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三増峠の戦い - Wikipedia

三増峠の戦い

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

三増峠の戦い(みませとうげのたたかい)とは、1569年永禄12年)の武田信玄後北条氏により行われた合戦である。

目次

[編集] 背景

元々、武田氏と北条氏は甲相駿三国同盟で同盟関係にあったが、1568年12月の武田氏による駿河侵攻で後北条氏と甲相同盟が破綻したことから関係が悪化した。駿河を制圧された場合、本拠の小田原を含め、西側地域がすべて武田氏の領地となる事は後北条氏にとって脅威であった。このため1569年1月には薩埵峠で両軍は早くも対峙している。

[編集] 小田原城包囲

1569年武田信玄の軍勢2万が北条氏康小田原城を囲んだ。有名な惣構えはこの籠戦の後に着工された。とは言え小田原城は上杉謙信が10万以上の兵力で落とせなかった堅城で、篭城策は手堅く、武田勢は城下に火を放ち撤退した。後北条氏は後詰めであった甲州街道守備軍の北条氏照秩父方面守備軍の北条氏邦の軍勢2万が要所である三増峠(相模原市津久井町根小屋~愛甲郡愛川町三増)に着陣し有利に戦端を開いた。さらに北条氏政が2万余りを率いて氏照、氏邦の部隊と武田軍を挟撃、殲滅する作戦であった。

[編集] 戦いの経過と評価

氏政本隊は到着前であったが氏照、氏邦の部隊は先手を打って奇襲攻撃を仕掛けようとしていた。これを察知した信玄は部隊を3隊に分けた。北条軍の攻撃を正面に受けつつ他の2部隊は山中に隠れ北条軍を横から急襲する作戦であった。緒戦では北条氏有利に合戦は経過した。そのため、武田軍は小荷駄隊が損害を受け浅利信種、浦野重秀らが討死している。 しかし武田の別働隊が山岳地帯から奇襲に出ると戦況は一気に武田に傾き、終わってみれば武田軍の大勝であった。北条勢は背後の津久井城守備隊の内藤隊などの予備戦力が救援に出なかったこともあり大きな被害を出している。高低差が大きく作用した戦国最大規模の山岳戦として知られている。武装の研究に熱心な武田軍勢が鉄砲を使い北条軍勢に大きな被害があったとも言われる。この段階では大量の鉄砲を使った戦術は未だ早いが、山岳の隘路を利して鉄砲の知識の少ない兵を効果的に攻撃したのかもしれない。また、武田軍がこの千葉氏などが在陣しているところに向かって「千葉氏と言えばかつて北条と対し、互角に渡り合った衆であろう。それが北条に僕として扱われることに不満はござらんのか」のようなことを大きなメガホンのようなもので叫び、これにより千葉氏が寝返った(勢いを鈍らせた)とも言われている。その他、旧来山岳部を多く領していた武田軍と平地の関東平野を領地にしていた北条軍は山での戦い方では圧倒的に武田側が慣れていたと思われる。

合戦が終わる頃、小田原から追撃してきた氏政の北条本隊2万は荻野(厚木市)まで迫っていたが進軍を停止、挟撃は実現しなかった。もし氏政の部隊が到着していた場合、武田軍は挟撃されて逆に大敗していた可能性もあった。この間に志田峠 (三増峠南西約1km) に機動した武田別働隊が氏照・氏邦の陣よりさらに高所から襲撃し戦局は一転した。山行であるため騎馬による機動でこそ無いものの、武田勢のドクトリンが完遂されたというのが通説となっている。

従来、甲陽軍鑑による武田家主観により評価されてきた。最近発見された資料によると、北条綱成以下、玉縄衆、小机衆、他国衆による援兵も参戦していたことなどが判明しており、傷みわけに近い結果だったかも知れないと改めて考察がなされている。 なお、北条氏照はこの合戦に勝利したという書状を残している。

[編集] 参戦武将

武田軍
武田信玄武田勝頼武田信廉馬場信房内藤昌豊山県昌景浅利信種■小幡重貞

北条軍
北条氏照北条氏邦北条氏忠 ■高城蔵人■原胤栄上田朝直


[編集] ボードゲーム

  • 『甲斐の虎』(ツクダホビー,絶版)-ウォー・シミュレーションゲームゲーム

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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