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笹川陽平 - Wikipedia

笹川陽平

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

笹川 陽平
笹川 陽平

笹川 陽平ささかわ ようへい1939年1月8日 - )は日本財団(財団法人日本船舶振興会)会長、世界保健機関 (WHO) ハンセン病制圧大使、ハンセン病人権啓発大使(外務大臣より任命)。明治大学政治経済学部卒業。日本最大の財団法人である日本財団の代表であり、現代日本の民間による公益活動指導者の草分け的存在。笹川良一(日本船舶振興会初代会長・右翼・財界の黒幕)の三男で、次兄に自由民主党衆議院議員笹川尭がいる。

目次

[編集] プロフィール

競艇事業の運営団体である全国モーターボート競走会連合会会長、財団法人日本造船振興財団(現海洋政策研究財団)理事長などを歴任し、1989年に日本財団理事長に就任。2005年7月、前会長であった曽野綾子の勇退を受け、会長に選任される。

幅広い見識を持つ社会事業家として知られ、チェルノブイリ原子力発電所事故後10年間にわたる20万人におよぶ被災児の検診活動、マラッカ海峡における利用者負担による航行支援制度の創設、ジミー・カーター元米国大統領・ノーマン・ボーログ博士(ノーベル平和賞受賞者)と共に20年間行っているアフリカにおける食糧増産運動、世界69大学の奨学金ネットワークによる次世代リーダーの育成、中国人医師2000名を日本に招聘する研修制度の創設、通年利用可能な北極海航路の開発など世界規模の事業を企画し指導した実行力は、日本国内よりむしろ海外において評価を得ている[1]

海外支援活動の重点項目として、人が生きていくために必要不可欠な「食料の確保」「医療の充実」「教育」の三点を掲げ、国内での支援活動では、NGOボランティアの育成、障害者高齢者への福祉サービスの充実、全国に2万台に及ぶ福祉車輌を配備するなど行政の手の及ばない領域を重点としている。

公益事業への支援は、単に資金を与えるのではなく、現場へ赴き実際の活動やその成果を確認することが不可欠であるとの信条から、自ら公益活動の最前線に立つことを重視し活動している。

国内・海外において政・官・学・民、それぞれに幅広い人脈を持つ。チェコヴァーツラフ・ハヴェル大統領とともに11年間続けているフォーラム2000には、世界の有識者・著名人が集まり、時世の問題を議論している。そして、それらの人脈を結び付けることにより、革新的な事業を実現してきた。日本国内における事業展開も超領域であり、海賊対策、北朝鮮工作船の一般公開、ホスピスナースの育成、犯罪被害者への支援ネットワークの構築などがある。また、2007年の海洋基本法の制定に奔走したことや東京マラソンの実現の立役者としても知られている。個人の能力では不可能なことを複数の人々の連携をつくることで実現可能とした。

[編集] ハンセン病

個人としての笹川陽平は、ハンセン病制圧をライフワークとしている。父である笹川良一もハンセン病の制圧に力を注いでおり、1965年、良一に連れられ韓国のハンセン病療養所を訪問した際、ハンセン病の患者や回復者に対する差別を目の当たりにし、その衝撃からハンセン病対策の必要性を認識し、活動を開始した。

「ハンセン病は治る」という正しいハンセン病知識の普及に努め蔓延国を始めとした国々において、ハンセン病患者・回復者や政府の指導者、報道機関などと対話を進めている。2001年5月からWHOハンセン病制圧特別大使を務める。

1990年代は、ハンセン病制圧の方法としてMDT(多剤併用療法)という治療方法の普及に尽力した。しかし、ハンセン病患者は治癒しても社会の偏見により、就業や子供の教育において家族までもが差別を受けていることを問題視し、ハンセン病を医療問題だけではなく、複合的な人権問題をもあわせ持つ社会問題として捉えるべきだと提唱。2003年7月国際連合人権高等弁務官事務所を訪問し、初めて、この問題を国際連合人権委員会(現国際連合人権理事会)で取り上げることを要請。2004年3月国連人権委員会本会議においてハンセン病による差別の問題を訴え、その結果、人権促進保護小委員会は、同年8月、ハンセン病と差別の問題を正式に人権問題として取り上げるための調査を行った。そして、翌2005年8月と2006年8月の2度にわたり、同小委員会において、各国政府、国連機関などの対する現状改善のための勧告決議が全会一致で採択された。以来、ハンセン病による社会問題解決のために奔走、2006年には、インドにおいてハンセン病回復者とその家族が自立して暮らす支援を行う「ササカワ・インド・ハンセン病財団」を設立した。同財団では、インド財界からの寄付金を募る活動も行っている。

国際的なハンセン病制圧活動の実績により、2004年に読売新聞社から「読売国際協力賞」、2007年にはインドから「国際ガンジー賞」が贈られた。日本政府からは、ハンセン病人権啓発大使を委嘱され、日本の代表としてもハンセン病の制圧、人権外交に取組んでいる。

[編集] 海洋政策

現在は、社会問題としてのハンセン病問題の解決に力を注ぐと共に、異質な分野である海洋問題にも取組む。世界一船舶の通航量が多いマラッカ海峡の安全確保のための費用負担の方法として、新しい基金の設置を提案。無害通航権に基づき「海洋の利用はタダ」であるという考えを排除し、現在の国際情勢に鑑み利用者負担の必要性を説きし、伝統的な考えを覆すべき活動を展開。また、「海に守られた日本から 海を守る日本へ」をコンセプトに海洋基本法の制定を始めとした、新しい海洋問題への取組みを推進している。

[編集] 公益事業・CSR

笹川は、公益事業の推進において情報公開の重要性を訴え、自らがブログ(日本財団会長笹川陽平ブログ)で、毎日の行動および日々の思考を公開している。政府の進めている公益法人制度改革の中で、笹川の指導する日本財団の情報公開は、高く評価されている。[2] また、誰もが公益活動に参加する社会を目指し、CSR(企業の社会的責任)活動として企業の社会活動への直接参加を呼びかけるウェブ・サイト(CANPAN CSRプラス)を立ち上げるとともに、これからの社会は国・自治体NPO、企業のCSR活動が三位一体となる必要性を述べている。

現在、産経新聞「正論」において論説を展開、フジサンケイビジネスアイ紙にエッセイを執筆中。

[編集] 著書

「知恵ある者は知恵で躓く」(クレスト社)、「二千年の歴史を鑑として」(日本僑報社)、「外務省の知らない世界の“素顔”」(産経新聞社)、「この国、あの国」(産経新聞社)、「世界のハンセン病がなくなる日」(明石書店)

[編集] 脚注

  1. ^ 英"The Independent"紙、2004年6月4日"Yohei Sasakawa - A fighter against leprosy"
  2. ^ 特殊法人等改革推進本部参与会議第43回議事概要、平成17年11月14日

[編集] 外部リンク

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