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スプリングフィールドM14 - Wikipedia

スプリングフィールドM14

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

スプリングフィールドM14 (M1A)
スプリングフィールドM14 (M1A)
スプリングフィールドM14
種類 アサルトライフルバトルライフル
製造国 アメリカ合衆国
設計・製造 スプリングフィールド国営造兵廠
年代 第二次世界大戦後
仕様
種別 アサルトライフル(バトルライフル)
口径 7.62mm
銃身長 559mm
ライフリング -
使用弾薬 7.62mm×51 NATO
装弾数 20発箱形弾倉
作動方式 ガス直圧作動、ロータリーボルト
全長 1,118mm
重量 4.5kg
発射速度 毎分700-750発
銃口初速 850m/s
有効射程 460m (500yd)
歴史
設計年 1954年
製造期間 1959年~1964年
配備期間 1959年~現在
配備先 アメリカ軍イスラエル国防軍ほか多数
関連戦争・紛争 ベトナム戦争以降
バリエーション 多数(本文参照)
製造数 概ね138万丁
ノート テンプレート解説)

スプリングフィールドM14(英語: Springfield M14)、制式採用名称U.S RIFLE M14アメリカスプリングフィールド国営造兵廠が開発した、アメリカ軍初のアサルトライフルである。

目次

[編集] 概要

第二次世界大戦朝鮮戦争で使われたM1ガーランドの改良型として開発され、ベトナム戦争に投入されたが種々の理由(後述)により、M16に取って変わられた。しかし、威力と命中精度の点から、海兵隊や特殊部隊を中心に狙撃銃などとしてこれを使い続ける部隊もある。M21M25などに改良されながら、現在に至るまで使用されている。

[編集] 歴史

M14は、アメリカ軍と政府の政策に翻弄された銃と言うこともできる。経緯については、バトルライフルの「M14に見る米軍バトルライフル」も参照されたい。

[編集] 開発経緯

M14は、第二次世界大戦を中心に、長い使用実績を持つM1ガーランドを元に設計された。そのM1ガーランドは第二次世界大戦当時、先進的な銃と見なされていたが、決して完璧であるとは言い難かった。そこで、これを修正する試みが、第二次世界大戦の直後から始まっていた。主な改良点は、連射(フルオート射撃)、8発クリップ装填から20発の交換可能な弾倉(マガジン)への改良である。ウィンチェスター社、レミントン社、そして、ジョン・ガーランド率いるスプリングフィールド国営造兵廠(以下「スプリングフィールド」と略す)が競作を行った。ジョン・ガーランドの設計したT20が最も普遍的で、この試作品は1945年から1950年代初期まで、スプリングフィールドにおける試作ライフルの基礎として役立った。

スプリングフィールドのアール・ハーヴェイ Earle Harvey は、これらと完全に異なるライフルT25を試作した。新しい.30口径(7.62mm)軽量ライフル弾を使用するもので、この弾薬は.30-06スプリングフィールド弾の全長を.30サヴェージ弾のサイズまで切りつめたものである。この弾薬は、後に7.62mm×51 NATO弾(民間用は.308ウィンチェスター弾)に発展した。ロイド・コルベット Lloyd Corbett は、M1ガーランドをこの.30軽量弾用にコンバージョンし、後にT20にも同様のコンバージョンを施した。こののち、T37など一連の試作品を経て、T44にまで洗練された。このT44は、T25や、FN社が提出したT48(FALにコンペで競り勝ち、1957年、M14としてアメリカ陸軍に制式採用された。スプリングフィールドは1958年にM14のための製造ラインを整え、1959年7月に最初の量産品がアメリカ陸軍に引き渡された。

[編集] ベトナム戦争

M16に置き換えられるまで、すなわち1966年から1968年まで、M14はベトナム戦争において主力バトルライフルとして使われた。銃身が長いため、ブラシによる掃除が大変であったが、7.62mm NATO弾の威力はそれを補ってあまりあるものがあり、敵兵に対して効果的なストッピングパワーを発揮した。武器としての信頼性は、悪条件下でも良好であった。

