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トヨタ・ターセル - Wikipedia

トヨタ・ターセル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ターセル (Tercel) はトヨタ自動車が生産していた乗用車である。トヨタ初のFF車として誕生。姉妹車コルサカローラIIサイノスがある。いわゆる「3姉妹」のうち、唯一輸出されたのはこのターセルである。

目次

[編集] 系譜

[編集] 初代 L10系(1978年~1982年)

初代ターセル
初代ターセル

1978年8月 トヨタ初のFF(前輪駆動)車として姉妹車コルサと共に販売開始された。両車の違いは細部の意匠と販売店。ターセルがカローラ店ディーゼル店、コルサがトヨペット店の扱いだった(ターセルは後にビスタ店扱いに変更)。ボディタイプは2ドア/4ドアセダンと3ドアハッチバック。発売当初は1500cc(SOHC・4気筒・1A-U型)のみだった。

初代と次の2代目は、FF車でありながらエンジンを縦置きに搭載するという現在ではあまり見られない方式をとっていた(エンジン横置きのFF車は2代目カムリ初代ビスタがトヨタ初)。このレイアウトは、同じ縦置きエンジンFF方式のスバルレオーネ(当時)やアウディを参考にしたと思われる。そのため、4mをわずかに切る全長ながら2,500mmのホイールベースを可能にしていた。パワートレーンの配置は、トランスミッションに内蔵されたプロペラシャフトが車体前方に伸び、デフはクラッチ下に置かれていた。エンジン縦置きを採用した理由としては、エンジンの整備性が向上すること、既存のオートマチックトランスミッション搭載に有利なこと、不等長ドライブシャフトに対する等長ドライブシャフトの優位性(トルクステア軽減)などが挙げられていた。このレイアウトによりエンジンとデフが上下に重なり、いわゆる「2階建て構造」となったしわ寄せは車体デザインにおよび、ボンネット高および側面のベルトラインが比較的高い車体となった。
直接の競合車種は、ハッチバック車ではホンダ・シビック三菱・ミラージュ、セダンは日産・パルサースバル・レオーネが挙げられるが、超ロングホイールベースやホイールハウスの消えたリヤシート、エンジン縦置きレイアウトなど、レオーネをかなり意識した内容になっていた。
発売当初のテレビコマーシャルは『LONG LONG ターセル』という歌に乗せて5人の男女(うち一人は胸にターセルと書かれたユニフォームを着ていた)が踊るというものだった。

1979年8月 1300cc(SOHC・4気筒・2A-U型)とオートマチック(1500ccのみ)を追加。

1980年8月 スラントノーズ化されるマイナーチェンジを受けた。これに伴い1500ccのエンジンが1A-U型からE70系カローラ/スプリンターと共通の3A-U型(SOHC・4気筒)に換装される。海外では安価でボディサイズのわりに広大な室内空間が評価されて人気があったが、日本国内ではロングホイールベースによるズングリでリアオーバーハングが極端に短く寸詰まりに見える(特にセダン系)デザインと、カローラ店でカローラを扱っていたことから販売は今ひとつだった。

[編集] 2代目 L20系(1982年~1990年)

2代目ターセル(北米仕様)
2代目ターセル(北米仕様)
2代目ターセルワゴン(日本名・スプリンターカリブ(初代))
2代目ターセルワゴン
(日本名・スプリンターカリブ(初代))

1982年5月 2代目登場。当初のボディタイプは4ドアセダンと5ドアハッチバック。エンジンは縦置きを継承。ホイールベースは70mmも短くなった。2代目からは姉妹車カローラ店向けのカローラIIも加わり、3車共通のシャーシを使用した事で俗称「ターコルII」「タコカII(タコカニ)」等と略される三つ子車になる。またコルサカローラIIとは違い、最上級グレード車の1500VEにはデジタルメーターが採用されていた。(タコメーターのみアナログ式)

このモデルからカローラIIをカローラ店の扱いにしたことでターセルはビスタ店の専売となる。ただし、沖縄県にはビスタ店がなかったため、トヨタオート沖縄(⇒ネッツトヨタ沖縄)にて扱っていた。女性仕様車は「キューティ」と呼ばれた(4代目以降はアベニュー)。女性仕様車の呼称はコルサが「ソフィア」、カローラIIが「ライム」であった。

1982年8月 このモデルをベースにした初代スプリンターカリブが登場する。

1983年8月 3ドアハッチバックを追加。

1984年8月 マイナーチェンジで内外のフェイスリフト/3ドアにエアロパーツと60扁平タイヤ装着のスポーツパッケージと4ドアセダンに4WD車追加。4ドアセダンの4WD車は先に登場したスプリンターカリブのセダン版でもあった。

1986年5月 2BOX全盛期を意識したため4ドアセダンはマイナーチェンジで1990年3月まで継続生産。

[編集] 3代目 L30系(1986年~1990年)

