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新生銀行 - Wikipedia

新生銀行

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

新生銀行のデータ
統一金融機関コード 0397
SWIFTコード LTCBJPJT
代表者氏名 社長:ティエリー・ポルテ
(Thierry Porte)
店舗数 31
2008年5月31日現在
設立日 1952年(昭和27年)12月
(日本長期信用銀行)
本店
所在地
〒100-8501
電話番号 0120-456-007
(新生パワーコール・
口座開設者専用)
0120-456-860
(新生パワーコール・
その他問い合わせ用)
外部リンク http://www.shinseibank.com
  

株式会社新生銀行(しんせいぎんこう、英称Shinsei Bank, Limited)は、東京都千代田区に本店を置く外資系の普通銀行である。

目次

[編集] 来歴

[編集] 日本長期信用銀行として

日本長期信用銀行の項を参照

[編集] 新生銀行として

新生銀行本店ビル
新生銀行本店ビル
本店入口
本店入口

1998年10月に、経営破綻し日本政府により一時国有化された日本長期信用銀行は、2000年3月中央三井信託銀行グループ他との競争入札の末にアメリカの企業再生ファンド・リップルウッドや外国銀行らから成る投資組合「ニューLTCBパートナーズ」(New LTCB Partners CV)に売却され、同年6月に「新生銀行」に改称した。

ニューLTCBパートナーズとのパートナーシップは2006年11月に解消され、これにより2007年2月でRHJインターナショナル(旧リップルウッド・ホールディングス)の最高経営責任者であるティモシー・C・コリンズ氏は新生銀行の取締役を辞任した。

代表取締役(2004年6月の委員会等設置会社移行に伴い代表執行役)会長兼社長にエクソンモービルシティバンクで日本代表を務めた八城政基を招聘した新体制となってからは、インターネットバンキングでの振込手数料の無料化やATMの365日24時間営業、窓口営業時間の延長、円建てと外貨建ての預金がワンセットになった預金通帳を発行しない総合口座「PowerFlex」の販売など、リテール業務の充実を図った。

2004年4月には長期信用銀行から普通銀行に転換、同年9月には、信販会社アプラスと全面的な業務・資本提携。第三者割当増資により連結子会社化。同年10月にはリッチョーワイド長期信用債券(利子一括払))や機関投資家向けの募集債、財形用リッチョーを除く債券の発行を打ち切っている。また同年同月、消費者金融業シンキを、業務提携で取得した転換社債の行使により持分法適用会社としてグループ傘下に入れるなど、リテール・投資銀行業務等を主軸に積極的な業務展開を行っている。

2005年6月24日現在、資本金約4,512億円、国内の主要都市に29の支店と6の有人出張所、2の無人出張所(ATMを除く)、海外に1の支店と1の駐在員事務所を持つ。このうち国内の2有人出張所と2無人出張所は、ATM、インターネットバンキング、コールセンター直通電話などを用い、常駐行員をゼロもしくは少数化した軽量店舗である。2007年3月31日現在、従業員数は2,248人(嘱託、臨時採用、現地雇用除く)。

[編集] システムについて

基幹システムに、マイクロソフトWindows 2000 Serverをベースとする、ハードウェアに依存しないオープンシステム(インド・i-flex solutions製の総合銀行業務パッケージ「FLEXCUBE」)を採用。このため、ATMでは待機中の画面に一瞬Windows 2000のロゴマークが写される事がある。

本支店間も、各店舗に置かれたPCサーバ(IAサーバ)をIPネットワークで接続している。メインフレームと専用線で基幹システムを構成するのが当たり前だった大手銀行では異例である。パッケージソフトとオープンシステムの採用により、低コストでシステムを運用できるため、振り込み手数料やATM手数料の無料化など独自のサービスで顧客に還元している。稼働停止時間帯がなく、インターネットバンキングなどのサービスを24時間365日利用できるのも、他行にはない大きな特長になっている。

一方で、頻度は多くないものの、二重出金などのシステムトラブルも発生している。

[編集] 商品について

[編集] 総合口座「PowerFlex」

個人向け基幹商品である「PowerFlex」は、円建預金・外貨建預金・インターネットバンキングサービス「新生パワーダイレクト」の3つがセットになった総合口座である。

特に、円建預金と外貨建預金のセット化は日本法人の銀行としては初めての試みである[1]。従来、外貨建預金は総合口座とは別個に開設しなければならず、資金移動も(一部の通貨建を除いて)店頭に赴いて行わなければならなかった。

