コブラ (架空の人物)
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コブラは、寺沢武一の漫画『コブラ』およびそれを基にしたアニメ作品などに登場する架空の人物。本項では彼の代表的な使用武器であるサイコガン、パイソン77マグナムについても併せて解説する。
声:野沢那智(TV版『スペースコブラ』他多数)、松崎しげる(映画版)、山田康雄(PCエンジン用ゲーム2作品)、屋良有作(プレイステーション用ゲーム)
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[編集] 人物像
快速宇宙船タートル号を駆り、銀河系に海賊コブラとしてその名を轟かせた一匹狼の宇宙海賊。本人の弁によると、ならず者からは「毒ヘビ」、銀河パトロールからは「犯罪者番号330号」と呼ばれているという。 海賊ギルドとの果てのない闘争に疲れ切った為、3年前(映画版では2年前)に自分の死を偽装し、自らの記憶も封じ、顔も整形手術でイケメン系から団子鼻の個性的なものに変え、貿易会社の平凡なサラリーマン、ジョンソンとして生活していた。しかしひょんな事から記憶が戻り、新しい顔も海賊ギルドに割れてしまったことから再び海賊稼業に身を投じる。10万ドルの賞金首として全宇宙に手配されていたが、「ザ・サイコガン」編でギルドから300万ドルの賞金が賭けられた。
惑星ダグザードのヘドバ・シティー郊外にある墓場に埋葬されたという形で自分の死を偽装してタートル号を隠しており、そこに仮の墓があるが、墓碑に刻まれた生没年が2303-2927となっているコマもあれば、没年が2355となっているコマもあり年齢などは判然としていないものの、「ブルーローズ」編で120歳の女性・竜樹がコブラの3倍も生きていると発言していることから、この時点では40歳近くということになる。
生粋の地球人だが、5000フィート上空から落ちても死なない(「聖なる騎士伝説」にて)、500kgというゴリラ並みの握力(本人のセリフより)、100メートルを5秒フラットで走破できるなど、超人的な肉体と精神力の持ち主。本人曰く「金メダルでオセロができる」ほどの身体能力を持っているため、劇中でも主人公として活躍している。無益な殺戮を好まずキャプテン・ドレイクのような正統派たらんと常に心がけている。普段は冗談やとぼけた言動が多いハードボイルド的性格だが、いざという時は目覚ましい活躍を見せる。また一匹狼ながら義理や友情を重んじる。
初めて真の“恐怖”を味わうこととなった「ある事件」で切断された左腕に、精神力をエネルギー波に変えて撃ち出す銃「サイコガン」を仕込み、普段は上に義手を被せて隠している。この義手は非常に精巧な物で、カモフラージュ装置によってレントゲンなどの探査を受けても生身の腕と区別出来ない様になっている他、置き去りにされても呼び返したり出来、空気噴射で空を飛んだり、サイコガンを使ってロケットパンチの要領で射出も可能。ジョンソンとして生活していた間に装着していた義手は、覚醒時にバイケンを撃った際に壊れてしまい、自室に予備が隠してあった。劇場版では義手が何処かに転送されてサイコガンが現れる描写となっており、原作、TV版と異なっている。原作においては、外した義手は右手に持ったり口にくわえたりする事が多いが、放り出された義手が自動操縦で手元に戻ってくるという描写も散見される。
コブラの弁によれば、利き手はサイコガンを仕込んである義手の左手だが、劇中で葉巻をくわえたり、パイソン77マグナムを撃つ場面などでは右手を使うことがほとんどである。そのため、右手は訓練や矯正で左手並みに使えるようにしたと推測されるが左手を切断されてから右手を訓練したのか、それ以前から矯正などで使えるようにしていたのかは作中で明かされていない。
コブラの名前どおり、毒蛇であるコブラのフード背面にある斑紋を模したマークを使用している。これはタートル号(TV版や「ザ・サイコガン」編以降のデザイン)に使われている。
[編集] 服装・所持品など
