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フィル・ヒューズ - Wikipedia

フィル・ヒューズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

フィル・ヒューズ
Philip J. Hughes III
ニューヨーク・ヤンキース No.34
基本情報
国籍 アメリカ合衆国
出身地 カリフォルニア州ミッション・ビエホ
生年月日 1986年6月24日(21歳)
身長
体重
6' 5" =約195.6cm
230 lb =約104.3kg
選手情報
投球・打席 右投右打
守備位置 投手
プロ入り 2004年 1巡目(全体23位)
初出場 2007年4月26日
経歴
Template  ウィキプロジェクト 野球選手

フィル・ヒューズPhilip J. Hughes III[1], 1986年6月24日 - )は、アメリカメジャーリーグニューヨーク・ヤンキースに所属する投手(先発)。カリフォルニア州ミッション・ビエホ出身。195.6センチ、体重99.8キロ。右投げ右打ち。

目次

[編集] 特徴

投げる球種は直球ナックル・カーブスライダーチェンジアップ。直球は最速で97mphを記録する。直球には非常に伸びがあり、2006年の春季キャンプの際に打席に立ったジェイソン・ジアンビは、"実際の球速などどうでもいい、とにかく圧倒される球(I don't care what the radar gun says, it seems like it's on top of you.)"だと話している[2]

登板前には必ずマウンドの後ろでひざまずき、祈りを捧げる。祈る内容に特段決まりはなく毎回異なるが、基本的には家族に関するもので、投球の加護を祈る事は絶対にしない[3]。これは野球よりも大切なものがあると信じているためだと言う。

若くてハンサムなので、ファンの人気は極めて高い。

[編集] アマ経歴

早熟で、幼少の頃から無口でいつも黙って観察に徹する少年だったため、Little Old Manと家族からは呼ばれていた。パーティーでも人と全く話さずに観察し続け、パーティーに参加した人を全て覚えるのにさほど時間はかからなかった、と母親はUSA Today紙に語っている。5歳の頃には日頃から野球の事ばかりを考えるようになっていて、“教会でもスーパーでも(母親談)”ピッチングとバッティングモーションを繰り返していた[4]。小さい頃に好きだったチームはロードアイランドで育った父親の影響から、皮肉にもヤンキースの宿敵とされるボストン・レッドソックスで、特にノマー・ガルシアパーラモー・ボーンが気に入っていた。高校時代にはサーティワンアイスクリームでアルバイトをしながらも母親に逐一電話してアメリカン・リーグ・チャンピオン・シリーズの途中経過を確認していたほどである[5]。更に皮肉な事にヒューズが6月のドラフトでヤンキースの入団が決まった4か月後に、レッドソックスはワールドシリーズを制覇している。カリフォルニア州サンタアナのフットヒル高校卒業後は“人生を変えるような金額(life-changing amount of money)”(父親談)のオファーがない限り、サンタ・クララ大学へ奨学金を受けて進学し、野球とビジネスを学ぶ予定でいた。所が2004年ドラフトで、その体躯と飛び抜けた肩の強さから全体の23番目でニューヨーク・ヤンキースに1位指名され、140万ドルの契約金が提示されて翻意。入団交渉はわずか15秒で決着し、ヤンキース入団が決まった[4]

[編集] マイナー経歴

最初はルーキーリーグのガルフコースト・リーグで投げた。翌年の2005年にはシングルAの2球団で投げ、防御率2.19、9勝1敗の成績を残した。あまりにも突出した能力を持っていたため、満塁にされての投球が全くなかった。入団2年目の2006年には春季キャンプでメジャーに合流。アレックス・ロドリゲスなどの主力を相手にフリー打撃に登板し、非常に大きな印象を残している[2]

この年はAAレベルで21の先発から10勝3敗、防御率2.25を記録。2007年の春季キャンプには再び招待選手としてヤンキースに帯同。ロッカーはかつてのドラフト1位指名選手、デレク・ジーターの隣に配された。

育成段階では投球回数に厳しい制限が加えられた。2006年にヤンキースのピッチング・コーディネーターのナーディ・コントレラスは実際"彼は去年(2005年)は11イニングから100イニングに投球回数を抑えられたが、50イニングぐらいは伸ばしてみるつもりだ。ただし、今年(2006年)も180から190がリミットとなる"と語っている。

