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寺脇研 - Wikipedia

寺脇研

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

寺脇 研(てらわき けん、1952年 - )は元文部官僚映画評論家NPO法人日本映画映像文化振興センター副理事長京都造形芸術大学芸術学部教授コリア国際学園設立準備委員[1]文部科学省大臣官房広報調整官を最後に同省を辞職した。福岡県生まれ。

目次

[編集] 略歴

1952年7月13日医学部教授の父の長男として福岡市で生まれる[2]ラ・サール高校を卒業後[3]東京大学法学部に進学した。

1975年、当時の文部省(現在の文部科学省)にキャリア官僚として入省し、1992年には職業教育課長就任。広島県教育長に出向(1993年1996年)した後、文部省(文部科学省)に復帰し、事務次官有力候補者が任命される官房三課長には就かなかったものの、大臣官房政策課長を経て、いわゆる中二階ポスト(局次長審議官部長)である大臣官房審議官(初等中等教育担当)に就任した。この間、同省の推進した「ゆとり教育」政策に関して、マスコミの前面に出て同省の見解を説明するスポークスマン的な役割を担った(ゆとり教育に関わる点の詳細は後述)。

2002年、大臣官房審議官から外局である文化庁文化部長に異動となった。2006年4月、同省の事務方より退職勧奨を受けるが、小坂憲次文部科学大臣に慰留された[4]こともあって辞職せず、中二階ポストから課長級に当たる大臣官房広報調整官に就任するという異例の降格人事となった[5]。その後、2006年11月10日付で文部科学省を辞職した。

[編集] 教育の「専門家」として

文部省・文部科学省在任中は、初等中等教育政策に深く関わったことから、教育に関する著作が数多い。また、在任時には、いわゆる「ゆとり教育」「脱偏差値」「学校週5日制」「総合的な学習の時間」「生涯教育」などの旗振り役として同省の立場を国民に伝える役割を果たしたため、「ミスター文部省」と呼ばれた[2]

そのため、「ゆとり教育」を中心としたこれら一連の政策への批判が高まるとともに、個人としても批判を受けることが多くなった[6]

2002年に文化庁へ異動となったのは、文部科学省が批判をかわすためであったと言われている[要出典]が、文化庁への移動後も、「ゆとり教育」推進の立場から発言を続けた[7]

文部科学省退官直前には、「今後も教育文化について、民間の立場から取り組んでいく[4]と述べ、その後も「ゆとり教育」推進の立場からの発言や著作を続けている。

また2007年には、在日コリアンの子弟を主な対象とするインターナショナル・スクールコリア国際学園[8]の設立準備委員に就任している。

[編集] 映画評論家として

趣味は映画評論で、大学在学中からキネマ旬報の「読者の映画評」欄の常連であった。その後、「75年からはさまざまな映画雑誌に求められ執筆するように」[9]なり、同誌にも「映画評論家」の肩書きで寄稿するようになった。そのため、マスメディアには映画評論家としてコメントを寄せることも少なくなく、映画に関する著書もある。文部科学省在職時代から、日本映画映像文化振興センター副理事長に就任している。

とりわけ、「年間150本程度見ている」という日本映画に対する造詣が深い反面、洋画はほとんど見ず、最近は韓国映画を見る本数が増えたと語っている。また、ピンク映画や、いわゆる「B級映画」についても言及することが多い。ピンク映画の世界では、親しみを込めて「ケンちゃん」と呼ばれている[2]

近年は、映画を通じた日韓の文化交流にも当たっている。2004年文化庁が主催して韓国で開催されたイベント「日本映画:愛と青春」(1965年から1998年に発表された日本映画46本を上映したもの)は、文化庁に在職していた寺脇が中心となって進めた企画だといわれているが、黒澤小津ら、巨匠と呼ばれる監督の作品を敢えて排し、日活ロマンポルノに属する作品を入れるというラインナップが物議をかもした[要出典]

[編集] 著書

  • 『動き始めた教育改革 教育が変われば日本が変わる!!』主婦の友社 1997年
  • 『なぜ学校に行かせるの?』日本経済新聞社 1997年
  • 『教師としての「責任のとり方」』(向山洋一との共著)明治図書出版 1998年
  • 『何処へ向かう教育改革 「どうなる学校」の疑問に全回答』主婦の友社 1998年
  • 『中学生を救う30の方法』講談社 1998年
  • 『どうする「学力低下」 激論・日本の教育のどこが問題か』(和田秀樹と共著)PHP研究所 2000年
  • 『21世紀の学校はこうなる』新潮社 2000年
  • 『対論 教育をどう変えるか』学事出版 2001年
  • 『生きてていいの?』近代文芸社 2001年
  • 『格差時代を生きぬく教育』ユビキタスタジオ 2006年
  • 『それでもゆとり教育は間違っていない』扶桑社 2007年
  • 『さらば ゆとり教育 A Farewell to Free Education』光文社 2008年
  • 『官僚批判』講談社 2008年

[編集] 脚注

  1. ^ コリア国際学園設立準備委員
  2. ^ a b c 「寺脇研 ゆとり教育旗振り役"転校"完了(ぴいぷる this week)」ZAKZAK 2006年12月8日 [1]
  3. ^ 雑誌AERA』のインタビューにおいて、中高時代の勉強の辛さを語っている。
  4. ^ a b 2006年10月17日付『朝日新聞』朝刊
  5. ^ amazonに掲載された『官僚批判』の「著者紹介」では、この人事を小坂文科相の特命によるものとしている[2]
  6. ^ 例えば、元産経新聞論説委員の高山正之からは、小尾鳩山邦夫と並んで、日本の教育を崩壊させた戦犯だと批判されている[要出典]
  7. ^ 例えば、『中央公論2004年2月号の「文部科学省の教育改革を語る 「ゆとり教育」は時代の要請である」[3]
  8. ^ コリア国際学園ホームページには、土曜授業、一般公立学校の約2~3倍の週12時間の英語授業の実施、放課後や夏期休暇中の進学に向けたバックアップ体制、全国有数の進学塾との提携、などが掲げられている。
  9. ^ 「寺脇研のページ」のトップページにある自己紹介より

[編集] 外部リンク


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