ゾロアット
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ゾロアットはテレビアニメ『機動戦士Vガンダム』に登場する架空の兵器。「ザンスカール帝国」のモビルスーツ(MS)である。型式番号はZM-S06S。
ザンスカール帝国が初めて量産に成功した宇宙戦用モビルスーツである。この機体をベースに様々なMSが開発された。機動性、武装、出力などバランスがよく、ザンスカールが地球連邦に対して開戦をする決意を固めたほどに期待されたモビルスーツである。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] ゾロアット
[編集] 機体解説
ゾロアット | |
型式番号 | ZM-S06S |
所属 | ザンスカール帝国 |
建造 | ベスパ(旧サナリィサイド2支社) |
生産形態 | 量産機 |
全高 | 14.5m |
頭頂高 | 14.5m |
本体重量 | 8.2t |
全備重量 | 19.8t |
ジェネレーター出力 | 5,280kw |
スラスター総推力 | 79,230kg |
センサー有効半径 | 30,000 m |
装甲材質 | チタン合金ネオセラミック複合材 |
武装 | ビームサーベル×2 ビームライフル 胸部バルカン×2 ビームキャノン×2 ビームシールド 5連ビームストリングス |
搭乗者 | トッリ・アーエス マーベット・フィンガーハット ザンスカール一般兵士 |
ザンスカール帝国勃興の際、彼らが有していた装備は接収した旧サイド2駐留連邦軍のMS(RGM-109 ヘビーガンなど)が中心であり、旧然とした軍備であった。 マリア主義により国軍兵士の士気は高かったものの、近隣サイドの制圧も済んでいない状況下において独立を保つためには周辺サイドとの戦闘も行わなければならず、そのため連邦政府首脳はザンスカールが独立を維持することは困難であるとの見方を示しており、さして脅威とは感じていなかった。
しかしザンスカール政府は独立と同時にサナリィのサイド2支社及びその関連プラントを掌握してザンスカール帝国の軍事部門である「ベスパ」に併合しており、MS開発から生産に至るまで、工業力は低いながらも性能の高いMSを開発できる環境を手に入れていた。
そしてベスパは、まず周辺サイドとのパワーゲームで優位に立つため、そして来るべき勢力拡大の時に向け、次世代MSの基礎となる宇宙用MSの開発に着手した。 軍部首脳から要求された性能は拡張性、汎用性、機体単体の戦闘力を高い次元で両立させることであり、ベスパはそれらの要求に対してサナリィの「フォーミュラ計画」で得られたノウハウを転用していった。設計に際しては生産性を重視して従来の「F71 Gキャノン」に見られるような簡易的なハードポイントを採用する手法がとられており、必要に応じてハードポイントに装備を追加したり、あるいはユニット自体を交換することが可能となっている。そのユニットを交換する設計思想から、従来のフォーミュラ系MSよりもむしろ往年の名機であるMS-06ザクに近いものとなった。 サナリィの蓄積された技術を活かすことができたため、構想からプロトタイプの建造までにさしたる時間は必要としなかった。
完成した機体は要求通り高い拡張性を備えており、機体内部にサイコミュ等の追加装備を導入することができ、また量産機としては高いジェネレータ出力を持っており(ハードポイントに高出力のビームキャノンを装備することができるほどに余裕があった)、複数のビーム兵装を同時に運用することが可能であった。これにより当時の連邦宇宙軍の主力MSである「ジャベリン」を圧倒し、近隣サイドとの戦闘を有利に進めていった。
初期に生産されたタイプはバルカンとビームサーベル以外の固定武装を持たず、両肩にスパイクシールドを装備してビームライフルやビームシールドなどを手に持つスタイルがとられていた。しかし対MS戦闘では不利になる要素があったためにやがて特殊兵装であるビームストリングス及び高出力のビームシールドを内蔵したバインダーを固定装備とすることになった。
本機は開戦から使用された機体であるが、リグ・シャッコーなどの後継機が開発された後にも、操縦性や整備性が良好であったことから、エンジェル・ハイロゥ攻防戦までザンスカールの主力モビルスーツとして第一線で活躍した。また本機をベースにゾロやゾリディアなどの陸戦タイプのMSも開発されていった。
[編集] 劇中での活躍
宇宙に上がったリガ・ミリティアの前に、ザンスカール帝国の宇宙用主力MSとして劇中中盤に登場。位置付けは所謂ヤラレ役であったが、従来の敵量産MSと比べて高い存在感を見せている(カイラスギリーなどでのリガ・ミリティアとの艦隊戦では、ガンイージなどと性能が拮抗しているものとして描かれていた)。宇宙のほかコロニー内部やエンジェル・ハイロゥ攻防戦において大気圏内でも使用されていた。
