉で名高い中津峡沿いを走る路線である。走行する道路が狭く、かつては道路状況に合わせて車体上方を内側に絞った形状の「三角バス」と呼ばれる特注車両が運行されたことがあった。
[編集] 三峰神社線
- 西武秩父駅 - 三峰口駅 - 大輪 - 秩父湖 - 三峰神社(急行。左記バス停以外は無停車)
三峰神社線は、西武秩父駅から荒川沿いを上流へ向かい、三峰山頂の三峰神社に至る急行路線である。西武秩父駅で特急レッドアローに接続するダイヤとなっている。かつては土休日のみの運行であったが、三峰山頂へ向かう三峰ロープウェイが廃止されたことから、2007年12月より平日の運行を開始した。
[編集] ミューズパーク線
- 西武秩父駅 - 秩父土木事務所 - 巴川 - ミューズパーク南口 - ミューズパーク中央 - 音楽寺 - 秩父公園橋 - 秩父駅 - 西武秩父駅
ミューズパーク線は、秩父市と小鹿野町にまたがる長尾根丘陵に位置するレジャー公園、秩父ミューズパークを循環する路線である。「ぐるりん号」の愛称があり、当路線専用の一日乗車券も販売している。また、ミューズパーク内は自由乗降区間である。
もとは、西武秩父駅 - ミューズパーク南口 - スポーツの森 - ミューズパーク中央の路線で、左記停留所以外は途中無停車のシャトルバスで運行されていた。路線開設当時は、運行本数のほとんどが『スポーツの森』行で、1停留所先の『ミューズパーク中央』行の運行本数は少なかった。
[編集] 新規運行開始予定路線
[編集] 秩父吉田線
2008年4月1日より、現在運行の寺尾・上吉田・吉田の3線を統合・改正して「秩父吉田線」が運行開始予定。運行区間・主なバス停は、以下の通り。
- 西武秩父駅 - 秩父駅 - 秩父橋 - 中寺尾 - 太田入口 - 馬頭尊 - 龍勢会館 - 吉田総合支所 - 上吉田駐在 - 上吉田 - 吉田元気村
- 西武秩父駅 - 秩父駅 - 札所二十一番 - 中寺尾 - 太田入口 - 馬頭尊 - 龍勢会館 - 吉田総合支所 - 上吉田駐在 - 上吉田 - 吉田元気村
※参考資料…秩父市公式HP、人文社「埼玉県内乗合バス・ルートあんない №1」2008年2月12日 第1版第1刷
この他、2008年4月22日よりびわこドリーム号を西日本JRバスと共同運行する予定である(西武観光バス側の正式路線名は未定)。
[編集] 現行高速路線
高速路線は、全線大宮営業所の担当であり、現在運行されているのは、以下の路線である。
- 南紀勝浦線 : 大宮・池袋 - 勝浦温泉 (三重交通と共同運行)
- 大津線 : 大宮・池袋 - 彦根・大津 (西日本ジェイアールバスと共同運行)
- 大宮羽田線 : 大宮営業所・大宮駅西口・さいたま新都心駅 - 羽田空港 (国際興業・京浜急行バス・東京空港交通と共同運行)
[編集] 車両
秩父営業所の一般路線車は、中型車(日産ディーゼルRM)の割合が多く、閑散路線へ運用に入る。また、急行三峰神社線には、用途外車(ワンロマ)が運用に入る。