また、インターネットバンキングがセットになっているため「新生パワーダイレクト」が口座開設当初より利用できる。このパワーダイレクトを用いて円建預金-外貨建預金間の資金移動が即座に行えるのも特長といえる。もちろん円建普通預金では給与振込や公共料金引落も他行同様に利用できる。従来、インターネットバンキングサービスも総合口座とは別個に申し込む必要があった(メールオーダーでの新規開設など一部のケースを除く)。

ほか、以下の特徴がある。

  • 2008年5月1日現在、新生パワーダイレクトを用いた振込手数料が、自行宛は一律無料・他行宛は月3回までを手数料分キャッシュバックしている。さらに、前月末残高2000万円以上は月10回、同200万円以上の場合は月5回分が無料となる(それぞれ、規定回数を超えた場合は、1件につき他行宛300円)。しかし、同年7月1日より前述のうちキャッシュバック回数が月3回までの顧客は月1回のみキャッシュバックとなることが発表された。なお、2004年8月31日までは振込手数料が一律無料であった。株のデイトレードやインターネットオークションなどで多用するユーザーが増加しサービス維持に支障をきたしたことから振込手数料無料基準が2度変更されている[2]
  • キャッシュカードの新規発行には通常1~2週間を要するが、店頭において口座を開設した場合に限りPowerFlexではキャッシュカードを即時発行している[3]。これも日本初のサービスである[4]。なお、店頭申し込み以外は本店に口座が開設されキャッシュカードは郵送される。
  • カードの偽造や変造による預金者の損害については、条件付きで300万円までの補償制度がある。
  • 口座開設の際、印影にかえてサインを登録することができる。
  • 海外において、PLUSマークがあるCD及びATMで現地通貨を引き出すことができる。特段の手続なしで通常使用しているキャッシュカードで可能。しかも、ATM利用手数料も基本的にない。引き出した現地通貨は、VISAインターナショナルが定めた為替レートに4%が加算され即時に日本円に換算後、円普通預金から引落とされる。このサービスは、クレジットカードでは普及しているが銀行のキャッシュカードでは珍しい[5]
  • ただし、システム的に柔軟性を欠く部分が以下のような点に見られる。
    • 名義登録時に「・」が受け付けられない。
    • 日本国籍ではミドルネームが受け付けられない。
    • Login画面がフルサイズで表示される(新生パワーダイレクト利用時)。
    • 半角カタカナを入力に使う(新生パワーダイレクト利用時)。
    • 右クリックが使用できない(新生パワーダイレクト利用時)。
    • キャッシュカードの暗証番号を変更できない(新生パワーダイレクト利用時)。

[編集] 仕組預金

新生銀行の金融商品の大きな特徴としては、デリバティブを組み込んで高い利息を実現した「仕組預金」が多い事が挙げられる。現在では残高が1兆円を越えており、同行の預金のおよそ3分の1を占めるほどである。

この仕組預金は、一見すると定期預金的な商品として売り出されている。しかし、中途解約が原則として出来ない上、行えたとしても大きく元本割れ(1~5割程度)する可能性があり、この点が通常の定期預金とは大きく異なる。

なお、中途解約して元本割れした者が商品の危険性について銀行側が十分な説明をしなかったとの苦情を金融庁に寄せており、同庁ではこれを受け、顧客に不利な情報についても、広告で目立つように掲載することを全国銀行公正取引協議会へ指示した。また、顧客への説明義務を強化するために、銀行法の改正も検討している。これらを受け、同行でも中途解約時の元本割れリスクについて広告などで詳しく説明するようになった。

以下に、その一覧を上げる。

  • パワード・ワン(現在は募集停止) - 基本的に5年間の運用であるが、新生銀行の判断で運用期間が8年に延長される場合がある
  • パワード・ワン プラス(現在は募集停止) - 基本的に5年間の運用であるが、同様に10年間に延長される場合がある
  • ニュー パワード・ワン - 基本的に3年間の運用であるが、同様に5年間に延長される場合がある
  • 日本力円預金
  • パワーリンク225(現在は募集停止)
  • パワー10(現在は募集停止)

[編集] 店舗

現行店舗については、店舗一覧を参照

[編集] ATMの設置状況

本支店設置のATMベンダはほとんどが沖電気工業。仙台三越秋葉原UDXビル2階などの一部の店舗外設置箇所では富士通のもの、東京地下鉄駅構内では日立製作所のものも見られる。

仙台三越の場合、デイリーヤマザキへの設置ではないが、新生デイリーバンクの扱いとなっており、コンビニATM型の機種ではなく、当社本支店や東京スター銀行の支店ATMなどで見られるような、通帳挿入口がない一般のATM機種を使用している。

