河野典生
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河野 典生(こうの てんせい、1935年1月27日 - )は、日本の小説家。
本名は河野典生(こうののりお)。高知県高知市生まれ。遠い親戚に安岡章太郎がいる。
明治大学仏文科中退。在学中から詩、戯曲、幻想小説等を書き始め、戯曲「墜ちた鷹」を「三田文学」に掲載。劇団活動も行っていた。またアルバイトでラジオドラマの脚本を多数執筆。
1959年 日本テレビの番組「夜のプリズム」の脚本公募に作品「ゴウイング・マイ・ウェイ」で応募し、佳作入選し、雑誌「宝石」に掲載される。翌1960年に短編集『陽光の下、若者は死ぬ』を出版しデビュー。1963年刊行の『殺意という名の家畜』で日本推理作家協会賞受賞。大薮春彦とともに、日本のハードボイルド小説の先駆者となる。
だが1965年から沈黙。その間に学生時代から書いていた幻想小説の構想を練り、1967年に『SFマガジン』に幻想的短編、「美しい芸術」「機関車、草原に」を発表。以降、自然と文明とが溶け合う、不思議なイメージの短編作品を多数発表し、幻想派のSF作家として認知される。1974年刊行の『街の博物誌』が代表作。
以降、ハードボイルドと幻想小説とを並行して執筆する。ミステリのパロディ作品『アガサ・クリスティ殺人事件』『アルタの鷹』もある。
また、熱狂的なジャズ・ファンでもあり、角川小説賞を受賞した『明日こそ鳥は羽ばたく』はジャズを取り込んだ小説である。また、大ファンであった山下洋輔とは親交を結び、共著を刊行している。ともにジャズファン、山下ファンということで、筒井康隆とも親交があった。
近年は執筆活動をしていない。
[編集] 受賞歴
- 1959年 日本テレビ「夜のプリズム」原作賞に佳作入選 「ゴーウィング・マイ・ウェイ」
- 1969年 第62回直木賞候補 『他人の城』
- 1964年 第17回日本推理作家協会賞 『殺意という名の家畜』
- 1975年 第2回角川小説賞 『明日こそ鳥は羽ばたく』
[編集] 著作
- 陽光の下、若者は死ぬ 荒地出版社, 1960
- アスファルトの上 光風社, 1961
- モダン・ジャズ入門 油井正一編 荒地出版社, 1961
- 「日本のファンキーを求めて」が収録。
- 黒い陽の下で 浪速書房, 1961
- 殺人群集 光風社, 1961
- 憎悪のかたち 七曜社, 1962
- ザ・サムライ 桃源社, 1963
- 殺意という名の家畜 宝石社, 1963
- 残酷なブルース 芸文社, 1964
- ガラスの街 三一書房, 1969
- 他人の城 三一書房, 1969
- 海底の人魚 新風出版社, 1969
- 夢からの脱走 新風出版社, 1969
- 緑の時代 早川書房, 1972
- 狂熱のデュエット 角川書店, 1973
- ペインティング・ナイフの群像 新潮社, 1974
- 街の博物誌 早川書房, 1974
- いつか、ギラギラする日々 文芸春秋, 1974
- 群青 角川書店, 1974
- 陽だまりの挽歌 角川書店, 1974
- 真昼のアドリブ 潮出版社, 1975
- 明日こそ鳥は羽ばたく 角川書店, 1975
- わが大地のうた 徳間書店, 1975
- 悪漢図鑑 光風社書店, 1976
- 探偵はいま鉄板の上 祥伝社, 1976
- ジャズの本 青樹社, 1977
- さらば、わが暗黒の日々 双葉社, 1977.6
- 迷彩の森 実業之日本社, 1977.6
- デンパサールの怪鳥 カイガイ出版部, 1978.4
- 続・街の博物誌 早川書房, 1979.7
- インド即興旅行 山下洋輔,河野典生 徳間書店, 1979.12
- カトマンズ・イエティ・ハウス 講談社, 1980.4
- 町の案内図 徳間書店, 1980.4
- デンパサールの怪鳥 集英社, 1981.6
- ルーシーは爆薬持って空に浮かぶ 集英社, 1981.12
- さらば、わが暗黒の日々 集英社, 1983.11
- アガサ・クリスティ殺人事件 祥伝社, 1983.4
- 幻夢・肥満狂死曲 祥伝社, 1985.11
- 怪人・毛酔翁(マオランニー)の逆襲 祥伝社, 1986.5
- アルタの鷹 大陸書房, 1989.3
- 芸能界考現学 イメージの中を生きる 松田聖子、ビートたけしから、山瀬まみ、所ジョージへ 大陸書房, 1990.6