ハードボイルド

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ハードボイルド (hardboiled) とは、元来は「堅ゆで卵」（白身、黄身の両方ともしっかり凝固するまで茹でた鶏卵）のこと。転じて、感傷や恐怖などの感情に流されない、冷酷非情な、（精神的・肉体的に）強靭な、妥協しない、などの人間の性格を表す言葉となる。文芸用語としては、反道徳的・暴力的な内容を、批判を加えず、客観的で簡潔な描写で記述する手法・文体をいい、アーネスト・ヘミングウェイの作風などを指す。また、ミステリの分野のうち、従来の思索型の探偵に対して、行動的でハードボイルドな性格の探偵を登場させ、そういった探偵役の行動を描くことを主眼とした作風を表す用語として定着した。

主人公は軟弱な生き方を拒否するタイプが多いため、近年の日本作家の作風は冒険小説との境界が曖昧である。映画（主にハンフリー・ボガート）の影響から、トレンチコート（コートの中はスーツ）に身を包みソフト帽を被ったタフガイというイメージで語られることが多い。そういうイメージとしての「ハードボイルド」には、タバコの紫煙やバーボンなどの小道具、危機に陥った時の、それをものともしないような軽口も挙げられる。こうしたハードボイルド的イメージは完全に記号化されているため、この点を逆手に取ったパロディも多く存在し、「男性用のハーレクイン・ロマンス」（斎藤美奈子）という揶揄も否定できない面がある。

[編集] ハードボイルド小説の歴史

ミステリのハードボイルド派は1920年代のアメリカではじまる。パルプ・マガジン「ブラック・マスク」誌（1920年創刊）に掲載されたタフで非情な主人公たちの物語がその原型で、同誌にはダシール・ハメット、レイモンド・チャンドラー、アール・スタンリー・ガードナーらが寄稿した。特にハメットは『血の収穫』（1929）や『マルタの鷹』（1930）などにおいて、簡潔な客観的行動描写で主人公の内面を表現し、ハードボイルド・スタイルを確立した。『大いなる眠り』（1939）で長篇デビューしたチャンドラーは、ハメットのスタイルに会話や比喩の妙味を加え、独特の感傷的味わいをもつ『さらば愛しき女（ひと）よ』（1940）、『長いお別れ』（1953）などのフィリップ・マーロウ・シリーズを発表した。また、1940年代からはハリウッド映画でも多くのハードボイルド・スタイルの作品が作られた。

ハメットやチャンドラーの作品には、「西部開拓精神を内に宿した主人公がアメリカ社会の諸問題に対処していく物語」という面があり、『動く標的』（1949）で私立探偵リュー・アーチャーを登場させたロス・マクドナルドは、その後継者とされる。一方、『裁くのは俺だ』（1947）でデビューしたミッキー・スピレインは暴力とセックスを扇情的な文体で描き、「暴力的ハードボイルド」の代名詞となったマイク・ハマー・シリーズは驚異的ベストセラーを記録する。

1940年代の終りから1950年代にかけて、銃と軽口がうまく女にもてる私立探偵が、おもにペイパーバック・オリジナルで大量にあらわれる。『マーティニと殺人と』（1947）でピーター・チェンバーズを登場させたヘンリイ・ケイン、『消された女』（1950）でシェル・スコットを登場させたリチャード・S・プラザー、『のっぽのドロレス』（1953）でエド・ヌーンを登場させたマイクル・アヴァロン、The Second Longest Night （1955）でチェスター・ドラムを登場させたスティーヴン・マーロウなどが主な作家である。極め付きはオーストラリア作家のカーター・ブラウンで、1958年からアメリカのペイパーバックに登場し、健全なお色気とユーモアにあふれた作品を、毎月一冊というペースで発表した。また、G・G・フィックリングの『ハニー貸します』（1957）で登場したハニー・ウェストはセクシーな女性私立探偵として人気を博し、テレビ・シリーズにもなった。