本店・支店・出張所のほか、以下の施設にも設置されている。

店舗外のものについては、業務提携締結に伴いセブン銀行への置き換えがなされる。デイリーヤマザキ設置分については、単純な置き換えでは同業他社系列のATMを設置することになるため現状では処遇が未定。撤去し、イーネット東京スター銀行ゆうちょ銀行への入替の可能性もある。なお、これに伴い、店舗外での相互送金の取扱が無くなる。

[編集] ATMの提携状況

  • 新生銀行の口座での引出・預入は手数料無料である。
  • 都市銀行(みずほコーポレート銀行除く)・信託銀行(みずほ信託銀行、三菱UFJ信託銀行、中央三井信託銀行、住友信託銀行のみ)・あおぞら銀行三浦藤沢信用金庫商工中金のキャッシュカードでも提携時間内(平日8:00~21:00、土曜・日曜・祝日9:00~17:00)であれば現金を引き出せるが、要手数料(平日8:45~18:00は105円、平日8:00~8:45・18:00~21:00と土曜・日曜・祝日9:00~17:00は210円)なので注意(ただし、残高照会は終日無料。また、あおぞら銀行と商工中金のカードについては平日の8:45以前と19:00以降及び祝日は利用できない)。また、硬貨が使用できない場合がある。
  • 2007年9月3日から、同行が加盟しているATMネットワーク:LONGS接続金融機関以外としては初めて、横須賀市三浦市藤沢市を中心に展開している三浦藤沢信用金庫とのATM相互利用開放が開始された。
  • 2008年4月1日から、全国のイーネットで引き出しが可能となった。
  • 新生銀行が加盟するLONGSは、上記の銀行以外のATMネットワークに接続していないため、これ以外の金融機関(地方銀行・第二地方銀行・三浦藤沢以外の信用金庫など)のキャッシュカードは利用できない。
  • 新生銀行のキャッシュカードを利用できる提携ATM等については下表に示す。なお、都市銀行のうちみずほコーポレート銀行は利用できない。また、信託銀行と示したのは、みずほ信託・三菱UFJ信託・中央三井信託、住友信託の各行に限る。
    キャッシュバックとは、それぞれ手数料(105円~210円)がいったん引き落とされるが、1ヵ月分の手数料金額をまとめて、翌月初旬に口座に返金されるシステムである。
  • イーネットATMは全機種で利用できるが、地方銀行・第二地方銀行管理機の場合は都市銀行経由での取引となる。
  • ローソンATMは都市銀行管理機(宮城県(一部)・埼玉県千葉県(一部)・東京都神奈川県(一部)・岐阜県愛知県滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県)のみ利用できる。
  • アットバンク三井住友銀行管理機(群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県)のみ利用できる。
  • 下記以外の金融機関(地方銀行・第二地方銀行・三浦藤沢以外の信用金庫など)のATMは利用できない。
  • 平日9:00~15:00限定ではあるが、窓口およびATMでゆうちょ銀行振替口座総合口座通帳通常貯金含む)、通常貯蓄貯金宛の送金(相互送金)が可能である。もちろん、ゆうちょ銀行の振替口座、総合口座通帳(通常貯金含む)、通常貯蓄貯金から引き落とす形で新生銀行口座宛に振り込むことも可能である。
ATM種別 入金手数料 引き出し手数料 残高照会
新生銀行のATM 無料 無料 無料
セブン銀行のATM 無料 無料 無料
郵便局のATM 無料 キャッシュバック 無料
都市銀行・信託銀行・あおぞら銀行・商工中金・
三浦藤沢信金
入金不可 キャッシュバック 無料
イーネットATM(全機種)・
ローソンATM都市銀行管理機のみ)
アットバンク三井住友銀行管理機のみ)
入金不可 キャッシュバック 無料

[編集] 提携金融機関キャッシュカードの引出手数料改定

2001年6月から長らく続いてきた新生銀行ATMでの提携金融機関キャッシュカード引出手数料無料のサービスは2006年3月26日の17時を以て終了した。詳しくは新生銀行からのお知らせを参照のこと。

なお、新生銀行Power Flexの顧客は引き続き24時間手数料無料で引き出し・預け入れができる。また、他行ATM出金手数料キャッシュバックのサービスも、継続されている。