普段の服装は、「サラリーマンのジョンソン」時代と同じブーツと身体に張り付いたTシャツとスラックスで、いずれもカラーは赤で統一されている[1]。ブーツの踵には強力なスクリューが装備されており、人を抱いた状態でも水流に逆らって推進することができる。これはカッターとしても使用可能で、触手に足を絡まれた際などに脱出に使用している。ベルトの四角いバックルはカメラとして使用可能なもの、着脱式の双眼鏡として使用可能なものなどがあり、用途に応じて使い分けている。前者は「刺青の女」編で、後者は「タイムドライブ」編で使用。両手に嵌めている黒いリストバンドには、通信機やワイヤーの命綱、危険物感知機、カッターなどが内蔵されている。ワイヤーは移動手段としても使用可能でコブラはこれを壁などに打ち込み、ターザンさながらのアクションを披露している。
コブラはほぼ常に葉巻をくわえており、水中や気絶している時でさえ葉巻を離さない。喫煙用のものだけとは限らず、酸素が圧縮されている「オキシ・シガー」や、煙幕の出せるもの、手榴弾になる「マイト・シガー」、レーザーが発射できるもの、ペンライト内蔵型など数種類を携帯しているようである。「黄金の扉」編や「タイムドライブ」編における本人の弁によると、「トルコ巻」とのこと。
[編集] 使用武器
コブラが主に使用している武器として、サイコガンとパイソン77マグナムがある。特に、サイコガンはコブラの代名詞とも言うべき武器であり、コブラとサイコガンの組み合わせは手配書に描かれるほど有名である。その手配書には、左腕のサイコガンを掲げる整形前のコブラが描かれている。
[編集] サイコガン
- 連載当初はサイコ・ガンと表記されていた。コブラの左腕に仕込まれた銃で、肘から先を包み込むように装着されている。地球・日本の銃鍛冶である不知火鉄心の作。精神(サイコ)エネルギーを破壊エネルギーに変換して撃ち出す物で、コブラの強力な精神力あっての武器。弾道を曲げて障害物の後ろの敵を撃ったり、相手の気配のみで狙ったりも出来る。相手の気配を掴んだ時には発砲の際に「そこだーっ!」の気合いが入るのがお約束。またパワー制御も自由に可能。精神力がエネルギーなのでコブラの命が尽きない限り弾切れはあり得ない。レディ曰く「サイコガンは心で撃つもの」。その威力は精神力の大きさに比例するので絶好調や怒りなどの感情で精神力が昂まっている時は、戦艦でさえも撃沈できる。「惑星さえもふっ飛ばしてみせるぜ」とは、本人の弁。敵の攻撃などでダメージを受け、コブラの精神力や気力が落ちている時にはその威力が大幅に下がると考えられており、敵から「紙一枚焦がす力も残ってはいまい」と言われたこともある。
- 通常時はコブラの精神力と銃身双方にかかる負担を少なくするため、パワーセーブをかけて使用している。この状態でもパワー制御が上限こそあるが可能であり、低出力で撃つことで相手を殺さず気絶させることもできる。
- 弾道が重力の影響を受けて狂うこともある。「サイコガンの秘密」編序盤では地球の重力に慣れていないためか、銃撃戦で一発外している。また、「黄金の扉」編では、強力な重力場の影響でビームが直進せず、軌道を曲げられて一発も当たらないという事態が起こった。[2]
- 先述の通り、コブラとサイコガンの組み合わせは手配書に描かれるほど有名である。そのため、サイコガンを使ったために正体を知られることが珍しくない。逆に名刺代わりに使用することもある。例えば「ラグ・ボール」編では、リック・ブルーこと、元海賊でコブラの旧友であるザック・シモンに対してこれを行った。
- 作中で一度寿命で壊れて銃身が割れたため、鉄心が生前に造ってあった2代目に交換している。サイコガン自体、特に道具などを用いずに容易に付け外しが可能である。コブラは「6人の勇士」編でそれを利用して自分が死んだと偽装し、アーシュラ中佐をだまして油断を誘った。逆に、「聖なる騎士伝説」編では玄武鬼に囚われた際、サイコガンを奪われ武器コレクションルームに展示されてしまった。
- コピーサイコガン(ジゴバモデル)
- ジゴバが電送されてきたサイコガンの盗撮写真を元に製作した。オリジナルとは異なり、ヘッドセットから送られる精神エネルギーを、ケーブルで繋がった手持ち銃で撃ち出すスタイル。完成早々にジゴバの部下がコブラを返り討ちにするために使用されたが、当の彼等がサイコガンの扱いに慣れてなかったことに加え、ジゴバがサイコガンの性能や特性を完全に解析できていなかったため、弾切れしない銃以上には役に立っていなかった。
[編集] パイソン77マグナム
