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寿ひずる - Wikipedia

寿ひずる

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

寿ひずる(ことぶき ひずる、本名:伊東春美(いとう はるみ),1954年3月17日 - )は、宝塚歌劇団卒業生(元雪組花組二番手男役スター)で、日本女優である。

三重県津市生まれ・大阪府育ち、出身校帝塚山学院、公称身長168センチ、血液型O型。愛称イーちゃん

現在の所属事務所は(株)クリエイティブメディアエージェンシー。(かつてアクターズプロモーション所属であったが同社が2007年5月破産したことによる。)

目次

[編集] 略歴

  • 津市にあった母方の親戚宅にて出生のち大阪府へ転居。
  • 1972年、58期生として宝塚歌劇団に入団。雪組公演『かぐら/ザ・フラワー』で初舞台を踏む。同期生に現専科の星原美沙緒邦なつき、女優の峰さを理高汐巴がいる。当初の芸名は「寿 ひづる」だった。
8月、関西テレビ番組「ザ・タカラヅカ!」に出演するユニット「バンビーズ」の8期生に選ばれる。同じく選ばれた峰、高汐とともに、翌年3月までほぼ毎週テレビ出演する事となる。
  • 1973年星組に配属。峰、高汐と同期生トリオとして使われ、注目を浴びる。
9月、『この恋は雲の涯まで』本公演では主題歌指導・新人公演では峰・高汐と共に主要な役を同期三人で占めた。
  • 1974年花組へ組替え。『ベルサイユのばら』の小公子などで、歌唱力に優れた、フェアリー型男役として活躍する。
  • 1978年宝塚バウホール開場第一作『ホフマン物語』に出演。新人バージョンでホフマン役を演じ好評を博す。
  • 1980年雪組に組替え。新トップ麻実れいのもとで2番手スターとなる。娘役トップ遥くららも加えた3人の並びは「ゴールデントリオ」と称され、人気を博した。
  • 1981年、『彷徨のレクイエム』第1部で主演。(コビリンスキー大佐役)
  • 1982年、花組へ組替え。すでに翌年退団の決まっていた花組のダブルトップ、松あきら順みつきの後を受けて、花組トップスター就任のための組替えであった。
9月、突然、歌舞伎役者五代目坂東八十助(現十代目坂東三津五郎)との婚約を発表。年内での退団が決定。
12月、東京公演『夜明けの序曲』(松あきらのサヨナラ公演)をもって、トップスターになることなく宝塚歌劇団を退団。あらゆる意味で、非常に惜しまれた退団だった。
  • 1983年5月、坂東八十助と結婚。
二人の女児と坂東巳之助をもうけ、梨園の妻としての勤めを果たしていたが…。
  • 1997年3月、離婚。八十助が近藤サトら複数の女性と不倫関係にあったことや、寿と八十助の家族(両親と二人の妹)との永年の深刻な確執が取り沙汰された。
現在はミュージカルを中心に出演。抜群の歌唱力と持ち前の華で活躍している。

[編集] スター像

  • 宝塚時代は"フェアリー型"と讃えられた優美な容姿にダンス・日舞・芝居もさることながら現在でも劇団史上最も歌唱力が高い男役のひとりであったとの評価も根強い絶大な歌唱力に定評があった。
  • 文句なしの実力以上に当時のトップスター各人にもヒケをとらないといわれた絶大な人気とファンからの好感度があった。
だけにトップ就任をせぬまま退団したことは当時多方面から大変惜しまれた。退団発表時悲嘆にくれたりパニック状態となってしまったファンが続出したことも当時の宝塚ファンの語り草となっているし、現在も"幻のトップスター"と形容されることが少なくない。
  • 芸能界本格進出後は第一作こそ主演だったが翌'99年の「42nd street」(ドロシー役、休演した上月晃の代役)以降は脇に回る。2000年芸能界進出した初風諄,2001年(東宝版「風と共に去りぬ」でメラニー役より)から従来の主役や男性主役の相手役だけでなく脇にも進出した杜けあきらと共に淀かおる('93)・上月('99)が相次ぎ逝去し空白となっていた”日本(とくに東宝)ミュージカルの唄えて演れる中高年女性助演者”の層を埋めた実績は評価に値する。

[編集] 雑記

  • 寿がトップスター就任が決定していながら、退団を決意した理由については、現在でもいろいろと取りざたされている。有力なところでは、
    • 持病(後述)の為短期トップになるかもしれない、それでは花組の組子達やファンに申し訳ないから(当時はトップの任期は4~5年は当たり前だった)と言うもの。
    • いくら過去に在籍していたとはいえ、他の組からの落下傘トップでやっていけるかどうか不安だったから(雪組のトップなら退団しなかった、と後年インタビューに答えている)と言うもの。
寿の"トップ就任なき退団"は花-雪両組間で平みち-高汐巴の"交換トレード"的組替実施・組替先でのトップ就任(高汐・'83年、平・'85年)が行われるなど、昭和末期の宝塚(4組体制)の男役トップ勢力図に大いに影響を残した。
  • 寿の実父は養毛剤・整髪料等の老舗メーカー「加美乃素本舗」の経営の中枢にいた人物で後に社長も歴任した。寿の入団が縁で加美乃素はしばしば宝塚歌劇招待を懸賞とした販促キャンペーンを実施、これは寿の父が他界(寿在団中)したあとの現在も継続され、また寿・八十助が結婚していた頃、八十助がCM出演したこともある。
また父は関西歌舞伎の役者たち、特に松島屋(片岡仁左衛門 (13代目)一家)とは永年の交際があった。寿は父と共に片岡秀太郎高田美和夫妻(のち離婚)の披露宴に招かれたことや、汐風幸(片岡仁左衛門 (15代目)長女)の入団志望など両家の永年の繋がりを感じさせる逸話は少なくない。
  • 寿は若かりし日よりネフローゼの既往があった。三度出産したが、特に巳之助妊娠の時(1989年、出産は同9月)は病状が芳しくなく、(母体保護の観点上)医師からの中絶勧告すらあったといわれる。
  • 安寿ミラの芸名の姓の『寿』は寿にちなんだといわれる。(因みに『安』は安奈淳に由来)
  • 前出・上月とは'99の「42nd~」での代演関係だけでなく、前年の復帰作「華の絆」の共演者(準主役宋靄齢役)同士であった。「42nd~」出演が決定した矢先の同年3月25日に上月が58歳で逝去、死因も末期の大腸癌であったことが公表された。寿は森繁久彌(永年東宝の舞台公演で上月と共演が多く、直前に自身の愛息も享年58歳で癌の犠牲となっていた)と共に上月の死を最も悲しんだ人物であったと報じられた。

[編集] 外部リンク



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