1960年代になると、アメリカ社会の問題は個人の行動だけでは対処できなくなる。ロス・マクドナルドのリュー・アーチャーは事件を見つめるだけで行動しなくなり、次第に内省的になっていく。これをうけて、1960年代末から1970年代にかけては、社会的問題を正面から扱うよりも、探偵の個人的問題を通して社会を描くような作品が多くなる。主な作家には、マイクル・コリンズ、ジョゼフ・ハンセン、ビル・プロンジーニ、マイクル・Z・リューイン、ロジャー・L・サイモン、ロバート・B・パーカー、ローレンス・ブロックなどがいる。

また、1960年代後半からはじまったフェミニズム運動と女性の社会進出により、1980年代には女性作家が女性の私立探偵を主人公にした作品を書くようになる。まずマーシャ・マラーのシャロン・マコーンが『人形の夜』（1977）で登場し、続いてサラ・パレツキーのV・I・ウォーショースキーが『サマータイム・ブルース』（1982）で、スー・グラフトンのキンジー・ミルホーンが『アリバイのＡ』（1982）で登場した。以後、リアリスティックな女性私立探偵小説は一大潮流となる。

1970年代以降の作品の多くは、文体も主人公たちの性格もハードボイルドではないため、私立探偵を探偵役にしたミステリは、私立探偵小説（ＰＩノヴェル Privete Eye Novel）という名称で呼ぶのが一般的になった。

こうした私立探偵小説の流れとは別に、ハードボイルド文体で描かれた犯罪小説がある。ハメットと同時期の作家で、ハードボイルド文体の創始者としてあげられるのが『リトル・シーザー』（1929／映画「犯罪王リコ」の原作）のW・R・バーネットと、『郵便配達は二度ベルを鳴らす』（1934）のジェームズ・M・ケインである。「ブラック・マスク」誌の出身であるが独自の道を歩んだホレス・マッコイは、『彼らは廃馬を撃つ』（1935）で大恐慌時代の明日なき青春を冷徹な筆致で描く。また『ミス・ブランデッシの蘭』（1939）で登場したジェイムズ・ハドリー・チェイスは、イギリス人ではあるがアメリカ英語で作品を発表。『殺人のためのバッジ』（1951）など警察官を主人公としてアメリカの社会問題を描こうとしたウィリアム・P・マッギヴァーン、ハメット・スタイルで書かれた『やとわれた男』（1960）でデビューしたドナルド・E・ウェストレイクもハードボイルド小説に新風をもたらした。これらの作品の手法・文体は映画の影響をうけた部分もあり、また多くの作品が映画化されることによる相互作用で、ハードボイルド・タッチは熟成していった。

[編集] 日本のハードボイルド小説

日本のハードボイルド史は、第二次大戦後に翻訳紹介されたアメリカ製推理小説の受容からはじまる。1950年から数年の間に、ハメット、チャンドラー、スピレインの代表作が立て続けに邦訳され、また同時期の映画の影響もあって、「ハードボイルド」という言葉は急速に浸透していった。しかし、短期間にさまざまな要素が一度に移入されたため、混乱も生じた。昭和20年代から島田一男が行動的な探偵役をもちいた作品を発表していたが、先駆的作品にとどまった。

明確にハードボイルドを意識した作品を書き出したのは、共に大学生で作家デビューした高城高（こうじょう・こう）と大藪春彦である。高城高は「X橋付近」（1955年）、「ラ・クカラチャ」（1958）など叙情的な筆致のハードボイルド作品を書き、大藪春彦は処女作『野獣死すべし』（1958）以降、矢継ぎ早にタフで非情な主人公がアクションを繰り広げる作品を発表した。河野典生も20代から作品を発表し、短篇集『陽光の下、若者は死ぬ』（1960）や日本推理作家協会賞を受賞した『殺意という名の家畜』（1963）などがある。この三人はいずれも1935年生れで、日本のハードボイルドは若者が既存の価値観に異議をとなえる手法としてはじまったといえる。

