東武200系電車
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200系電車(200けいでんしゃ)は東武鉄道の特急形車両。1991年(平成3年)2月1日より運用を開始した。
なお本稿では、200系と同一の車体構造であるが主回路制御方式や台車などが異なる250系電車(250けいでんしゃ)についても記述する。
目次 |
[編集] 外観
- 前面は大形の1枚曲面ガラスを使用した流線型。
- 車体の塗装はジャスミンホワイトが基調となっており、ローズレッドの帯を巻いている。
- 後期編成(207F~209F)および250系では集電装置としてシングルアーム式パンタグラフを搭載している。
- 全編成が6両固定となっており、200系はオールM方式(全車両電動車)、250系はMT比3M3T(3両が電動車、3両が付随車)となっている。
[編集] 概要
急行「りょうもう」号で使用されていた1800系を取り替える目的で1991年から製造された。この「りょうもう」号は1999年3月16日のダイヤ改正で急行から特急に格上げされた。
特急「けごん」・「きぬ」用100系就役により運用終了した1700系・1720系「DRC」を種車として、台車・モーター等の一部機器を流用。更新車扱いとして新製した車体を組み合わせて登場している。
1998年4月2日に登場した1本は、30000系とほぼ同一の制御装置にVVVFインバータ制御方式やボルスタレス台車を採用するなど、走行関連機器が異なるため250系として200系とは区別されている。この車両は200系と異なり純然たる新造車である。なお、1700・1720系は全9編成で、200系とするべき種車も無かったため、250系製造に関しては1800系からの更新も検討されていた、と言われている。
200系は6両編成9本(計54両)、250系は6両編成1本(計6両)が在籍している。
[編集] 諸元
- 200系
- 定員:Mc1=60名 M1=72名 M2=76名 M3=62名 M4=72名 Mc2=60名
- 自重:Mc1=40.5t M1=39.5t M2=40.5t M3=39.5t M4=39.5t Mc2=41.5t
- 車体:長さMc1,2=21300mm 他=20000mm 横幅=2878mm 高さ=4200mm
- 台車:TRS-67MA(住友金属工業FS-370A)SUミンデン式軸箱支持 ベローズ型空気ばね 外吊揺れ枕式 防音・波打車輪
- 制御装置:バーニア式電動カム軸超多段制御器(抵抗・直並列・界磁添加励磁制御)VMC‐HTR‐10H(日立製作所製)
- 駆動装置:可撓継手式中空軸平行カルダン
- 制動装置:回生・発電ブレーキ併用電磁直通空気ブレーキ(HSC-R)
- 補助電源装置:東芝製静止形インバータ(SIV) 容量140kVA
- 歯車比:3.75
- 運転最高速度110km/h
- 起動加速度:2.23km/h/s
- 減速度:3.7km/h/s(常用)5.0km/h/s(非常)
- 電動機:東洋電機製造製TDK824型直流直巻補極補償巻線付電動機(75kW×4)
- 冷房装置:集約分散式10500kcal/h×3/車両
- 250系
- 定員:Tc1=60名 M1=72名 M2=76名 T=62名 M3=72名 Tc2=60名
- 自重:Tc1=25.5t M1=41.0t M2=41.0t T=32.0t M3=41.0t Tc2=38.0t
- 車体:全長Tc1,2=21300mm 他=20000mm 横幅=2878mm 高さ=4160mm
- 台車:TRS-96M/T(住友金属工業SS-151/051)モノリンク式軸箱支持 ダイヤフラム型空気ばね ボルスタレス 防音・波打車輪
- 制御装置:IGBT方式VVVFインバータVF1-HR-1420B (日立製作所製)
- 補助電源装置:IGBT式静止形インバータ(東芝製)190kVA
- 電動機:TM95型三相かご型誘導電動機(190kW×4)
- 駆動装置:TD継手式平行カルダン(TD-95)
- 制動装置:回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(HRDA-2)
- 運転最高速度110km/h
- 起動加速度:2.23km/h/s
- 減速度:3.7km/h/s(常用)5.0km/h/s(非常)
- 冷房装置:集約分散式10500kcal/h×3/車両
補足
- 200系の制御装置には、東武で初めてバーニヤ式界磁添加励磁制御が採用されている。
- 250系ではIGBT素子のVVVFインバータ制御方式を採用したが、加減速度や運転最高速度などは200系と同一になるように調整してある。
- 200・250系ともに定速運転装置を搭載している。
[編集] 編成
- 200系初期編成:初期量産車である。201F~206Fの6本が在籍している。
- 200系後期編成:後期量産車である。207F~209Fの3本が在籍している。
- 250系:最終増備車。251Fの1編成のみ在籍している。
- 便所の処理方式は真空式に変更されている(200F~206Fの-4以外は従来通り循環式)。
[編集] 編成ごとの差異
- 初期編成の内201Fと202Fの座席はフリーストップ型リクライニングシートで、背面ポケットは網状である。203F~206Fの座席は更新種車のDRCから転用(モケットは張替え)したため特徴的である。それ以降の編成は再び新製のフリーストップ式リクライニングシートに戻ったものの背面ポケットがゴムバンド式に変更された。
- 後期編成では転落防止幌設置、シングルアームパンタグラフ採用、車椅子スペース設置、バリアフリー対応トイレ採用、側面種別・行先表示器のLED化、前照灯のHID式化、前照灯と尾灯の配列変更等車体関係の変更が多い。ちなみに車椅子スペース設置とバリアフリー対応トイレへの改造は前期編成についても施工された(乗降ドア移設工事も同時施工)。
- 250系における変更点は前述の主回路制御と台車、ブレーキ方式である。それ以外の車体構成は200系後期編成に準ずる。
[編集] 種車
完全新製の251Fを除き、以下の1700・1720系の編成を種車としている。
- 201F←1741F
- 202F←1731F
- 203F←1751F
- 204F←1711F
- 205F←1701F
- 206F←1761F
- 207F←1781F
- 208F←1721F
- 209F←1771F
[編集] 運用
臨時列車などを除き、全編成特急『りょうもう』運用のみでの使用である。
現在では形式ごとの限定運用はないが、200系の営業運転開始から暫くの間は佐野線への乗り入れ列車は1800系の限定運用であった。
[編集] 検査工場
200系・250系の検査担当工場は当初は西新井工場であったが、現在の南栗橋車両管理区(工場エリア)へ移転してからは東武日光線でもその回送運転等で入線するようになった。出場試運転区間は南栗橋 - 新栃木間である。
[編集] 関連商品
[編集] 参考文献
- 東武電車研究会『私鉄電車ビジュアルガイド 東武鉄道』中央書院刊 ISBN 978-4-88732-142-7
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