エネルギア
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- 旧ソ連の大型ロケットの名称。下記参照。
- ロシアの宇宙開発企業の名称、"S.P.コリョロフ ロケット&スペース コーポレーション エネルギアS.P. Korolev Rocket and Space Corporation Energia"。
- 中国電力の愛称「Energia」。
エネルギア (Энергия) は、旧ソビエト連邦の大型ロケット。
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[編集] 概要
TsAGI(中央空気流体力学研究所)によって設計された、重量物打ち上げ用使い捨てシステム。また、ソ連版スペースシャトルとも呼ばれる「ブラン」を打ち上げるためのブースタとして開発されたが、ソ連崩壊と財政難により計画は中止された。
[編集] 歴史
[編集] 開発経緯
エネルギアとブランは、双方とも超大国の力の均衡を保つことを意図して計画されたものだった。エネルギア-ブラン・システムの開発は、「N-1」という大型ブースタ計画がキャンセルされた後の、1976年に始まった。このため、N-1のための有人月ロケット用の施設・設備・培われていたノウハウは、エネルギア開発に使われた。
(N-1は低軌道(LEO)への95tの打ち上げ能力があり、1基の推力1,544kNのクズネツォフNK-15エンジン30基によって、総推力46MNを出す事を目指していた。もしこれが実現していたならば、米国のサターンV型の離陸推力33 MNを凌ぐものになる筈であった。プロトンロケットをベースに大型化し、毒性のあるハイパーゴリック燃料(混ぜるだけで着火する自己着火性推進剤)を使用して推力を増す「ヴァルカン」構想の後継にも想定されていた。関連記事 - ソ連の有人月旅行計画。)
[編集] 最初の打ち上げ
エネルギアは1987年5月15日21:30 打ち上げられた。しかし、上段の不調で軌道には投入できなかった。
[編集] 2度目の打ち上げ
1988年、ブランを軌道に投入した。
[編集] 計画中止
エネルギアロケットの生産はソ連の崩壊とブランシャトル計画の終了に伴い終了した。一方、ゼニットブースターの生産は続いている。4基の液体燃料ブースターのエンジンはゼニットに使用されているものと同じ高推力で高効率のRD-170である。ゼニットはバイコヌール宇宙基地とシーローンチで使用されている。半分の出力のエンジンであるRD-180はロッキード・マーチンのアトラスVでRD-190はロシアのアンガラに搭載されている。
[編集] コスト
エネルギアとブランの膨大な開発費が、ソ連の財政危機の一因となった、と多くのアナリストが指摘している(これは開発費であってランニングコストではないことに注意)。
[編集] 年表
[編集] 性能
低軌道へのペイロード打ち上げ能力は100 tで、サターンVロケットと同等以上の搭載量を持たせることも可能だった。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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