江口の戦い
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| 江口の戦い | |
|---|---|
| 戦争：城撃戦 | |
| 年月日：天文18年（1549年）6月12日～24日 | |
| 場所：江口城 | |
| 結果：三好長慶軍の勝利 | |
| 交戦勢力 | |
| 三好長慶軍 | 三好政長軍 |
| 指揮官 | |
| 三好長慶 | 三好政長 |
| 戦力 | |
| 3,000兵 | 3,000兵 |
| 損害 | |
| 不明 | 880名 |
江口の戦い（えぐちのたたかい）は天文18年（1549年）6月、摂津国江口において三好長慶が同族の三好政長（宗三）を破った戦い。江口合戦とも呼ばれる。
目次 |
[編集] 開戦までの経緯
[編集] 誅殺を願い出る三好長慶
三好長慶が三好家の総帥としての地位を着実に固めてゆくにつれて、細川晴元に深く信頼され一族の長老として主筋の三好政長の存在は三好長慶にとって危険視するようになってきた。
長慶は天文17年（1548年）8月12日、細川晴元の近習（田井源介、平井丹後守など）に対して三好政長の父子誅殺を願い出た。一族の統率を乱す不届者を除くというのが表向きの理由だった。この長慶の誅殺の願いは、案の定晴元には聞き入れられなかった。
そこで長慶は晴元に反旗を翻し軍事行動を開始し、岳父である河内国の遊佐長教らに出兵を求めた。これに対して近江国の六角定頼（細川晴元の岳父）はこの行動を「謀反」とする一方で、細川晴元は和泉国の細川元常、岸和田兵部大輔、紀伊国の根来衆らに出兵を求めた。
長慶は翌年の天文18年（1549年）1月11日に越水城を出発し、細川晴元派であった伊丹周辺を放火2月12には伊丹城を包囲した。2月26日に尼崎に兵を進め、3月1日には摂津の南中島に兵を送って、三好政長派の細川晴賢がいる柴島城を攻めさせ、政長の榎並城に追った。
[編集] 後方かく乱する細川晴元軍
これに対して細川晴元は六角定頼と結んで4月26日摂津多田の塩川城に入ると、28日に武庫郡に出兵して西宮一帯に放火し後方かく乱した。翌29日には伊丹城の伊丹親興軍も城から打って出て尼崎にて放火する。そして5月1日には富松城も攻めたが落城させることは出来ず退却した。晴元の狙いは越水城と中嶋城の三好軍を分断し、榎並城にいた政長を援護することだった。
攻勢に出た晴元は、5月2日に三宅城の守将香西元成に命じ、味方の六角定頼軍の来援に備えて芥川城を攻めさせた。しかし、この軍勢が惣持寺の西川原で三好長逸の軍勢に阻止されると、今度は5月28日には晴元自身が塩川城から三宅城に入って政長を後援した。政長は三宅城を経て6月11日、江口城に出陣した。江口城は北中島の東北端に位置し、淀川と神崎川によって三方を囲まれた要害の地だった。政長の出兵目的は、この江口城で近江からの六角氏の援軍を待ち、長慶と相対することだった。
これに対して長慶は、江口城を包囲してその糧道を断ち、かつ江口城の三好政長軍とこれを三宅城で支援する細川晴元軍との連絡を遮断するため、弟の安宅冬康と十河一存らの別隊を別府河畔に布陣させた。
[編集] 江口合戦
戦端は6月12日に開かれた。
近江から馳せつけた政長方の近江朝妻城主・新庄直昌が戦死したが、政長と晴元らは、近江六角軍の来援を期待して守勢を通した。
六角定頼は更に増兵を決定。子六角義賢に率いられた近江軍一万兵は、6月24日に山城国の山崎（山崎から江口城までは半日の行程）に到着する見通しとなった。『足利季世記』には、
「川舟を 留て近江の勢もこず 問んともせぬ 人を待つかな」
というこの間の政長の和歌を載せているが、政長のこうした危惧を長慶は見逃さなかった。
6月24日、近江の六角軍が江口城に到着する直前をとらえ、長慶は十河一存と東西から江口城の三好政長軍を急襲した。既に長陣で疲弊していた三好政長軍は江口城を支えることができず、政長をはじめ高畠長直・平井新左衛門・田井源介・波々伯部左衛門尉ら八百人ほどが討ち死にした。一説に、政長は居城の榎並城に避難しようとして淀川で水死したとも言われている。
[編集] 戦後の影響
江口城における三好政長の戦死により、彼を支援して三宅城にいた細川晴元は、丹波国を経由して翌25日に戦わずして帰京した。
しかし長慶の追撃を恐れ、将軍足利義晴らを伴って近江の坂本へ避難した。これに随行した細川晴賢と細川元常の領国の和泉は、労せずして長慶の手中に落ちた。
[編集] 補説
- 三好長慶は細川晴元に反旗を翻し軍事行動を開始するが、細川晴元の仇敵であった細川氏綱と通じ、細川晴元の管領職を奪い取ることになる
- 政長が三宅城を出て6月11日江口城に出陣したのは、近江からの六角氏の援軍を待ち長慶と相対するのではなく、息子三好政勝が榎並城に8ヶ月間も篭城しており救援に向かう予定で、食料もわずかしか持っていなかったという説もある
- どちらにしてもこれを好機と見た三好長慶は、安宅冬康と十河一存に三宅城と江口城の中間地点である別府河畔に布陣させたと思われる
- 三次政長軍は退路も絶たれ食料も底をつき（江口城に籠城したのは6月12日～6月23日の11日間だった為、携帯していた食料は3日間程度ではなかったと思われている）『足利季世記』の和歌につながっている
- 三好長慶は謀により、三次政長を忙殺するのに最後で後ろめたさを感じていたようで、『足利季世記』によると江口城への突撃命令をなかなか出さずにいたが、近江軍一万兵が近づいてくるのを察知した十河一存軍が単独で突入、神崎川を利用し船の運用に慣れている安宅冬康が率いる淡路水軍に続き、三好長慶もこれまでと後詰の軍として3方向より突入し大勝利をあげ、江口城は強固な城郭はなくこの戦闘で壊滅し、廃城になったと思われる
[編集] 参考文献
- 戦国合戦史研究会『戦国合戦大事典（四）』 新人物往来社、1989年。
- 今谷明『戦国三好一族』 洋泉社、2007年4月。
