フローの空間
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フローの空間(ふろーのくうかん、英:space of flows)は、都市社会学者マニュエル・カステルが提示した分析概念。
目次 |
[編集] 概要
[編集] 社会的実践と空間
カステルにとって、空間とは、時間を共有する社会的諸営為の物質的基盤(物的支持)のことである。時間的に同時に何事かが働いていれば、それを支える物的支持基盤が空間になる。
[編集] 情報的発展様式とフローの空間
情報テクノロジーの発達によって、必ずしも、社会的営為に物理的な近接が必要とされなくなり、物理的な近接なしに、同時的、リアル・タイムな相互作用が可能になってきている。この新たな空間形態を「フローの空間」と呼ぶ。「フローの空間」は1989年の『情報都市』のなかで初めて提示された。フローの空間における対応する時間をカステルは「瞬間的時間」と呼んでいる。
[編集] フローの空間と場所の空間
ちなみに、カステルは、従来的な伝統空間を「場所の空間」と名づけている。これは物理的な近接性をもとにした空間であり、つまりは、物理的な近接と時間的な同一性をもとにして形成される空間である。この場合の時間は「氷河の時間」と呼ばれる。
こうして、「フローの空間」による「場所の空間」の侵食といった図式が取られるのであるが、重要なことは、いずれも社会的実践のプロセスから浮かび上がってくるものであり、したがって、一方的に「場所の空間」を切り出して擁護しても有効性はないことである。そこで、現在の社会学では、ジョン・アーリの議論にみられるように「複数の」時空間的営為による複雑な動態を分析する流れが生まれている。
[編集] 参考文献
- Castells, Manuel, 1989, The Informational City: Information Technology, Economic Restructuring, and the Urban-Regional Process, Blackwell.
- マニュエル・カステル(大澤善信訳)『都市・情報・グローバル経済』(青木書店, 1999年)
- ジョン・アーリ(吉原直樹監訳)『社会を越える社会学―移動・環境・シチズンシップ』(法政大学出版局, 2006年)
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学派 | シカゴ学派(人間生態学) - ネオ・シカゴ学派 - ロサンゼルス学派 - 新都市社会学 |
主要概念 | 都市化 - アーバニズム - サバーバニズム - コナベーション - 都市問題 - 集合的消費 - 都市社会運動 - フローの空間 - 日常生活 - 都市計画 - ガバナンス - 建造環境 - 社会的ネットワーク - リズム - 表象 |
主な対象 | 世界都市 - グローバルシティ - プライメイトシティ - メガシティ - ジェネリックシティ - エッジシティ - インナーシティ(スラム - ゲットー) - エスニシティ - コミュニティ |
隣接分野 | 社会学(農村社会学 - 地域社会学 - 文化社会学) - 地理学(人文地理学 - 都市地理学) - 都市経済学 - 都市工学 |
人物(シカゴ学派) | ロバート・パーク - アーネスト・バージェス - ウィリアム・フート・ホワイト - ハーベイ・ゾーボー - ネルス・アンダーソン - クロード・フィッシャー - ルイス・ワース |
人物(新都市社会学周辺) | アンリ・ルフェーヴル - マニュエル・カステル - ロジキーヌ |
人物(ロサンゼルス学派) | エドワード・ソジャ - マイク・デイヴィス |
人物(リストラクチャリング論周辺) | デヴィッド・ハーヴェイ - サスキア・サッセン - ジョン・フリードマン |
人物(空間論、文化論) | ジョン・アーリ - ドリーン・マッシー - アルジュン・アパデュライ |
人物(日本) | 鈴木栄太郎 - 磯村英一 - 奥井復太郎 - 倉沢進 - 奥田道大 - 吉原直樹 - 町村敬志 - 吉見俊哉 - 若林幹夫 |