- コブラは他に、クリスタル・ボーイ等サイコガンの通用しない相手に対して、「パイソン77マグナム」というリボルバー式実弾拳銃を使用している。ボーイからは「博物館入りのシロモノ」呼ばわりされたが、レイガンや連射ブラスターに信用をおいていないコブラはこの銃に絶大な信頼を置いている。コブラ曰く「バケモノじみた大きさとズシリとした重さがオレの命を守ってくれる保証」とのこと。コブラだからこそ扱える代物であり、普通の人間では反動で腕が吹っ飛ぶほど。初速2000m/秒、500mからの距離から撃っても厚さ100センチのメタライト(特殊合金)を撃ち抜くという小型のミサイル並みの威力を持ち、直撃せずとも衝撃波だけで周囲のものが破壊できる。コブラの弁によれば電子制御装置が組み込まれており、これによりコブラと彼以外の識別が行われるためコブラ以外は引き金を引いても撃発出来ない。
- サイコガンが使用するのに義手を外す必要があるのに比べて、こちらはホルスターから取り出すだけで撃てるため、早撃ちに関してはこちらの方が有利だが、リボルバー式拳銃の宿命として装弾数6発という弱点を抱えている。「シドの女神(サラマンダー)」編ではそのことを敵から指摘された。
- 拳銃ならではのサイズを生かし、警戒する相手に向けてこっそり物陰で構えるのに適している。「刺青の女」編、「六人の勇士」編、「地獄の十字軍」編がその例。いずれの場合も相手に気づかれたのか、発砲には至らず。
- 「シドの女神(サラマンダー)」編では、マゼラン博士の研究所内での射撃訓練でコブラは0.1秒で6発全部を撃ち、銃声が1発分しか聞こえないという早撃ちを披露し、「地獄の十字軍」編では手にした銃の重さだけで弾丸が抜かれていることを見抜いた。
- 「神の瞳」編では、新しいサイコガンを手に入れる前に訪れた金星のマダム・ドローレの館での戦いでこの銃により窮地を切り抜けたが、「ザ・サイコガン」編序盤でのハンマーボルト・ジョーとの戦闘中に破壊された。
- TV版のエンディングにも登場している。
このほか、先述のマイト・シガーや小型の火炎放射器として使うこともできるライターがある。また、ワイヤーを武器として使用することもある。
[編集] 備考
- 原作者の寺沢によれば、コブラのモデルはフランスの俳優、ジャン=ポール・ベルモンドである。
- 映像作品におけるコブラの声優は主に野沢那智が担当しているが、寺沢はテレビアニメ化の際はベルモンドの吹き替えを多く務めていた山田康雄を希望していた。しかし同じ東京ムービー新社の作品ルパン三世のイメージが強すぎたため叶わず、山田版コブラはその後に発表されたPCエンジン用ゲームでようやく実現した。寺沢は「野沢さんには悪いけどイメージではなかった」と以前に週刊誌でのインタビューでコメントしていた他、山田も「アニメの声はルパンだけにしたい」と語っていた。
- ジョンソンの他、劇中でジョー・ギリアンという偽名を名乗ったこともある。前者は先述の通り海賊稼業の休眠中に貿易会社のサラリーマンとして使用、後者は「ラグ・ボール」編で「レッド・サクソンズ」チームに新人選手として潜入するのに使用したのが初出。以降、「カゲロウ山登り」編ではジョンソンを、「聖なる騎士伝説」編、「ザ・サイコガン」編ではジョー・ギリアンをそれぞれ必要に応じて名乗った。また、ジェームズ・ボンド、サンタクロースとうそぶいたこともある。この他「異次元レース」編では、高額の賞金首「ネホバ・キッド」に仕立てられたり、「ザ・サイコガン」編ではサルバドールという名前にされたこともある。
- 「ラグ・ボール」編で、ドミニクからの依頼の報酬としてキャッシュで200万ドルのほかに、司法取引により一度「すべての罪状を帳消し」にされている。しかし、マーメイド退治後にパトロール基地の金庫室の天井を撃ち破り逃走した事で、ドミニク曰く「公共物破壊」の罪状で新たに手配された模様。
- サイコガンと同名の武器がスクウェア(現スクウェア・エニックス)のコンピュータRPG『Sa・Ga2 秘宝伝説』にも登場している。攻略本には『コブラ』に登場するものとは異なったデザインのものが描かれており、こちらは使用者の魔力に比例して威力が上がるというものである(『Sa・Ga』シリーズは同社の『FF』シリーズと違い、精神のパラメーターがない)。