しかし、同時にいくつかの欠点が明確になった。湿気の多いベトナムのジャングルでは従来と同じ手法で作られた木製銃床が悪影響を受け、膨れたり、腐食したりする傾向があった。これを受けてファイバー製の銃床が製造されたが、前線に行き渡る前にM14自体の配備が中止された。

さらに、7.62mm×51弾をフルオートで射撃した場合、リコイル(反動)のコントロールが非常に難しいという難点があった。これは理解しがたいことだが、M14が4種類の小火器(M1ガーランドM1カービンM3グリースガンBAR)を置き換えるというコンセプトも併せ持っていたためということを考慮する必要がある。もし4種類の小火器を1種類にまとめることができれば、補給・整備の点で多大なメリットがあったであろうが、実戦はそれが不可能であることを証明し、簡単に言えばBARの軽量版として置き換えられた。しかし、その点においても、M60軽機関銃がこの役割を代替することとなった。加えて、銃床(ストック)が伝統的なライフル銃に見られる曲銃床だったことが原因である。

M16はマクナマラ国防長官(当時)の政策変更により、急速にM14を置き換えていった。しかし、初期のM16には清掃を怠ると弾詰まりや動作不良を起こしやすいという、戦闘時にあっては大変深刻な問題点があり、また、5.56mm弾薬との組み合わせはストッピングパワーや貫通力の点で劣った。M16がM14に勝っていたのは、銃口初速と、(銃・弾丸ともに)軽量・コンパクトである、フルオートにおける制御が容易という点のみである(しかし、これらはベトナムのジャングルにおける接近戦では非常に重要な利点であった)。M14の生産は中止されてしまったが憤慨した兵士達はM16の使用を拒み、M14を使い続けたという。M16は後に改良が行われ、M14は狙撃用にM21として特殊作戦用にコンバージョンされた。

[編集] ベトナム戦争以降

M14はM21とともに、威力や精度を重視する用途において、いまだにアメリカ軍を始め多くの国で使われ続けている。特に海兵隊では、狙撃銃マークスマン・ライフル(Designated Marksman Rifle)DMRとして、アフガニスタンやイラクでの軍事行動(湾岸戦争イラク戦争)で使われたことが知られている。また、陸軍儀仗隊や空軍儀仗隊でもM14ないしM21を儀典用、戦没者葬礼用の礼砲用銃として使っている。 結局、アサルトライフルとしてはあまり成功しなかったが一つのライフルとして、また、戦場のショルダーウェポンとしては高く評価されている。

ソマリアにおける国連PKO活動のうち、モガディシュの戦闘は「ブラックホーク・ダウン」として映画化されたために有名になった。この際、デルタフォースのランディ・シュガート一等軍曹 (SFC Randy Shughart) が、彼の同僚の所有する最新の装備を差し置いてM21を使用している。原作によれば、この作戦でのシュガートの選択は、他のデルタ隊員に、M21と重い7.62mm弾の組み合わせが、M16シリーズと軽量な5.56mm弾のそれよりも確実なストッピングパワーを持っていること、また、5.56mm弾の威力は、敵をノックダウンさせるというよりも、重傷を負わせるということを再確認させたという。

民間用には、連射ができない半自動タイプのものが、M1Aなど(後述)多数販売されている。しかし、厳密にはM14系を新規に製造しているのは世界広しといえどもSpringfield Armory一社である。M4/M16系と同じく人気があるものの、それらとは違い各社がこぞって製造しない、というのが最大の違いである。

[編集] データ

機関部への刻印:

  • U.S. Rifle
  • 7.62-MM M14
  • Springfield Armory (または、民間製造会社の名称)
  • シリアルナンバー

付属品・オプション:

  • M6銃剣とM8A1鞘(シース sheath
  • バンドライナー
  • ナショナル・マッチ・スリング
  • コンビネーションツール
  • 清掃キット
  • 冬季用セイフティー(安全装置レバー)
  • 冬季用トリガー(引き金)
  • マガジンフィラー
  • Model 1961 マガジンポケット(弾倉入れ)
  • M2 二脚
  • グレネードランチャー
  • グレネードランチャー用照準

