すき家
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すき家(すきや)は、株式会社ゼンショーが経営する、牛丼チェーン店。2008年5月末現在で、47都道府県:合計約1050店舗を展開している。すき屋は誤表記。まれにカレー屋と誤解をされる。
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[編集] 概要
牛丼チェーン吉野家の元幹部が、1982年11月に「郊外型ファミリー牛丼店」としてすき家をオープンした。駅前の省スペースに店を構える従来の牛丼店に比べると、車での利用客を想定した郊外に店舗を構える事が多い。またカウンター席だけでなく、テーブル席を設けるなど従来の個人客を中心にしたスタンダードな牛丼店のスタイルに比べ、ファミリーレストランのような家族連れの客を想定した形態になっている。最近はドライブスルーの設置や、ショッピングセンターのフードコート内への出店に積極的。
全店舗が直営で、フランチャイズは一切ない。2007年7月27日、沖縄県にコザ・ミュージックタウン店を開店させた事により大手牛丼チェーンとしては吉野家に続いて全都道府県への出店が完了した(全店直営では業界初)。
最大の特徴は、牛丼・豚丼の上に各種トッピングもできる点があり、さらにカレーライスや各種丼ものなどが存在するなど、多くのメニューを取り揃えている(一部のメニューでは品質管理上により持ち帰りができない)。中でも、「キムチ牛丼」などはすき家のロングセラー商品となっている。さらにサイドメニューには、他の牛丼チェーン店にはないマヨネーズも存在する。また、すき家の公式ページのメニューには豚丼があるが、一部取り扱っていない店舗もある。
また特盛では物足りないという客からの強い要望で、2007年10月16日からは「メガ牛丼/豚丼」の提供を開始している。こちらはご飯の量が大盛と同等であるが、牛丼/豚丼の具が並盛の3倍の量が盛りつけられる(丼茶碗は「特盛」用を使用)。マクドナルドのメガマックのような巨大なボリュームのメニューとして誕生した。その後、2008年1月14日には「メガカレー」(カレールーが並盛の2倍)も登場している。ちなみに牛皿5倍盛りというメニューも存在する。
店舗の電話番号は原則非公開である。問い合わせ窓口は本社お客さま相談室のみとなっている。そのため、カーナビですき家を検索しても表示されなかったり、電話番号の表記のない場合が多い。またアルバイト募集の受付もクルー採用センターで一括して行っている。 また、テイクアウト商品についてはインターネットからの予約が可能。ネット予約からでもつゆだく、つゆなしなど選択可能である。
店舗によっては食券を購入する店舗と食後にカウンターにて精算を行う店舗がある。 2000年頃まで、一部店舗、春先限定で、牛皿大盛&特盛ご飯と、味噌汁お新香をセットにしたメニューを20分以内で食べ切れば無料のチャレンジと呼ばれるセールがあった(食べ残せば2500円支払う)。
テレビCMにはガレッジセールを起用している。
[編集] 食材の調達
2004年2月4日、アメリカ産牛肉の輸入禁止措置によりすき家も一旦牛丼の販売を中止するが、同年9月17日、オーストラリア産牛肉の使用に切り替えることで大手牛丼チェーンの中ではいち早く販売を再開した(そのため、オーストラリア産牛肉の肉質に合わせた味付けに変えた)。
その後の2006年7月、日本でアメリカ産牛肉の輸入再開が決定した。その他の牛丼チェーン店やスーパーマーケットなど、牛肉を扱う大手企業の多くがアメリカ産牛肉の早期の使用再開を控えるとしているが、すき家も同様に「調べれば調べるほど安全性が担保されていない」「わが社の基準で安全性が確認されない限り米国産には戻せない」とのコメントを出し、現状通りオーストラリア産牛肉を使用するとしている。同じゼンショーグループのチェーン店なか卯でも同様である。牛丼大手の吉野家が米国産牛肉の使用を再開するとしているのに対し、すき家は「率直に言ってやってほしくない」「後で悪い結果が出たら責任を取れるのか」と批判している。
但し、中国製餃子中毒事件を発端とする中国産食品への懸念の高まりに対しては、「安定して食料を提供するには、国産だけでは賄えない。今のところ中国産を外す予定はない」とし、今後とも使い続けるとしている。一方、メニューとして提供しているうなぎの原産地(中国産)について、「お客様を不安にさせてしまうこともあるから」という理由で表示しないなど(他のメニューは表示している)、その姿勢に一貫性が欠けているところも事実である。