それより前の世代の作家では、結城昌治がデビュー以来さまざまなジャンルのミステリを発表していたが、『死者におくる花束はない』（1962）からハードボイルドの分野に進出し、『暗い落日』（1965）など私立探偵小説の傑作をものする。正統的ハードボイルドを日本に移植することを目指した生島治郎は『傷痕の街』（1964）でデビュー、『追いつめる』（1967）で直木賞を受賞した。60年代前半からにスパイ小説に新境地を拓いていた三好徹は、1968年から新聞記者を主人公にしたハードボイルド・スタイルの「天使」シリーズを書き始めた。仁木悦子も『冷えきった街』（1971）などの三影潤シリーズで、すぐれたハードボイルド私立探偵小説を書く。

また、この時期のハードボイルド文体の犯罪小説に、菊村到『けものの眠り』（1959）、石原慎太郎『汚れた夜』（1961）などがある。

こうした社会問題を描く手法としてハードボイルドを取り入れた作品とは別に、純粋にアメリカ産のハードボイルド・タッチを楽しもうとする作風も出てきた。そうした作風は、当時通俗と言われたハードボイルドの翻訳者に多い。中田耕治の『危険な女』（1961）、山下諭一の『危険な標的』（1964）、都筑道夫の贋作カート・キャノン・シリーズ（1960）などで、小泉喜美子が別名義で新聞連載した『殺人はお好き？』（1962／連載）もこれに加えてもいいかもしれない。また翻訳者・解説者としてハードボイルドの普及に貢献した片岡義男や小鷹信光も、時期はずれるが創作をものしている。

1970年代になると、ハードボイルドにこだわり続ける戦後生まれの作家があらわれる。短篇「抱きしめたい」（1972）で小説デビューした矢作俊彦と、短篇「感傷の街角」（1979）で登場した大沢在昌である。この二人は日本的泥臭さとは無縁の都会的な作風で、国産ハードボイルドの新しい時代を築いた。また二人ともマンガ原作も行っているが、このころからマンガ（劇画）にもハードボイルド作品が多くなり、そうしたマンガの原作者だった関川夏央は、のちに小説も書いている。

70年代末から80年代にかけて冒険小説がブームとなり、その担い手となった作家には、船戸与一、佐々木譲、志水辰夫、逢坂剛、藤田宜永など、ハードボイルドにも意欲を見せた者が少なくない。なかでも北方謙三は、ハードボイルドのひとつのスタイルを作り上げた。1988年には原尞が登場、二作目の『私が殺した少女』（1989）で直木賞を受賞する。

1990年代には東直己、藤原伊織、香納諒一、真保裕一、石田衣良らすぐれたハードボイルドの書き手が登場した。また、桐野夏生の『顔に降りかかる雨』（1993）や柴田よしきの『ＲＩＫＯ　女神（ヴィーナス）の永遠』（1995）など女性を主役にしたハードボイルド・タッチの作品も現れている。

他方、時代小説では股旅物を中心にハードボイルド的な要素を持った小説は存在していたが、こちらでも1960年代から本格的なハードボイルドに根ざした物語が現れ始める。ただ、時代小説におけるハードボイルドは、『大菩薩峠』の主人公・机竜之助に始まるニヒリズムの系譜の影響が根強い。また、舞台背景が封建制度の社会という制約もあり、地縁や血縁、義理人情、敵討ちなどの『日本的』ともいえる独自色が色濃く絡み合い、その枠の中での葛藤や闘いが描かれるパターンが多い事が、現代小説との比較では大きな相違点として上げられる。

その中でも大ブームを起こした作品としては、笹沢左保の『木枯し紋次郎』、池波正太郎の『仕掛人・藤枝梅安』の両シリーズが、テレビドラマ化されてさらに大ブームになった事もありつとに名高い。