[編集] 派生型

上記のとおり、現在M14とそのバリエーションは、現在においても様々な戦場で使用されている。特に狙撃バージョンのM21など、米軍特殊部隊はもとより、狙撃兵などの特殊兵科、さらには各紛争地で活躍する民間軍事会社のオペレーターなど、プロ嗜好の強い銃であることでも有名である。現在は、民間のスプリングフィールド社(Springfield Armory)より、M14やM1A(M14のフルオート機能を排除した民生モデル)のカスタムモデルも多数制作され、バリエーションも極めて豊富になっている。

なお、特殊部隊やCIA等の情報組織では民生型タイプを購入し、カスタマイズした上で使用することも多いため、ここで挙げる軍用派生型と民間派生型には、厳密な区別はないことにも留意されたい。

[編集] 軍用派生型

M14・M21には、スプリングフィールド造兵廠だけでなく、民間会社の方のスプリングフィールド社製の製品も存在することに留意されたい。

[編集] M14E1

M14E1は、折りたたみ銃床のテストバージョンで、空挺隊員や装甲車輌乗員のために開発された。制式化はされていない。

[編集] M14A1/M14E2

M14の木製銃床を直銃床・独立握把にして、折り畳み式の前方握把を追加し、フルオート射撃時の操作性と安定性を向上させようとした。主に分隊支援火器としてBARの代替を狙ったものであるが、BAR同様の欠点である予備の銃身との交換が出来ないことと、ベルト給弾方式ではないため連続持続射撃能力が欠如していることより、その存在価値を高くは評価されていない。加えて、全備重量がBARよりも軽量であるため、フルオート射撃時の操作安定性がBARよりも明らかに劣り、代替火器とはなり得なかった。付属品としてM2二脚架(バイポッド)がある。また、特徴的な銃床にもいくつかのヴァリエーションがあり、銃床内小物入れが無いものもあるので、清掃用具などを収納し別途携行するための専用アクセサリーポーチも存在する。短命だったM15の代替品でもある。1963年にM14E2として制式化され、1966年にM14A1として再制式化された。

[編集] M21

M14は、ベースとなったM1ガーランド同様に400-500m程度の中遠距離での命中精度が非常に良好な銃として知られているが、その特性を昇華した狙撃専門モデルがM21である。軍用M21の特徴としては銃床と銃床内部の金具の加工をした上での機関部のベディング加工や、ガスブロックとフロントバンドの一体化加工により銃身を銃床からフリーフロート化するなど、各部パーツを狙撃に適した形状に加工・変更するなどの改良を施した。さらに、フロントサイトブレードを薄いものに交換しリアピープサイトの穴径をより小さなものとし、かつ90度回転させることで微妙な修正が出来るものとした上で、リアサイトの上下方向の1クリックを細かくし、リアサイトの移動量をより細かく修正できる精密照準装置などを付加し、待ち伏せ狙撃よりも、前線での野戦狙撃に適した物となっている。

米国陸軍で使用されているM21と、民間会社であるスプリングフィールド社で現在生産・販売されているM21(民生型)は全く別物であることに注意すべきである。M21民生型は、アメリカの警察などでも運用され、広く活躍している。

民生型のM21は日本にも輸入され、その当時純然たる軍用M21と混同されて所持許可の判断に混乱が生じたこともあったが、その後、最終的に両者は正しく区別されて所持許可の交付も受けられたこともある。しかし、現在はたとえ営業戦略上の理由であっても Tactical とメーカーが謳ってしまっているため、その限りではない。

[編集] M14 DMR

詳細はM14 DMRを参照

米合衆国海兵隊で採用されているモデル。マクミラン社製銃床・ハリス社製バイポッド・リューポルド社製スコープ(M1/M3系)・スコープマウント(ブルックフィールド社設計同等品)などの装備が写真でも確認されている。銃身は銃身基部からオペレーションロッドガイドまでが太い、いわゆる Midium Contour Barrel に交換されている。大量に保管されているM14の中から程度の良いものを抽出して、各部品を交換し組み上げられており、作業は全て海兵隊内の専門のデポで行われている。

[編集] M14 SMUD

Stand-off MUnition Disruptionの略。爆発物処理隊員により、不発弾処理に使用される。M14ナショナル・マッチ・ライフルにスコープを取り付けて制式化したもの。