[編集] 長銀破綻処理をめぐる批判

長銀破綻から新生銀行誕生に至る一連の処理に際して、次の2点で大きな批判が沸き起こった。

  • 瑕疵担保条項の積極的行使
旧長銀の売却契約の中に、瑕疵担保条項(新生銀行が引き継いだ債権が、3年以内に2割以上下落したら、国に買取請求を行う)があった。新生銀行にとり、有効期限内に不良債権を一掃し、かつこれにより貸倒引当金戻入益を計上できるメリットがあったため、積極的にこれを行使した。この結果、ライフそごう第一ホテル等、長銀をメインバンクにしていた企業が破綻に追い込まれ、社会的非難を浴びることにもなった。
これと関連し、長銀の破綻処理で金融再生委員会のアドバイザリーに指名されたゴールドマンサックスに対して、『瑕疵担保条項の危険性を忠告する義務があった』と与野党から批判が集まった。このほか同社は、日債銀売却に際しても、買手側のソフトバンクサイドのアドバイザリーに就いていた他、長銀子会社の日本リース売却の仲介や日本ランディックの資産買取等に関与しており、利益相反の観点から批判があがった。2000年7月、国会は金融庁・金融再生委員会幹部職員、八代・新生銀行社長(当時)と共に、ゴールドマンサックス担当者も参考人招致をしたが同社はこれを拒否している。
  • 東証再上場
2004年2月20日、投資組合側は、新生銀行を東証一部に再上場させ約2300億円の売却益を手に入れた。出資金を含めた諸費用は約1210億円で、1000億円以上の純益を稼いだ。
これに対し、国民負担が巨額(旧長銀に投入した公的資金は約7兆9000億円、そのうち債務超過の補填分約3兆6000億円は損失が確定。さらに、前述の瑕疵担保条項の行使で、預金保険機構を通じ国が買い取った債権も将来的には損失が予想され、最終的な国民負担額は4-5兆円に達することが予想される)の上、その売却益に課税ができない(投資組合は本拠地が海外にあるため、日本政府はその売却益に課税できない)ことが報道され、前回以上の批判が沸き起こった。
  • もっとも批判に対して、以下のような反論もある。
  1. 旧長銀売却に際し日本政府は、投資組合側が要求した資産査定に対し、資産査定の時間的問題と債権が相当劣化していたのを見せないために拒否しており、瑕疵担保条項はその代償である。
  2. 瑕疵担保条項の行使は、企業価値の最大化の目的に対してはむしろ妥当であり、またこのことが、旧長銀の債権が相当劣化していたことの証左でもある。
  3. 巨額の投資純益に関しては、当時旧長銀買収で競合した中央三井信託銀行グループが、投資組合を上回る条件を提示できなかった事を考慮しても、投資組合側が相当なリスクを踏まえた結果である。
  4. 仮に日本政府が課税措置をとった場合、投資組合の本拠地国でも当然課税措置が生じるため、当該企業にとっては二重課税の問題が生じる。海外に本拠地を置く企業に課税できないのは本件に限ったことではなく、国際取引課税では二重課税が生じないような取決めがなされている。

[編集] 業務改善命令

金融庁は2007年6月29日、新生銀行の収益実績が目標を大きく下回ったため、「金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律」と銀行法により業務改善命令を発出した。

[編集] 本社ビルについて

1993年内幸町に完成した長銀本店をそのまま引き継ぐ。側面がアルファベットのTの字に似た外観の建物は、無機質なビルが多い周囲の中では特段に目立つランドマーク的な存在である。長銀時代は、総ガラス張りで豪華さを際だたせていた玄関ホールは、新生銀行へ移管した後にスターバックスコーヒーの店舗が入り、以前のような敷居の高さを感じさせる演出は払拭された。なお、2008年3月サブプライムローンの損失補てんの為に本社(本店)ビルを外資系ファンドに売却し、3年以内に本社を移転することが決定した[6]

[編集] 関連項目

[編集] 補足

  1. ^ その後、東京スター銀行も採用した。
  2. ^ 2004年9月1日から2007年10月31日までは自行宛は一律無料、他行宛は月5回までをキャッシュバックしていた。なお、前月末の残高が1000万円以上の場合は月30回分が無料だった(規定回数を超えた場合は、1件につき他行宛300円)。
  3. ^ ただし、健康保険証など顔写真が確認できない身分証明書で口座開設を申し込んだ場合は後日郵送となる場合がある。
  4. ^ のちにUFJ銀行が、オールワンICキャッシュカードなどを除き、即時発行に踏み切っている。ただし、システム統合により、即時発行は順次停止となる。
  5. ^ デフォルトで可能なものはこのパワーフレックス口座と、2006年9月17日以前申し込み分の三菱東京UFJ銀行のクレジットカード一体型で無いオールワン。そして、2007年7月以降発行のイーバンク銀行のイーバンクマネーカードである。
  6. ^ 当行本店不動産の譲渡ならびに平成20年3月期(第8期)業績見通し修正に関するお知らせ - 新生銀行(ニュースリリース)PDF

[編集] 外部リンク

[編集] 関連書

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