タコライス
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タコライス (Taco-Rice) は、タコスの具である挽肉・チーズ・レタス・トマトを米飯の上に載せた沖縄料理。辛みをつけたサルサ(スペイン語で「ソース」の意)を乗せて食べる。
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[編集] 概要
1980年代に沖縄県で誕生。同県内では1990年代から学校給食に採用されるなど非常に一般的な料理となっている。
油を引いたフライパンで牛挽肉・ニンニク・玉葱・ピーマンを塩・胡椒・チリパウダーなどで味付けしながら炒めたタコミートを、皿に盛った米飯の上にタコミート、千切りのチーズ、千切りしたレタス、半月切りのトマトなどを順に載せ、潰したトマトとケチャップ、タバスコなどで作ったサルサをかけて食べる。タコミートとサルサの辛みをレタス・トマト・チーズで緩和し、米飯と一緒に食べるものと言われているが、レタス・トマトを載せたのは地元客の要望によりサービス感覚で始められたもので、もともとは米飯とタコミートのみであり、今でもレタスなどのトッピングが別料金となる店がある。チキンライス&タコミートの組み合わせもある。食べ方の感覚としてはそぼろご飯やドライカレーに近い。
全国展開している外食産業も沖縄県内の店舗ではタコライスをメニューに加えている場合がある。1996年にケンタッキーフライドチキンで「ライスタコス」として同様のものがメニューに登場したほか、2004年からは吉野家、2006年からはほっかほっか亭、2007年からはすき家でも販売されている。
ご飯の上にタコスの具が乗った食べ物という情報だけが一人歩きしまい見た目は似ているが味はtaco風そぼろご飯状態であったりミートソースご飯状態であったり、ケチャップ挽肉ご飯状態になっているケースがよく見られる。 沖縄県金武町のタコス自体が一般的なタコスの味とは違う物なので タコスの具をご飯に乗せるという感覚で作られた物は見た目は似ているが 味はまったく違う物なっているので注意が必要。
また、チーズとレタスの順が逆になっている(ご飯、ミート、チーズ、レタスが正しい)物もよくあるがご飯とミートの熱でチーズが溶けずに食感が悪くされている物もよく見られる。
[編集] 発祥・由来
タコライスは、沖縄県金武町キャンプハンセンのゲート前に広がる飲食店街にある「パーラー千里(せんり)」で1980年代に生まれた。当時の円高により、それまで主な客であった米兵が外食を控えるようになったため、タコミートを利用してタコスよりもボリュームがありコストパフォーマンスのよい新メニューとして考え出された。もともとは店員の賄い食だったという説もある。金武町の同飲食店街では「キングタコス」と「パーラー千里」のそれぞれが「元祖」「発祥の店」と銘打ってタコライスを販売しており、どっちが正しいのかと言われたりするが、経営者は同じで「千里」が先である。タコスは英語では“taco”(「タコス」は複数形“tacos”から)であり、タコスの具を乗せた飯、という意味でタコライス (taco-rice) と命名されたと考えられる。
なお漫画「大使閣下の料理人」に、タコライスは1964年に沖縄人女性と米軍兵士が協力して生み出した料理だというエピソードが描かれているが作中におけるフィクションであり、単行本収録時にはその旨の断り書きが欄外に付与されている[1]。
- ^ わうけいさお「なんだこりゃ~沖縄!」ボーダーインク刊
[編集] 備考
最近では他地域からの旅行者も増え、タコライスはある程度有名であるが、いまだに軟体動物のタコを使用したものと誤解して思う人もいるため、ジョークのつもりでたこを具に入れた「タコ入りタコライス」を製造したところ、人気が出たという店がある。たこの入った「たこライス」は「モーニング」2007年No.39の漫画「クッキングパパ」で主役・荒岩一味の長男で沖縄在住の大学生の荒岩誠が作っている。なお、北海道稚内市内のレストランには挽肉を使わず特産のミズダコ100%で作ったタコライスが実在する。また、宮古島には「タコ丼」を名物とする店があるが、これは丼に入ったタコライスではなく、正真正銘タコを使った丼である。