[編集] M14K

サンディエゴのLa France Specialities社により設計され、アリゾナのSmith Enterprise of Tempe社で製造された。M60軽機関銃の部品を流用して、連射時の発射速度を可変としている。

[編集] 57式歩槍

M14退役後、その工作機材が台湾に売却され、現地で57式小銃として中華民国軍で運用されることになった。57式小銃は現在も中華民国軍で主要小銃の一つとして運用されている。原産国である米国の規格(ミルスペック)にほぼ準じて製造されているため、銃自体は生産地が違うだけでM14とほぼ同じ物である。後述のノリンコ製とは区別して考えなければならない(「歩槍」は中国語で「小銃」の意)。

[編集] BM59

イタリア、ベレッタ社が開発したM14に似た小銃。1980年までイタリア軍で使用された。M1ガーランドの7.62mm NATO弾仕様をベースに全自動射撃機能を追加した銃であり全自動射撃のために付加された部品の配置と形状などはM14とは異なっている。開発された経緯はM14とは異なるものであるが、銃自体の設計コンセプトは、使用された時代背景も同じであるため、上記のような理由で独自開発された銃ではあるが、外観、機能的に非常にM14と酷似しており、M14のコピー銃であると記載する文献も多い。

[編集] ノリンコ製M14タイプ

ノリンコとは、中華人民共和国北方公司である。現在では米国内にすらも出回っているM14のデッドコピー。いわゆるオリジナルの米国製M14やM1Aと較べて、使用部材の強度の問題があるなどと短所が指摘されているが、詳細は不明。製作された経緯は、中華民国が57式歩槍を制式採用しているため、中華人民共和国による中華民国への浸透作戦時の使用を想定しているものと推察することができる。

[編集] 民間派生型

M14の民間型M1Aは、米国でもライフル愛好家の中では上位を争う絶大な人気を誇る銃であり、様々なカスタムが可能な汎用性の高い銃であることでも有名である。技術の新旧を織り交ぜた個人の趣味に合わせた構成も可能であり、M1ガーランドを引き継ぐ美しいデザインも相まって、ライフルマニアの間では話題に事欠かないベストセラーライフルの一つでもある。ただし、その大部分を占める嗜好性がある種の懐古主義的なところにある感も否めないこともなく、個人で製造した優秀なブルパップ方式のカスタムに対して全く見向きもされなかった事もあるといったような、エンスージアストの多い銃でもある事でも有名である。

Standard M1A、Loaded Standard M1A、National Match M1A、Super Match M1A、M21 Tactical、M25 Tactical、M1A Scout Squad Rifle、SOCOM 16、SOCOM II など、多種多様な各派生型が生産販売されている。

[編集] M1A

M14のコマーシャル(民生)モデル。銃身の精度の高いものや銃身太さ・材質の違い、引き金の重さと切れの調整、銃床の材質や形状の違いと機関部との接合部分のベディング加工の有無などで広い選択肢があり、販売価格の幅も各等級によって、かなり上下差がある。

M1Aは元来、民生用に民間会社であるスプリングフィールドアーモリー社(スプリングフィールド造兵廠ではない)で製造されており、米国の法に沿って、フルオート機能が排除されている。米国でも退役軍人などを中心に人気の高い銃の一つである。それ故、退役軍人なども多い一部法執行機関用(BATFEなど)の他、狩猟用、スポーツ射撃などにも熱心に使用されている。銃規制の厳しいカリフォルニア州でも、マズルブレーキの装着などで合法的に販売が継続されている。民生用であるため当然ながら上記のように各種デザイン仕様が存在するが、そのベースモデル(スタンダードモデル)は軍用M14のフルオート省略版と考え差し支えない。

日本でも、各部の改修・変更を適宜実施し、用途目的に合致する明白な根拠がありさえすれば、狩猟用途に所持許可を得ることも可能である(ただし、各都道府県公安委員会の判断にもよる)。

[編集] Scout Squad Model

この銃が製作されるきっかけになった一つの事例が記録写真で鮮明に残されている。ベトナム戦争時代にベトコンが米軍から鹵獲したM14の銃身を切り詰め、SKS小銃のフロントサイト廻りを移植した改造ブッシュガンの写真である。本銃製作のヒントとなったものである。