[編集] 代表的作家と作品

[編集] 海外

五十音順

マイクル・アヴァロン：エド・ヌーン・シリーズ　『のっぽのドロレス』（1953）以降、長篇33作／1970年代まで活躍
アンドリュー・ヴァクス：バーク・シリーズ　『フラッド』（1985）～
ドン・ウィンズロウ：ニール・ケアリー・シリーズ　『ストリート・キッズ』（1991）～
ドナルド・E・ウェストレイク：『やとわれた男』（1960）、『殺し合い』（1961）
ジョン・エヴァンス（＝ハワード・ブラウン）：ポール・パイン・シリーズ　『血の栄光』（1946）など長篇5作
ローレン・D・エスルマン：エイモス・ウォーカー・シリーズ　『シュガータウン』（1984）など、1980～
スタンリイ・エリン：『第八の地獄』（1958）
スチュアート・カミンスキー：トビー・ピーターズ・シリーズ（1930年代のハリウッドが舞台）　『ロビンフッドに鉛の玉を』（1977）～
エリック・ガルシア：恐竜探偵ヴィンセント・ルビオ・シリーズ　『さらば、愛しの鉤爪』(1999)など
カート・キャノン（＝エド・マクベイン）：カート・キャノン・シリーズ　短篇集『酔いどれ探偵街を行く』（1958）など
スー・グラフトン：キンジー・ミルホーン・シリーズ　『アリバイのＡ』（1982）～
ジェイムズ・クラムリー：ミロ・シリーズ　『酔いどれの誇り』（1975）～／シュグルー・シリーズ　『さらば甘き口づけ』（1978）～
スティーヴン・グリーンリーフ：ジョン・タナー・シリーズ　『致命傷』（1979）～
ロバート・クレイス：エルヴィス・コール・シリーズ　『モンキーズ・レインコート』（1987）～
ジェームズ・M・ケイン：『郵便配達は二度ベルを鳴らす』（1934）
フランク・ケイン：ジョニー・リデル・シリーズ　『弾痕』（1951）など1947年から1967年まで長篇29作
ヘンリー・ケイン：ピーター・チェンバーズ・シリーズ　『マーティニと殺人と』（1947）から1972年まで長篇27作
ジョー・ゴアズ：ダニエル・カーニー探偵事務所シリーズ　『死の蒸発』（1972）～
ウィリアム・キャンベル・ゴールト：ジョー・ピューマ・シリーズ　『百万ドル・ガール』（1960）など長篇8作／1950年代末から60年代に活躍
マイクル・コナリー：ハリー・ボッシュ・シリーズ　『ナイト・ホークス』（1992）～
マイクル・コリンズ：ダン・フォーチューン・シリーズ　『恐怖の掟』（1967）から1992年まで長篇17作
マックス・アラン・コリンズ：ネイト・ヘラー・シリーズ（1930年代のシカゴが舞台）　『シカゴ探偵物語』（1983）～
ロジャー・L・サイモン：モウゼズ・ワイン・シリーズ　『大いなる賭け』（1973）～
マーク・ショア：レッド・ダイアモンド・シリーズ（ハードボイルド・パロディ）　『俺はレッド・ダイアモンド』（1983）ほか2作
ミッキー・スピレーン：マイク・ハマー・シリーズ　『裁くのは俺だ』（1947）など長篇13作
ジェイムズ・ハドリー・チェイス：『ミス・ブランデッシの蘭』（1939）
レイモンド・チャンドラー：フィリップ・マーロウ・シリーズ　『大いなる眠り』（1930）、『さらば愛しき女よ』（1940）、『長いお別れ』（1953）など長篇7作（未完除く）
キャロル・ジョン・デイリー：レイス・ウィリアムズ・シリーズ　史上初のハードボイルド探偵／1923～
