ケロシン
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ケロシン (kerosene) とは灯油のことである。日本では特に、ジェットエンジンやロケットエンジンの燃料用のものを、「灯油」ではなく「ケロシン」と呼ぶ。
英語では、keroseneのほかkerosineとも綴り、また、coal oilとも言う(日本のモービル石油のスタンドや灯油の貯蔵施設にある給油機には英語のKerosineが書かれている)。また、英国と南アフリカではparaffin(パラフィン)とも呼ぶ。
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[編集] 概要
ケロシンは無色で燃えやすい液体の炭化水素で、石油の分留で150~275℃の分留区画を占める(炭素数で12~15に相当)。かつてはケロシンランプが広く使用されていたが、現在では主に燃料とジェット燃料として使用される。ケロシンの名称はギリシア語のκηρο’ς (keros) (ろう、ワックス) に由来する。
原油から直接蒸留された標準的なケロシンは硫黄の含有とそれに伴う腐食性を減少させるために、いくつかの処理を必要とする。今日ではケロシンの一部は石油クラッキングによっても生産される。つまりクラッキングにより原油の燃料油にしかならない成分から価値のある成分へと改質している。
ケロシンの家庭用燃料としての使用は、ほぼ発展途上国またはバックパッカーに限られており、そのような用途では精製度が低く不純物やゴミを含んだものが使用されている。
日本では、家庭用の灯油ストーブで暖房燃料として広く使用されている。日本ではガソリンスタンドや宅配によって容易に入手が可能である。
[編集] ジェット燃料
ケロシンはジェット燃料としても利用されている。
- 詳細はジェット燃料を参照
[編集] ロケット燃料
ロケットエンジンでは燃料を大気圏外でも燃焼させるため、液体水素やケロシンなどの燃料のほかに酸化剤を搭載する必要がある。酸化剤として用いられる物質は、第二次世界大戦中のヴァルターロケットでは過酸化水素、同じくV2ロケットでは液体酸素、戦後のミサイルでは赤煙硝酸や過塩素酸アンモニウムなどである。ケロシンを燃料とするロケットの場合、酸化剤としては液体酸素が多く用いられる。ロケット燃料としての性能(比推力)は噴射速度、言い換えると燃焼温度が高いものほど、最終飛翔体と燃料の重量比である質量比を緩和する。したがって理想的には液体水素と液体酸素の組み合わせがロケット燃料に最適である。しかし液体水素は密度が低いためタンクが巨大になり、また液体酸素との沸点の違いからタンクの断熱構造が複雑になるなど、実際には燃料タンクなどロケットの構造材の重量も含めて考慮されるべきで、サイズが巨大になる多段式ロケットの1段目にはロケット構造材の装置が簡単になり軽量化が図れるケロシンがロケット燃料として採用されることが多い。
[編集] ケロシンを燃料とするロケットエンジンの例
- RP-1: アメリカ合衆国で広く使われるロケットエンジン用燃料。
- TM-114: 旧ソ連/ロシアで使用されるケロシン系ロケット燃料の一つ。
- TM-185: 旧ソ連/ロシアで使用されるケロシン系ロケット燃料の一つ。
- F-1: アポロ計画で用いられたサターンV型ロケットの一段目用の巨大エンジン。
- RD-170/RD-171: ロシアの大型ロケットアンガラ、ウクライナのゼニト用のエンジンでF-1に匹敵する。
- RD-107/RD-108: ロシアのソユーズの一段目用のエンジン(RD-107にRD-108を4本束ねて使うのが特徴)。液体酸素とケロシン系のT-1またはRG-1燃料を使用する。
- RS-27/RS-27A/RS-27C: デルタIIの一段目用エンジン。
- MB-3-1(制式名LR-79-7): ソー・デルタの一段目用エンジン。
- MB-3-3: デルタやN-Iロケット・N-IIロケット・H-Iロケットなどデルタシリーズの一段目用エンジン。