スプリングフィールド社で生産される前記M1Aの派生型の一つで、銃身基部の薬室付近に上下分割式のマウントベースを挟み込んで装着している。米国では、機関部より前に接眼距離の長い低倍率の光学照準器を装着し、銃身が短めのライフルを「スカウト・ライフル」と呼ぶ習慣があるので、特に非民間用という銃ではない。別名「ブッシュ(茂み・ボサ藪の意)ガン」であり、本来は見通しがあまり良くない土地での狩猟用ライフルである。同様に、機関部前にスコープマウントを加工をした、ボルトアクション式の狩猟用「スカウトライフル」が米国では広く存在する。

日本の国内法の銃身長の規定の関係から、22インチ(約559mm)銃身のM1Aにこのマウントを取り付けた銃も、かつて日本に狩猟用ライフルとして輸入販売された実績がある。スプリングフィールド社が「偵察狙撃分隊」の存在を観念的に意識して、イメージと営業戦略上「squad」を加えて命名したモデルである。流石に Scout Squad モデルでは、許可行政担当部署の誤解を招くことが容易に想像できたため、輸入元では「スコットジャパン」という風変わりな名称を用いていた経緯がある。

このモデルでは銃身を18インチに短縮し、中距離の命中精度を落とさず、かつ取り回しやすくなるよう設計されている。後述する、近年追加された派生型SOCOM16同様、狭い場所でも取り回しやすい長さと、近距離における低倍率の小型のスコープやドットサイトなどの光学照準器の付加が可能であり、限定的な状況下での使用に特化している為に、狭い場所での近距離の使用にも適しており、本来の狩猟用の「ブッシュガン」が転じて警察・法執行機関などで使用されてもいる。

M14狙撃手と援護手
M14狙撃手と援護手

本来、米軍には2人一組(two man cell)で行動する偵察狙撃任務を遂行する部隊があり、一方が純粋な狙撃銃を使用し、狙撃に専念する中、もう一方はその脆弱な狙撃手を支援・援護し、距離の測定、風・気温・湿度・高度・気圧などの諸条件を測定した上で、必要な諸元を割り出し修正量を決定する等、任務を遂行する上で重要な役割を担う。したがって、監的援護手も、狙撃手と同等あるいはそれ以上の能力と経験を持った者が担当する場合が多い。監的援護手の武装については、任務の性格により武装の選択の方向性が異なる。この事実が軍事的狙撃任務と警察など法執行機関の狙撃任務の違いを端的に示しているが、マスメディアをも含めて、通常一般的には両者が混同されていることが極めて多く、そこにメーカーの営業戦略上の命名方法が結果的にこの混乱を一層助長していることは憂慮すべき問題である、という意見もある。これは後述する"SOCOM16"と"SOCOM II"の両モデルについても同様である。民間型M1Aの派生型であり、フルオート機能はない。

[編集] SOCOM16

これもスプリングフィールド社で生産される前記M1Aの派生型の一つであり、フルオート機能はない。M14(M1A)の銃身を元の22インチから16.25インチまで短縮したカービンモデル。

元の銃は上記の通り長く取り回しにくいが、7.62mm弾の威力を至近距離で使用するため、銃身を切りつめ取り回しやすくして限定条件下での使用に特化した、特殊用途向けをイメージしてごく最近になって追加されたモデルである。SOCOMと呼ばれる特殊部隊であたかも使用、運用されていることを連想させる名称であり、メーカーの営業戦略上の命名であることを強く感じさせる。