トマス・B・デューイ：シカゴのマック・シリーズ　『非情の街』（1955）など1947年から1970年まで長篇17作／1950～60年代の正統派ハードボイルド
ロバート・B・パーカー：スペンサー・シリーズ　『ゴッドウルフの行方』（1973）～
W・R・バーネット：『リトル・シーザー』（1929）
ダシール・ハメット：コンチネンタル・オプ・シリーズ　『血の収穫』（1929）／サム・スペード・シリーズ　『マルタの鷹』（1930）
ブレット・ハリディ：マイケル・シェーン・シリーズ　『死の配当』（1939）以降1950年代まで長篇29作、ほか短篇や代作多数
サラ・パレツキー：V・I・ウォーショースキー・シリーズ　『サマータイム・ブルース』（1982）～
ジョゼフ・ハンセン：デイヴ・ブランドステッター・シリーズ　『闇に消える』（1970）～
G・G・フィックリング：ハニー・ウェスト・シリーズ　『ハニー貸します』（1957）から1972年まで長篇11作
A・A・フェア（＝アール・スタンリー・ガードナー）：バーサ・クール＆ドナルド・ラム・シリーズ　『屠所の羊』（1939）から1970年まで長篇29作
カーター・ブラウン：アル・ウィラー・シリーズ／ダニー・ボイド・シリーズ／メイヴィス・セドリッツ・シリーズ　作品多数
フレドリック・ブラウン：エド＆アム・ハンター・シリーズ　『シカゴ・ブルース』（1947）から1963年まで長篇7作
リチャード・S・プラザー：シェル・スコット・シリーズ　『消された女』（1950）以降、長篇30作以上／主に50年代から60年代に活躍
ローレンス・ブロック：マット・スカダー・シリーズ　『過去からの弔鐘』（1976）～
ビル・プロンジーニ：名無しの探偵シリーズ　『誘拐』（1971）～
スティーヴン・マーロウ：チェスター・ドラム・シリーズ　1955年から1968年まで長篇20作
ロス・マクドナルド：リュウ・アーチャー・シリーズ　『動く標的』（1949）、『ウィチャリー家の女』（1961）、『さむけ』（1964）など長篇19作
ウィリアム・P・マッギヴァーン：『殺人のためのバッジ』（1951）
ホレス・マッコイ：『彼らは廃馬を撃つ』（1935）
マーシャ・マラー：シャロン・マコーン・シリーズ　『人形の夜』（1977）～
ウェイド・ミラー（＝ホイット・マスタースン）：マックス・サーズデイ・シリーズ　『罪ある傍観者』（1947）から1951年まで長篇6作
L・A・モース：『オールド・ディック』（1981）
ウォルター・モズリイ：イージー・ローリンズ・シリーズ（黒人私立探偵／近過去が舞台）　『ブルー・ドレスの女』（1990）～
アーサー・ライアンズ：ジェイコブ・アッシュ・シリーズ（ユダヤ人私立探偵）　『ハード・トレード』（1981）など、1974～
ジョン・ラッツ：アロー・ナジャー・シリーズ　『タフガイなんて柄じゃない』（1976）～／フレッド・カーヴァー・シリーズ　『トロピカル・ヒート』（1986）～
ジョナサン・ラティマー：ビル・クレイン・シリーズ　『モルグの女』（1936）など1930年代に長篇5作
マイクル・Z・リューイン：アルバート・サムスン・シリーズ　『Ａ型の女』（1971）～
デニス・ルヘイン：パトリック・ケンジー＆アンジェラ・ジャナーノ・シリーズ　『スコッチに涙を託して』（1994）～
エド・レイシイ：トゥセント・モーア・シリーズ（黒人私立探偵）　『ゆがめられた昨日』（1957）、他1作
S・J・ローザン：リディア・チン＆ビル・スミス・シリーズ　『チャイナタウン』（1994）～