[編集] バリエーション
- ZM-S06S 初期生産タイプ
- 量産初期に製造されていたタイプ。両肩のバインダーは装備しておらず、代わりにスパイクシールドを装備している。固定武装のタイプが登場すると、徐々に一線からは退いていった。
- ZMT-S06G ゾロローター
- 地上での新機軸の飛行システムである「ビームローター」の試験運用とその効果を確認するためにゾロアットをベースに製作された機体。
- ZM-S06G ゾリディア
[編集] ホワイトアット
ホワイトアットは『機動戦士Vガンダム』に登場する架空の兵器。リガ・ミリティアがザンスカール帝国から鹵獲し自軍の戦力とした機体である。型式番号はZM-S06S。
[編集] 劇中での活躍
ウッソ・エヴィンやマーベット・フィンガーハットらが、宇宙に上がったころ、ハイランドの子供たちとともに哨戒任務にあたっていたザンスカールの偵察部隊から小型艦シノーペと共にゾロアットを奪い、白に塗装して、リガ・ミリティアの戦力として運用した。カイラスギリー攻略戦を始めとしたベスパとの戦闘の際には主にマーベット・フィンガーハットがこの機体に搭乗し、ビームストリングスやシールドカッターなど機体特性を最大限に生かして戦っていた(カイラスギリー直前の戦闘ではベスパ部隊にある程度の動揺を与えていた)。その後ザンスカール本国潜入時に拿捕され、そのまま回収されたようである。なお劇中では「ホワイトアット」の名称で呼ばれることは少なかった。
[編集] ゾリディア
ゾリディア | |
所属 | ザンスカール帝国 |
生産形態 | 量産型 |
全高 | 14.7m |
本体重量 | 9.8t |
全備重量 | 20.9t |
ジェネレータ出力 | 5,480kw |
スラスター総出力 | 80,970kg |
装甲材質 | チタン合金ネオセラミック複合材 |
搭乗者 | カテジナ・ルース ゴズ・バール 他 |
武装 | ビームサーベル×2 ビームライフル 胸部バルカン×2 ビームシールド |
ゾリディアは『機動戦士Vガンダム』に登場する架空の兵器。ゾロアットを地上用に改修したモビルスーツ。型式番号はZM-S06G。
[編集] 機体解説
地球浄化作戦にあわせてベスパが新たに開発した地上用モビルスーツ。従来機と異なりタイヤ型サポートユニットアインラッドの使用を前提としているため、従来のベスパの地上用モビルスーツに装備されていたビームローターは廃止されている。 ベスパ製モビルスーツの特徴である特殊兵装は固定装備としていないが、ベスパの傑作機であるゾロアットを基にしているため生産性、操縦性共に良好で非常に信頼性の高い機体となった(オプションでストリングスユニットやガトリングガンなどの特殊兵装が用意されている)。また両肩の大型スラスターや生命維持装置、推進剤タンクなどの宇宙用装備をすべて廃止したため機体内部に余裕が生じ、その分機体は軽量化され、また余剰スペースも生かして大型のジェネレータを搭載することができた。そのため、ゾロアットに比べて機動力が上がっている。大型の肩アーマーを廃し、代わりにスクウェアな右肩マウント式シールドと左肩のスパイクつきショルダーアーマーで両肩を固めているのは、ザクからマラサイ、ギラ・ドーガ等の伝統を継承する敵方のオーソドックスなデザインポイントである。
[編集] 劇中での活躍
地上に降りたモトラッド艦隊の主力モビルスーツとして登場。ルペ・シノ隊に配備され、カテジナらの乗機となった。ピピニーデンがゴズ・バールを使ってミューラを盾に本機でV2ガンダムの撃墜を企てるが、その際に被弾・中破し、アドラステアの砲塔に挟まれリシテア艦との接触で潰された。またアドラステア潜入作戦からの脱出の際にオデロ・ヘンリークが本機を奪取している。エンジェル・ハイロゥ攻防戦においては多数の機体が確認されている。
[編集] バリエーション
- ZM-S06GD ゾリディアデザート
- 砂漠用に改修を施したタイプ。間接各部に防塵処理が行われたほか格闘戦能力の向上と通信装置の強化が行われている。
[編集] ゾロシリーズ
※ゾロ (機動戦士Vガンダム)を参照。
[編集] 参考文献
- NEWモビルスーツバリエーションハンドブック(2)
[編集] 関連項目
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ガンダムシリーズの映像作品 | ||||||
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ガンダムシリーズの劇中項目 | ||||||
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