北米向け3代目ターセル2ドアクーペ
北米向け3代目ターセル2ドアクーペ
北米向け3代目ターセル3ドアハッチバック
北米向け3代目ターセル3ドアハッチバック

1986年5月 3代目登場。ボディタイプは3ドア/5ドアハッチバック(北米向けに限り2ドアクーペも設定。この2ドアクーペはのちにサイノスとして発展する)。ただし4ドアセダンは、2代目をマイナーチェンジして継続。スターレットがベースとなったためエンジンは横置きに変更されホイールベースは2代目と比較して更に50mmも短くなった。ガソリンエンジン車は4ドアセダンを除き全車SOHC12バルブ(1.3L・2E-LU型、1.5L・3E-LU型、1.5L EFI・3E-ELU型)を搭載。また、この3代目から1.5Lディーゼルターボエンジン(1N-T型)が加わった(3ドア、5ドアに設定。5速マニュアルだけでなく4速オートマチックも選択できた)。

1986年10月 歴代「ターコルII」3姉妹シリーズ唯一の1.5L SOHC12バルブインタークーラーターボエンジン(3E-TELU型)搭載車「GPターボ」が他の姉妹車共に3ドアハッチバックモデルへ設定される。廉価のお買い得仕様のジョイナス(ターセル)/モア(コルサ)/ウインディ(カローラII)を追加。

1988年5月 マイナーチェンジ。同時に3ドアに限りキャンバストップ仕様を一部のグレードに設定。

[編集] 4代目 L40系(1990年~1994年)

4代目ターセル(セダン:フロント)
4代目ターセル(セダン:フロント)
4代目ターセル(セダン:リア)
4代目ターセル(セダン:リア)

1990年9月 4代目登場。ボディタイプは3ドアハッチバックと4ドアセダン。4ドアセダンは2代目以来の刷新となったものの、5ドアハッチバックは消滅。「GPターボ」は廃止され、全グレードのエンジンがDOHC16バルブ(ハイメカツインカム)・EFI化される(なお、ディーゼル車は除く)。今回から4ドアセダンだけでなく、3ドアハッチバックにも4WD仕様が導入された。バブル景気に開発されたモデルだけあって歴代ターセル中最もクオリティが高かった。4代目ベースの派生車種としてサイノスが発売された。
1992年8月 マイナーチェンジ。全車、前後バンパーが若干大型化されサイドドアビームが標準装備された。

[編集] 5代目 L50系(1994年~1999年)

5代目ターセル
5代目ターセル
5代目ターセル(北米向け2ドアセダン)
5代目ターセル(北米向け2ドアセダン)
5代目ターセル(リア)
5代目ターセル(リア)

1994年9月 5代目登場。ボディタイプは3ドアハッチバックと4ドアセダン。4ドアセダンはキープコンセプトであり、一方3ドアハッチバックの方はスタイリッシュでファッショナブルな先代から一転してより合理的かつ実用的なスタイリングに改められた。どちらも基本的にコンポーネント自体は先代からのキャリーオーバーとなる。

1997年12月 マイナーチェンジ。

1999年7月 5代目を最後に生産終了。実質の後継車はヴィッツプラッツであるが、ヴィッツはネッツ店、プラッツはネッツ店とトヨペット店の(プラッツはのちにトヨペット店専売車種になる)取り扱い車種であるため、ディーラー的にはファンカーゴが事実上の後継車的なポジションを担う事となるが、2005年に生産を終了した。(後継車はラクティス

[編集] 車名の由来

英語の「ハヤブサ(鳥)」から。

[編集] CM

[編集] CMキャラクター

初代
山口百恵(1979年頃、コルサと共同。CMソングには本人の楽曲「愛の嵐」(作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童、編曲:萩田光雄)が使用されていた。そのためか初代コルサの前期型には「百恵セレクション」と呼ばれる特別仕様車が存在しており、ボディパネル下部には「MOMOE」の文字が書かれたストライプ状のデカールが貼られていた)
4代目
筒井巧(前期型)
月光仮面(後期型・主題歌「月光仮面は誰でしょう」の替え歌をCMソングに使用)
福澤朗(1992年頃、当時日本テレビアナウンサー。「ジャストミート福澤」名義で出演)
5代目
吉川ひなの(前期型:吉川は、のちに三菱自動車の2代目・パジェロミニのCMに出演する)。CMでは娘に扮して、「ターセル、さまさまやわぁ」。
太田裕美(後期型)
大谷みつほ、最末期。コルサ、カローラIIと共同。CMソングは山口百恵の楽曲「ひと夏の経験」の替え歌が使用されていた)

[編集] キャッチコピー

初代
クルマ維新(発売当初)
百恵の、赤い靴。(1979年頃)
3代目
時の翼・ターセル(前期型)
オシャレ通りのNEWターセル(後期型)
4代目
ターセルゲームだ(前期型)
さっそーターセル(後期型)
5代目
ちょうど小さい新ターセル(前期型)
ギュッとサイズ新ターセル誕生(後期型)

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ


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