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国鉄C61形蒸気機関車 - Wikipedia

国鉄C61形蒸気機関車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

C61形蒸気機関車(C61がたじょうききかんしゃ)は、1947年に製造された日本国有鉄道(国鉄)の急行旅客列車テンダー式蒸気機関車である。

D51形のボイラーを流用して誕生した。

19号機(1971年4月8日、奥羽本線二ツ井駅~前山駅)
19号機(1971年4月8日、奥羽本線二ツ井駅前山駅

目次

[編集] 改造までの経緯

戦後、旅客輸送需要が急増し、戦時中製造がストップしていた旅客用機関車が急激に不足したため、国鉄戦前に製造していたC57形C58形C59形の追加製造を行うことを決定した。しかしGHQの許可なしに新造ができなかったため、新造できた両数が少なく、機関車不足を解消することができなかった。その一方で終戦により貨物輸送需要は逆に激減していたことから、苦肉の策として、余剰となっていたD51形、D52形を、旅客用機に転用改造することとなった。

[編集] 製造・構造

三菱重工業日本車輌製造の手により計33両が改造された。本形式はD51形の改造名義ではあるが、流用したのはボイラーと一部の部品のみ。特に動輪など走行用の部品はほとんど新造したと言っても過言ではなかった。走行部はC57形をベースにしているが、後従輪を2軸台車とした2C2型の「ハドソン」と呼ばれる車軸配置となっている。

C61形と同時に改造が進められていたC62形は途中労働争議のため完成が遅れ、先にC61形が完成したため日本初のハドソン機は本形式となった。

また、当時は石炭の質が非常に悪かったため、パワーを出し切るには大量の石炭が必要であった。そこで、機関助士の労力を軽減するため、日本の機関車としては初めて自動給炭装置(メカニカルストーカー)を装着した。

[編集] 活躍

東北本線常磐線奥羽本線(秋田-青森間)、鹿児島本線という亜幹線に配属された本形式は旅客列車を中心に多くの列車を牽引した。性能や大きさからC57形やC60形と共通に運用されることもしばしばあった。 C57形と比べた場合、ボイラ容量が格段に大きいため出力が上回っている反面、軸重とシリンダ牽引力で僅かに劣ったため、ボイラ容量がものを言う優等列車牽引では優位に立ったが、軸重とシリンダ牽引力で決まる普通列車牽引ではC57の方が良かったと言われる。 また、C60形と比べると、出力で若干上回る一方で牽引性能で劣っていたが、自動給炭装置が付いていたことは大きなアドバンテージで、優等列車牽引ではC61形が優位だった。 最たる例は昭和30年代の東北本線仙台以北で、北海道連絡の特急・急行列車は基本的に仙台機関区のC61形が仙台~青森間を通しで牽引したのに対し、C60形は優等列車の盛岡以北の補機や普通列車の牽引が中心であった。

両数が少ない上に、主な活躍の場が大都市から離れていたことから地味な存在ではあったが、東北初の特急はつかり」の仙台-青森間、ならびに、東北初の寝台特急はくつる」の同じく仙台-青森間(デビュー当初の「はつかり」、ならびに、「はくつる」の盛岡-青森間は、急勾配の十三本木峠越えの区間に備えて、C60前部補機として連結)や、東京-鹿児島(のちに西鹿児島)間を鹿児島本線経由で結んだ寝台特急はやぶさ」の九州内をはじめ、東北地方や九州で数々の特急や急行をけん引し、華々しい活躍を見せた。

また、のちに動態保存機となった2号機を含めた最後の6両(他に18・19・20・24・28の5両)は、1968年10月のダイヤ改正で東北本線の盛岡-青森間の電化が完成してからは、1971年10月に九州の日豊本線用として宮崎機関区に転属するまでは青森機関区に集中配置され、奥羽本線の秋田-青森間で活躍したが、旧線時代の矢立峠越えの区間(秋田・青森県境)などでD51形とともに奮闘する姿が鉄道ファンの注目を集めた。