球団以外の周囲はさほど早い成長を期待していなかったが、入団わずか2年でその実力はメジャーレベルと言われるようになる。ナックル・カーブの技術の成熟が著しい事がその要因と言われている[6]

ヤンキースの球団内ではデビュー前の2007年春季キャンプの時点で既に名前は知れ渡っていた。ジェイソン・ジアンビは若い頃のロジャー・クレメンスと評し[7]、2006年の時点で既にメジャーへ昇格させておくべきだったと話している[4]。また、控えのキャッチャー、トッド・プラットはヒューズのカーブをフィラデルフィア・フィリーズ在籍時のカート・シリングの物と比較している。正捕手のホルヘ・ポサーダはシングルA時代に受けたアンディ・ペティットの球を受けた時の事を思い出したと語る。ポサダは数球受けただけで、ペティットはメジャーで成功すると確信したという[4]

2007年春季キャンプ開始時点でヤンキース監督のジョー・トーリは、ヒューズがまだメジャーレベルの過酷な投球スケジュールで投げるには若すぎると判断し、キャンプに帯同させた後はAAAに送って1年間はメジャーに全く上げるつもりはないとの考え方を示していた。彼はシカゴ・カブスで20、および21でメジャーで投げ始めた結果、その後相次ぐ故障に悩まされているケリー・ウッドマーク・プライアーの2人を見ている事から若い投手の扱いに非常に慎重になっているためで、ゼネラルマネージャーのブライアン・キャッシュマンもその考えに賛同し、ヒューズは“長期にわたって活躍できるタレントで、短絡的な考えで彼のキャリアを台無しにするつもりはない”と明言していた[4]

[編集] MLB 経歴

[編集] 2007年

球団側はメジャー昇格に慎重であったが、相次ぐ先発の故障と不振から結局2007年中の昇格が不可避となり、2007年4月26日にメジャーデビュー。ヤンキースでのドラフト1位指名選手の昇格は1995年のジーター以来となる。

2007年5月1日の二回目の登板で6回1/3を無安打に抑えたものの、肉離れを起こして退場。8月にメジャーへ復帰したが、怪我の影響か、デビュー当初の勢いはなかった。9月に幾分復調してチームのワイルドカード獲得に貢献したものの、結局シーズンを通しては13試合、72.2イニングに登板して5勝3敗、防御率4.46、奪三振58で完封も完投もなしという結果に終わった。

[編集] 2008年

4月29日の試合で、キャッチャーのクリス・スチュワートのサインが見えずに2つのワイルドピッチを記録する。その翌日、脇腹の筋肉を痛めて15日間のDL入りとなった際の診察で軽度の近眼である事が判明し、今後の試合では度入りのゴーグルを着用して登板する事を決めた[8]

[編集] 年度別成績

球団 勝利 敗戦 防御率 試合 先発 セーブ 投球回 被安打 失点 自責点 被本塁打 与四球 奪三振
2007 NYY 5 3 4.46 13 13 0 72.2 64 39 36 8 29 58
通算 1年 5 3 4.46 13 13 0 72.2 64 39 36 8 29 58

[編集] 参考

  1. ^ MLB.comではPhilip J. Hughesとだけになっているが、USA Todayによると、実名はPhilip Hughes IIIとなっている:"Yanks' hot prospect calm amidst the hype," USA Today, Mar 8 2007
  2. ^ a b "Hughes draws huge comparisons," MLB.com, Feb 23 2006
  3. ^ "Mailbag: Kennedy ready for Majors?" MLB.com, Sep 3 2007
  4. ^ a b c d e "Yanks' hot prospect calm amidst the hype," USA Today, Mar 8 2007
  5. ^ "Philip Hughes - Yankees pitching prospect, interview by David Laurila aka Cambridge," RedSoxNation.net, Sep 14 2006
  6. ^ 2007 Baseball Prospects Guide - Scout (scout.com)
  7. ^ "Hughes generating buzz," MLB.com, Feb 26 2006
  8. ^ "Hughes to wear glasses upon return," MLB.com, May 2 2008

[編集] 外部リンク


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