元来M14やM1Aは、その使用弾薬である.308 (7.62mm) NATO弾の性格上も、これまでの実戦経験上も、Scout Squad タイプに見られる18インチまでのショートバレルが、性能的な安定性を維持する限界とされており、7.62mm×39弾を使用するAK-47系とは異なり、.308 NATO弾を使用する場合、18.5インチ(約470mm)以下の単銃身では、発射時の銃口炎の肥大化・発射エネルギーが無駄になることによる初速の低下に伴う威力の低下、関連して射程距離の低下、弾頭旋転の安定性の低下に伴う命中精度の低下などと、あまり好ましいカスタム化の手法ではないともいわれている。しかし、こと近接戦闘射撃戦に限って言えば、複数の潜在的脅威の存在がある屋内での攪乱のため、逆にこれらの短所が利点となる場合もあり、特にライフルに求められるような長射程や精密な命中精度などは短距離射撃戦ではあまり関係ないため、近接戦時にたとえ目標が防弾具などを着用していたとしても、人体に与えるダメージは.223 (5.56mm) NATO弾と較べて遙かに大きく致命的な威力が高い。そのため、SOCOM部隊などでも限定的に使われている模様である。したがって、名称も長距離射程の銃器を指す「ライフル」ではなく「アサルトガン」という近接銃器で良く使用される俗称で呼ばれている。

スプリングフィールド社の製品自体は、より一層の短縮型の「ブッシュガン」であり、久々に追加されて増えたM1Aの派生型である。

[編集] SOCOM II

スプリングフィールド社で生産される前記M1Aの派生型の一つのSOCOM16の改良型モデルで同社の最新製品(2005年現在)である。民間型M1Aの派生型であり、フルオート機能は無い。銃身基部の薬室付近にマウントを直接取り付けていたSOCOM16では、一部で連続射撃時の銃身の加熱によるマウント部分への影響が指摘されていた為、これを廃止してSOCOM16の前部にヴォルター・インダストリー製クラスターレイルを搭載した。これはスプリングフィールド・アーモリー社がヴォルター・インダストリーと独占契約している為単品で入手するのは難しいが希にオークションなどに流れている。伝統的なスタイルのライフルストックとクラスターレイルを搭載し各種オプションを装着可能としたことで従来のM1A/M14よりもタクティカル・ユーズには扱いやすくなったと言える。

現在ではLOADED M1AにSOCOM2と同じクラスターレイルを搭載したモデルも加わり、スタンダードM1Aと同じバレルサイズでレイルが取り付けられたモデルという選択肢も出来た。

SOCOM2は特別目新しい銃ではない。第二次世界大戦時にもM14の原型、M1ガーランドのショートバージョンである「M1タンカー」というモデルが存在していた。M14も祖父のM1ガーランドと同じくショートバレルを装備し、時代の流れと共にレイルを取り付けられたモデルである。

[編集] M25

M21からフロントサイトを廃し独特のマズルブレーキを備えたモデル。ストックもマクミランM3Aストックに変更された。他のSpringfield製M1A派生モデルと同じくM21とは大きな違いがあるわけでもない。

[編集] Troy Industries SOCOM Mk 14 Mod 0

引き出し式伸縮銃床(テレスコピック・ストック)と独立式ピストルグリップを備え、全面的に近代化されピカティニー・レールを上下左右にふんだんに備えた、金属製銃床を持つ現代アサルトライフル風の外観を持つ。しかし、中身は既に戦闘実績による能力証明済みのM14である。M14に対する全ての不満点に相応の配慮がなされて設計製作されているが、全装備重量はかなり増加している。M14の性能と近代部品を統合した究極のバトルライフルの一つの具体例だという意見もある。この傾向は現行型AR10のSIR追加型、DSA/FALのSIR風改修型でも試行されており、相応の成果を得ている。ちなみに、米軍では次期歩兵用小火器に使用する弾薬を、新規開発した6.8mm RemSPC弾とする方向であるので、今後の本銃の方向性が注目される。

しかし、米軍では7.62mmNATOを使用するライフルやライトマシンガンを一部継続使用するだろうと言う声もある。 また、従来のような狙撃に関してはM24/M24A2からセミオートのM110に変更され、これまで以上のロングレンジにおける狙撃用としてスナイパーライフルではM24A3 SWS(口径.338Lapua)を使用する関係で今後の米軍およびNATOでの(ライフル / ピストル共に)スタンダードカートリッジの動向が注目されている。 尚このモデルは現在ではSage製のEBRストックを取り付けられたモデルと共にメディアで目にする機会の多いモデルである。