[編集] 日本

先駆者（五十音順／1960年代以前のデビュー／ハードボイルド小説が専門でない作家も含む）

生島治郎：『追いつめる』（1967／直木賞受賞）ほか志田司郎シリーズ／『男たちのブルース』（1970）
石原慎太郎『汚れた夜』（1961）など
大藪春彦：『野獣死すべし』（1958）ほか伊達邦彦シリーズ／『蘇える金狼』（1964）など
片岡義男：翻訳／『ミス・リグビーの幸福』（1985）のアーロン・マッケルウェイ・シリーズのほか多くの短篇
菊村到：『けものの眠り』（1959）など
小泉喜美子：『殺人はお好き？』（1962／連載）／その他短篇
高城高（こうじょう・こう）：短篇「ラ・クカラチャ」（1958）、短篇集『Ｘ橋付近』（2006）
河野典生：『殺意という名の家畜』（1963／日本推理作家協会賞受賞）など×田晨一シリーズ／『探偵はいま鉄板の上』（1976）など田沢太一シリーズ
小鷹信光：翻訳・解説／『探偵物語』（1979）ほか工藤俊作シリーズ
島内透：『悪との契約』（1960）、『白いめまい』（1961）ほか北村樟一シリーズ
都筑道夫：贋作カート・キャノン『酔いどれ探偵』（1960／発表）／西蓮寺剛シリーズ（短篇／1978～）
中田耕治：『危険な女』（1961）、『暁のデッドライン』（1964）など川崎隆シリーズ
仁木悦子：『冷えきった街』（1971）など三影潤シリーズ
三好徹：天使シリーズ（1968～）
山下諭一：『危険な標的』（1964）ほか曾根達也シリーズ／『俺だけの埋葬簿』（1965）ほか殺し屋シリーズ
結城昌治：『死者におくる花束はない』（1962）ほか佐久シリーズ／『暗い落日』（1965）ほか真木シリーズ／紺野弁護士シリーズ

後継者（五十音順／1970年代以降のデビュー／戦後生れ）

東直己：『探偵はバーにいる』（1992）ほかススキノの「俺」シリーズ
打海文三：『時には懺悔を』（1994）
逢坂剛：短篇集『クリヴィツキー症候群』（1987）、『十字路に立つ女』（1989）ほか岡坂神策シリーズ
大沢在昌：『感傷の街角』（1982）、『雪蛍』（1996）など佐久間公シリーズ／『新宿鮫』（1990）、『無間人形』（1993／直木賞受賞）ほか新宿鮫シリーズ／『アルバイト探偵（アイ）』（1986）ほか冴木シリーズ
香納諒一：『幻の女』（1998／日本推理作家協会賞受賞）
北方謙三：『檻』（1983）／「ブラディ・ドール」シリーズ
桐野夏生：『顔に降りかかる雨』（1993／江戸川乱歩賞受賞）ほか村野ミロ・シリーズ
桑原譲太郎:『狼たちのカーニバル』ほか
志水辰夫：『飢えて狼』（1981）
真保裕一：『ボーダーライン』（1999）
関川夏央：『「名探偵」に名前はいらない』（1981）／ほかマンガ原作多数
楢山芙二夫：『冬は罠をしかける』（1981）ほか日系米人探偵エドワード・タキ・シリーズ
鳴海章:『狼の血』ほか
楡周平：朝倉恭介シリーズ／川瀬雅彦シリーズ
原尞：『そして夜は甦る』（1988）、『私が殺した少女』（1989／直木賞受賞）ほか沢崎シリーズ
樋口有介：『彼女はたぶん魔法を使う』（1990）ほか柚木草平シリーズ
藤田宜永：『ボディ・ピアスの少女』（1992）ほか竹花シリーズ
藤原伊織：『テロリストのパラソル』（1995／江戸川乱歩賞直木賞受賞）
矢作俊彦：『リンゴォ・キッドの休日』（1978）、『The Wrong Goodbye　ロング・グッドバイ』（2004）ほか二村永爾シリーズ

ハードボイルド小説の執筆経験がある作家（五十音順）

芦原すなお：短編集『雪のマズルカ』の笹野里子シリーズ
安部公房：『燃えつきた地図』（1967）
新堂冬樹：『黒い太陽』（2006）
二階堂黎人：『私が捜した少年』（1996）ほかボクちゃん探偵・渋柿信介シリーズ
花村萬月：
福井晴敏：『6ステイン』（2004）―スパイ・ハードボイルド
藤原審爾：『拳銃（ハジキ）の詩（うた）』（1979）
村上春樹：『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』（1985）

[編集] 映像作品

[編集] 関連項目

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