[編集] メニュー
- 新型店などの一部の店舗では、ポークカツカレー、各種ドリンク、フロート、各種ソフトクリーム、ミニ・デザートも扱っている(ポークカツカレー・ドリンク以外は鮮度の管理上、持ち帰り不可)。
- キムチ、3種のチーズ、わさび山かけ、ねぎ玉、かつぶしオクラ、麻婆茄子、辛口だれ、バジルトマトはどんな商品にも自由に組み合わせてトッピング(丼の具として乗せること)ができる。
- メガ牛丼(豚丼)にもトッピングは自由にすることが可能であるが上に乗せるのではなく小鉢で単品として出される。
[編集] ご当地メニュー
高菜明太マヨ牛丼・豚丼 2007年9月25日~同年11月上旬の間は九州以外の地域でも販売されていた。2007年11月上旬からは在庫調整のため一時取り扱いを停止している。
- 沖縄県店舗限定商品
すき家のタコライス丼・ドリンクセット 2007年12月7日から全国販売開始している商品である。タコライス販売に伴いビンのコーラも取り扱いを開始する。 2008年2月18日からは高菜明太マヨ、タコライスともにレギュラーメニュー化された。同時にタコライスにはタバスコが付けられるようになった。
[編集] 禁煙
全店舗共通で11:00~14:00は全席禁煙となる。終日全面禁煙の店舗が増えつつある。喫煙席がある店舗の場合は、狭い空間の上仕切りが全く無い場合が多い。
[編集] 残業代未払い問題
- 2006年5月、東京都渋谷区内のすき家で勤務していたアルバイト男性の解雇を巡り、労働基準法で定められた残業代が支払われていないことが発覚、同月17日の参議院厚生労働委員会での質疑で日本共産党の衆議院議員小池晃が交渉に応じないゼンショー、残業代未払い賃金問題について厚生労働省へ見解を求めた。国会の委員会で取り上げられたことがマスメディアで報道された後、ゼンショー側が渋谷店アルバイト男性の解雇を撤回、2006年12月分の給与からアルバイト未払い深夜割り増し残業代の支払いを始めることを発表した[1]。なお、過去の未払い残業代の支払いには未だ応じていない[2]。
- 2007年11月、宮城県仙台市泉区のすき家で勤務する3名が支払われていない残業代約17万円を求める是正申告を仙台労働基準監督署に行った。首都圏青年ユニオンによれば、未払い残業代の支払いを求めたが、2006年11月以降ゼンショーは首都圏青年ユニオンと継続的な交渉に応じないためという[3]。首都圏青年ユニオンは労働組合「すき家ユニオン」を結成し、すき家労働者に加入を呼びかけ、ゼンショーに交渉を求めている[4]。ゼンショー側が是正勧告書の受け取りを拒否した為、2008年4月、仙台労基署に刑事告訴。
- 残業代を支払わない理由について、すき家を運営するゼンショーは、すき家では会社とアルバイト間の関係は『労働契約』関係ではなく、『業務委託』関係であると主張し、個人請負である為残業代を支払う必要がないとしている。しかし、アルバイト・パート募集の際に請負について一切触れられていない事、個人請負ならば契約関係は対等であるはずなのに給与明細がある事、個人事業主は確定申告で税金を支払うはずだがその税金が源泉徴収されている事、請負業務は労働結果に対して報酬を貰うものだが時給で給料が支払われている事、フランチャイジーが存在せず直営店のみであるにも拘らずこのような主張をするなど多くの矛盾・不可解な点が存在する。東洋大学教授鎌田耕一はそれらの矛盾点について「個人請負とは言えない」とゼンショーの主張を否定している[5]。
- 2008年6月4日及び同6月8日、すき家ではタイムカードが存在せず、売上の辻褄合わせのために従業員の労働時間を勝手に削ると言う犯罪が日常化しており、削られた労働時間は人によっては月10万円に相当する、その犯罪は今現在でも続いている、と言う内容の記事がMyNewsJapanに掲載された[6][7]。
[編集] 脚注・出典
- ^ 残業代払えと労組、大手牛丼チェーンのすき家に対しライブドアニュース2007年5月25日掲載
- ^ 残業代払ってよ しんぶん赤旗2007年9月3日掲載
- ^ すき家は残業代払え しんぶん赤旗2007年11月3日掲載
- ^ 首都圏青年ユニオン すき家ユニオン
- ^ 個人請負という名の過酷な”偽装雇用”
- ^ 牛丼の「すき家」、勤務時間の削除による賃金不払いが横行 現役店員が刑事告訴MyNewsJapan2008年6月4日掲載
- ^ 続「すき家」残業代未払い事件 現役店員が明かす従業員搾取の手口MyNewsJapan2008年6月8日掲載