[編集] Troy Industries M14 SOPMOD II

上記Mod0の全面改修型で、M14近代化コラボレーションモデルの最新型である。機関部を除き、あとは新規設計したように見える、近代アサルトライフル化モデルで、一見すると元のM14の原型を全くとどめていない(リンク参照)。 これはTORY製SOPMODストックを単品販売した際、取り付けに若干の加工を必要とするため加工無しで取り付けられるようにデザインした結果こうなったらしい。

[編集] M14SE Crazy Horse

アメリカ軍特殊部隊向けにM14を改良した銃。Smith Enterpriseにて製造されている。銃身はいわゆるMidium Contour Barrelの4条のライフリングのものに交換されている。メーカーでは各部品の通販も行っており、クレイジーホース専用パーツを民間向けにも販売している。このメーカーは着眼点が良く製作精度も高く、以前より民間市場向けにM14/M1A系のマウントベース、部品・アクセサリー類を多く製作しており、その名称に反して、奇をてらった外観はいっさいなく従来の外観を踏襲しており、ボルトストップの大型化やサプレッサー搭載時にもバックアップ用として使用できるフロントサイト、スコープやダットサイト使用時にも頬付けしやすいように可変式チークピースを装備するなど実用的で堅実にまとめ上げられている。 本銃は、SE社の持つそのノウハウの集大成でもあり、即座に必要とされたアフガニスタンやイラクの戦場に遅滞なく供給可能な、最前線の兵士の声に応える最良の選択肢でもある。

[編集] 民間派生型の参考

[編集] Mini-14(派生型:Mini-30)

本来、銃器としては全くの別物だが、名称が紛らわしく誤解が絶えない。アメリカ・スタームルガー社が開発したM14風の小型カービンモデルで、コマーシャルモデル(民間販売用モデル)である。 その名の通り、イメージと外観上はMiniなM14であり、この名称も商業戦略上の語呂合わせの様な商標といってよい。M14の外観をそのままディフォルメしたような銃だがガス圧による作動機構はM14とは全く別物である。スタームルガー社の設計方針に沿って単純な機構で安価に製造可能で、故障も少なく手入れも容易な反面、その設計上から命中精度も限定的な範囲内で、ランチガン(牧場や農場の小型害獣駆除用銃)として必要十分な程度である。

本来は軍用銃ではないが、着剣金具や全自動射撃機能を付加し、折り畳み式銃床を備えるなどした軍用銃仕様「アサルトカービン」AC556も存在する。狩猟用、スポーツ用として、M14を取り回しやすいように小型化されたような銃で、その利便性と外観が現代突撃銃に較べて穏やかな木製部品の多いデザイン(一部派生型除く)のせいか、各国警察・準軍事組織でも採用されている。口径も.223の他に、派生型のMini-30の7.62mm×39の二種があり、木製銃床・樹脂製銃床、クロームモリブデン鋼製型・ステンレス鋼製型と選択肢もいくつかある。安価で多量に出回っている普及品の銃のため、米国内ではアフターマーケットの社外製部品・アクセサリー類が豊富である。そのような観点からは、この銃も道具としては優秀であると言えよう。

派生型のMini-30は、7.62mm×39弾薬を使用するため、その口径(0.30インチ)から命名されたのであって、この派生型こそ「Mini-14」の名にふさわしいかもしれない。逆説的に言えばAK-47系列で使用される7.62mm×39弾薬を使用する場合、発射母体はこのMini-30のサイズで十分であるとも言える。つまり、使用弾薬の違いが発射母体の設計に大きく影響することを理解できる好例である。

日本でも派生型のMini-30(7.62mm×39)であれば、猪猟などの「ブッシュガン」として有用であり、狩猟用途に所持許可を得ることも各都道府県公安委員会の判断次第では可能である。しかし、旧共産国系の使用弾薬および外観と名称が許可判断に不利に影響する場合もある。日本国内における勢子鉄砲として有用であるが、既に老朽化しつつあるホーワ30カービンの後継銃種として、使用弾薬の適度な性能・威力上からも最も適当な本銃を、使用弾薬とその経緯から諦めてしまうことは大変に惜しい銃である。

[編集] 主力装備としての採用実績

[編集] M14が登場するメディア作品

[編集] 映画・テレビドラマ

[編集] 漫画・アニメ

[編集] ゲーム

[編集] 小説

[編集] 関連項目

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