エリンギ
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?エリンギ Pleurotus eryngii |
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分類 | ||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||
Pleurotus eryngii (De Cand.) Gillet 1874 |
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和名 | ||||||||||||||||
エリンギ |
エリンギ(学名: Pleurotus eryngii )は、ヒラタケ科ヒラタケ属の真菌類の一種である。その子実体は食用とされる。
目次 |
[編集] 概要
イタリア、フランスなど地中海性気候地域を中心として、ロシア南部、中央アジアなどのステップ気候地域までを原産地とし、主にセリ科のヒゴタイサイ(エリンジウム属)の植物(Eryngium campestre)の枯死した根部を培地として自生することから命名された。
原産地域ではもともと人気のある食用キノコで、フランス料理やイタリア料理などの定番食材のひとつである。日本においては、1990年代に愛知県林業センターで初めて人工栽培が行われ、その後、栽培技術が普及するにともなって各地で大量の商業栽培がおこなわれるようになった。
日本において本種の自生はなく、市場において見られる物は全てが栽培産品であり、学問上定着した和名は無い。かつて栽培生産者が販売に際して「じょうねんぼう」、「かおりひらたけ」、「みやましめじ」、「白あわび茸」などの和称を種々発案したものの普及せず、現在では学名(二名法上の種名)エリンギが広く認知されている。
[編集] 食材
食感は松茸や加熱したアワビによく似るとされているが、食材そのもの香りには乏しいため、もっぱら種々の味付け・香付けを施して調理されるのが普通である。現在では大量栽培が普及したため、価格も手ごろな食材として人気が定着している。
ソテーやスープの具材として用いる南欧料理のほか、和食や中華料理の具材としても広く使われるようになった。歯ごたえを楽しむために縦に走る繊維と直角に切ったものを用いた中華スープや、食べやすい大きさに手で裂いて炒めたバターソテー、煮込んで佃煮にして供するなど手軽な調理法が種々考案され、日本においても人気の食材のひとつとなっている。
[編集] 栽培
菌床栽培で主にビン栽培される。培地の主材として広葉樹全般が使用されるが「コーンコブミール」「コットンハル」も積極的に使用され、一定の処理を施すことで針葉樹も使用できる。栄養材としては「フスマ」「コメヌカ」のほかに「トウモロコシヌカ」「オカラ」「豆皮」等の食品副産物も利用されている。日本での栽培の歴史が浅いため、食品副産物の利用研究と共に栽培技術が発展し多くの特許が成立している。害菌抵抗性が弱く、生育期に生育障害を起こしやすい。エノキタケなどと比較すると若干の乾燥状態を好むが、湿度不足や過多は様々な生育障害を生じる。
- 栽培特性[1]
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- 菌糸体の生育最適温度は25℃前後、菌糸体はpH5.8~8.0 の範囲で成長し、伸長最適 pH は6.5 付近。
- 子実体は14~20℃で発生するが、最適な発生温度は16~18℃程度。
- 炭素源はデンプンよりグルコース、窒素源はペプトンなど低分子の蛋白質で菌体増加量。
- 子実体生育に適する炭酸ガス濃度は0.2%以下で、高炭酸ガス濃度では傘、柄の形状が乱れ品質が劣る。
- pH 調整剤、貝化石。菌糸活性剤として、ケイ酸アルミニウム類が使用される。
- 培地含水率は、86~70%
- 二酸化炭素濃度は、3,000ppm以下程度。
- 湿度は、前期培養は60~70%、後期培養は70~80%。
- 子実体発生前は光不要。子実体発生後の光量は、200lx程度。
- 栽培期間、60日程度。収穫は、1回。