学校教育
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[編集] 概要
学校教育は、公教育(こうきょういく)と密接な関係がある。公教育とは、国家や地方自治体など公的機関が行う教育のことで、学校を通じて行われるためである。
なお、教育そのものは、学校教育のほかにも社会教育や家庭教育などがあり、それぞれの教育が連携し合うことで教育の目的を達成していくことが理想と考えられている。
[編集] 海外の学校教育
世界の各国では、独自に学校教育が行われており、その性質はさまざまである。また、学校教育は、それぞれの国の法令に基づくことが多い。
[編集] アメリカ合衆国
アメリカ合衆国では、州ごとに学校制度が異なる。しかしながらその多様性を背景に、さまざまな形態の学校が認められており、柔軟な選択が可能だと考えられる。
大学進学の条件は大学によってその審査や要求が異なり、多くの場合は高校在学時の成績や、統一試験であるSAT(Scholastic Aptitude TestsもしくはScholastic Achievement Tests)の点数を考慮し、入学の是非を決定する。なお、大学によってはボランティア活動(コミュニティーサービス)、小論文などの審査を実施するところもある。
[編集] ドイツ連邦共和国
ドイツ連邦共和国においては、中等教育以降、職業人向けと高等教育向けの学校が厳格に分けられている。しかし進路変更は比較的柔軟に可能である。大学に入学するにはアビトゥア資格を得る必要がある。
教育を受ける機会の平等を掲げ、大学教育までの一切を国費でまかなってきたが、近年、留年する大学生の増加を背景に制度改革が叫ばれている。
[編集] イギリス
イギリスでは、地域や公立・私立によって教育制度が異なる。但し、イングランドとウェールズは、ウェールズ語の必修を除いて同じである。
[編集] イングランド
- 5歳から16歳までの11年間が義務教育である。ただし、近年就学前の児童を受け入れる小学校もある。最終学年でGCSE(General Certificate of Secondary Education)を受験、その後の進路が決まる。
- 公立学校 - 初等学校(5歳~11歳)+中等学校(11歳~18歳)
- 義務教育は中等学校5年生まで。
- 私立学校 - 幼稚園(5歳~7歳)+初等学校(7歳~13歳)+中等学校(13歳~18歳)
- 私立の場合、幼稚園(初等学校併設)へは2歳ごろから受け入れを行っている。
- GSCE --- Ordinary Levelが必修(義務教育修了レベル)
- 大学進学にはさらに2年間(16歳~18歳)の在籍とGCE Advanced Levelが必要である。科目は多岐にわたり、その中から数科目を選択して履修する。
- 公立学校 - 初等学校(5歳~11歳)+中等学校(11歳~18歳)
[編集] スコットランド
- 5歳から16歳までの11年間が義務教育であるが、学校制度が異なる。
- 小学校(5歳~12歳)+中等教育学校(12歳~18歳)
- 義務教育は中等教育学校4年生までであり、この学年修了時に修了試験を受験する。
- 小学校(5歳~12歳)+中等教育学校(12歳~18歳)
[編集] 大韓民国 (韓国)
義務教育は小学校(6歳~12歳)+中学校(12歳~15歳)であるが、事実上国民のほとんどが高等学校(15歳~18歳)まで進学する。大学入学に際し、大学修学能力評価試験(統一試験)を受験しなければならない。
[編集] ポーランド
[編集] 日本の学校教育
日本において学校教育とは、狭義には、学校教育法(昭和22年法律第26号)の第1条に規定する学校(1条校)で行われるものを指す。具体的には、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学などが代表的な学校であり、6歳から15歳までの時期(学齢期)が義務教育である。
ただし、狭義の学校教育に該当しなくても、学校教育に類するとされる教育の場も現代の日本では重要な意味をもっている。特に専修学校(高等専修学校、専門学校)や各種学校は、学校教育法第1条には規定されていないものの、学校教育法の中に規定があるため、ほぼ学校教育として扱われている。また近年では、保育所や大学校のように文部科学省の所管に属さない施設も、学校教育に接近し密接なかかわりを持つようになってきている。(詳しくは、学校制度を参照。)
学校教育は、日本国憲法や教育基本法(昭和22年法律第25号)の精神に則って行われ、憲法や基本法を受けて学校教育法やそのほかの法令が制定されている。教育基本法第6条では、学校教育を行う学校を「公の性質をもつ」と規定している。例えば、学校教育法で、中等教育学校における教育については、次に掲げる目標の達成に努めなければならないとされている(学校教育法第51条の3)。
- 国家及び社会の有為な形成者として必要な資質を養うこと。
- 社会において果たさなければならない使命の自覚に基づき、個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な技能に習熟させること。
- 社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、個性の確立に努めること。
[編集] 学校教育の範囲
日本国内においては、学校教育法の第1条で定められる正系の学校(通称「1条学校」)で行われる教育が狭義の学校教育とされ、正系の学校に準じているものが広義の学校教育とされる。
- 上記の学校に準じるもの
これら以外に、養成所、職業能力開発促進法に基づく公共職業能力開発施設、教習所(自動車教習所・相撲教習所)、カルチャーセンター、公開講座、フリースクール、ホームスクールなどがある。
[編集] 学校教育の段階・内容
日本における学校教育は、おおむね次の段階から成立している。
- 就学前教育(幼稚園)
- 初等教育(小学校) = 義務教育、普通教育
- 前期中等教育(中学校、中等教育学校前期課程) = 義務教育、普通教育
- 後期中等教育(高等学校、中等教育学校後期課程)= 普通教育 + 専門教育
- 高等教育(大学(大学院)、短期大学、高等専門学校)= 一般教育 + 専門教育
また、教育内容については、次のものがあり、それぞれの段階で行われている。
- 普通教育(初等教育~中等教育)
- 一般教育(高等教育)
- 専門教育(中等教育~高等教育)
- 特別支援教育
[編集] 国際バカロレア資格
国際バカロレア資格とは、スイスの財団法人国際バカロレア機構 (Organisation du Baccalaureat International) の定める教育課程を修了すると得られる資格のことである。学校教育の修了資格として国際的に認められている。国際バカロレア資格に基づく教育課程を編成して実施している学校は、日本国内では7校程度あり、これらの学校は、インターナショナル・スクールなどと呼ばれる。