最後の活躍の舞台は九州の日豊本線だが、動態保存のために2号機が1972年に梅小路機関区に転属。残る5両も1973年の宮崎電化までに大半が引退し、最後の1両(18号機)も1974年に運用をはずれ、1975年1月に用途廃止された。

[編集] 改造

新製配備時から1970年の廃車時までを九州鹿児島本線筋で過ごした6両(12・13・14・31・32・33。鳥栖機関区→鹿児島機関区)のうちの1両である13号機には、昭和30年代の全般検査時に、鹿児島工場において、前方へ傾いた類似型門鉄デフが装着された。

[編集] 主要諸元

  • 全長 20,375mm
  • 全高 3,980mm
  • 軌間 1,067mm
  • 軸配置 4-6-4(2C2) - ハドソン
  • 動輪直径 1750mm
  • シリンダー(直径×行程) 500mm×660mm
  • ボイラー圧力 15.0kg/cm²
  • 火格子面積 3.27m²
  • 全伝熱面積 221.5m²
    • 過熱伝熱面積 64.4m²
    • 全蒸発伝熱面積 157.1m²
      • 煙管蒸発伝熱面積 142.7m²
      • 火室蒸発伝熱面積 12.7m²
  • ボイラー水容量 7.4m³
  • 大煙管(直径×長サ×数) 140mm×5500mm×28
  • 小煙管(直径×長サ×数) 57mm×5500mm×90
  • 機関車重量(運転整備) 79.46t
  • 最大軸重(第3動軸で) 13.70t
  • 炭水車重量(運転整備) 48.24t
  • 機関車性能:
    • シリンダ引張力 12020kg
    • 粘着引張力 10275kg
    • 定格動輪周馬力 1380PS
    • 短時間最大動輪周馬力 1777PS

[編集] 改番照合表

改造前 改造後 改造年月日
D51 615 C61 1 1948年11月30日
D51 1109 C61 2 1948年07月31日
D51 1063 C61 3 1948年08月22日
D51 1011 C61 4 1948年08月31日
D51 1075 C61 5 1948年09月28日
D51 1134 C61 6 1948年10月18日
D51 1147 C61 7 1948年10月30日
D51 1117 C61 8 1948年11月
D51 925 C61 9 1948年11月29日
D51 1047 C61 10 1949年12月14日
D51 1139 C61 11 1949年01月15日
D51 1143 C61 12 1949年02月28日
D51 1115 C61 13 1949年03月19日
D51 1124 C61 14 1949年08月31日
D51 1084 C61 15 1949年03月27日
D51 1128 C61 16 1949年05月19日
D51 1130 C61 17 1949年06月18日
D51 874 C61 18 1949年06月18日
D51 1027 C61 19 1949年07月28日
D51 1094 C61 20 1949年07月31日
D51 1123 C61 21 1949年08月31日
D51 1158 C61 22 1948年09月25日
D51 1010 C61 23 1948年09月30日
D51 1135 C61 24 1948年09月30日
D51 366 C61 25 1948年10月08日
D51 198 C61 26 1948年10月28日
D51 1146 C61 27 1948年10月31日
D51 904 C61 28 1948年11月25日
D51 69 C61 29 1948年11月29日
D51 1144 C61 30 1948年12月11日
D51 945 C61 31 1949年01月
D51 1050 C61 32 1949年01月31日
D51 1148 C61 33 1949年03月02日

[編集] 保存機

2、18、19、20号機が保存されている。

特に梅小路蒸気機関車館に保存されている2号機は動態保存されており、同館構内の蒸気機関車体験列車「スチーム号」に使用されることもある。車籍は残しているが全般検査は受けておらず、本線で使用することはできない。

1号機は廃車後旧東北鉄道学園に保存されていたが、1996年頃に解体されており現存しない。


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