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Oh!X - Wikipedia

Oh!X

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

Oh!X』(オー! エックス)はかつて日本ソフトバンク及びソフトバンクパブリッシング(現ソフトバンククリエイティブ)から発行されていたパソコン雑誌。本項では、前身の『Oh!MZ』(オー! エムゼット)についても解説する。

目次

[編集] 概要

日本ソフトバンクではかつて Oh! シリーズとして『Oh!PC』、『Oh!FM』(後に『Oh!FM TOWNS』)など機種別パソコン雑誌を発行しており、そのうちで『Oh!MZ』はシャープMZ シリーズを対象としていた。シャープからは後に MZ シリーズとは別に X1X68000 シリーズが発売され、次第にそちらの方がシャープのパソコンとして主流となったために誌名を『Oh!X』に変更した。

対象機種の衰退につれ、1995年12月号を最後に休刊するが、その後ムックとして復刊し2006年までに5号が発行されている。

いまだ続刊を望む声は強いが、当時の編集関係者は既に別会社に移っているため復刊は困難である。

[編集] 歴史

  • 1982年 5月 『Oh!MZ』6月号創刊
  • 1987年11月 12月号より『Oh!X』に改題[1]
  • 1995年11月 12月号をもち休刊
  • 1998年11月 復刊記念号発刊
  • 1999年 5月 春号刊行
  • 1999年 9月 夏号刊行
  • 2000年 3月 春号刊行
  • 2001年 3月 春号刊行

[編集] 記事

初心者向け記事も存在するのだが、概して記事を理解するための努力を読者に要求していた。マシン語のダンプリストが掲載された場合は紙幅が許す限りソースリストも掲載された。

そのため読者に「Oh!MZはドラゴンだ」といわしめた。これは『Oh!MZ』をファンタジーロールプレイングゲームで倒すべき(手強い)相手であるドラゴンに例えたものである。

また、同じ出版社のOh!PC誌やOh!FM(Oh!FM TOWNS)と異なり、他機種への露骨な批判が多いことでも知られており、中には、シャープ製のPCを偏愛する余り、明らかに誤った記述もあり、一部では顰蹙を買っていた。[2]

[編集] 創刊号

前述のOh!PCと時期を同じく刊行された。定価620円(翌月号からは480円)。104ページ(内、全面広告19ページ)。編集人は田鎖洋治郎(Oh!PCの編集人でもある)。副題は「MZ-80B K/C ポケコンシリーズ」。ページ数が少ないこともあり、製本は後の背表紙ホットメルト接着ではなく、ステープラーでなされている。目次に記載されている寄稿者は林 剛正、神谷 誠、粕谷昌朗、杉本 伸、関 克美、鈴木芳昭、T.マックガバン(Thomas Mac-Gaban、編集部訳の記事)、伊藤のりこ、高野庸一、有田隆也、山本 寛、大山 学(マンガ)。特集記事は「MZ-80KIIを生体解剖」など。日本ソフトバンク設立の1年後ということもあり、社員募集の広告も掲載されている。「Oh!MZ質問箱」は、おそらく編集者自身が考えたであろう質問に答える形になっており(質問者の名前や肩書きが記載されていない)、「市販されているパソコンで適当なものを教えてください」という質問に対し「MZ-80B、MZ-80K/C、PC-8001ベーシックマスターパソピアなど」と、シャープ以外のメーカーのパソコンも勧めている。

[編集] オークスターのお姉さん

初期の Oh!MZ の表紙にはアメリカンコミックに描かれているような肌の露出が多い女性が描かれており、目次ページ(創刊号では編集後記)には表紙絵についてのストーリーとされるものが記されていた。この表紙のおかげで本屋によってはアダルト雑誌コーナーに置かれていたこともあったと後の誌面で語られている。原画提供はマジックバス

[編集] THE SENTINEL

1985年6月号-1995年12月号の連載記事。Z80を使用した機種に共通のプラットフォーム、アプリケーション、解説記事が提供された。

「THE SENTINEL」は、元々はこの特集の冒頭記事名で、当初は特集に関する読者からの投書欄であったが、後に編集部からのメッセージ欄となった。この特集記事全体を指す名称が無いため、その代わりに使われることもある。THE SENTINELは監視者を意味し、ここで言う監視対象はドラゴンとされる同誌を指すとされる。

1985年1月号に掲載されたEDASMという同誌が対象とする機種のアセンブラが始まり。この特集で異機種間の共通入出力処理系の構想が発表され、読者から大きな反響があり、本特集記事へとつながった。

[編集] S-OS

S-OSは、Z80を使用した機種に共通の、この特集で提供されたプラットフォームの名称である。S-OSのバージョンは、数字ではなく、当初のバージョンはを意味する"MACE"、次のバージョンはを意味する"SWORD"という名称が付けられた。これは、当時流行していたロールプレイングゲームで多用する武器から取られており、「S-OSを読者参加で成長させていきたい」という編集部の意向に基づいている。ただし、名称としてはMACE、SWORDの2つのみで、その後は若干の拡張が行われたものの、コアとなる共通仕様には大きな変更はなされなかった。また、高機能な機種に移植されたものは独自の拡張をされているものもある。

1985年6月、カセットテープベースのMACEが発表された。ファイルフォーマットをMZフォーマットの2400ボー(ただしMZ-80K/Cはハードウェアの制約により1200ボー)で統一することでファイルを相互にやりとりできるようにし、内部的には表示、キー入力などの入出力を特定の条件でそろえることにより、ソフトウェアの開発を簡略化させた。

1986年2月にフロッピーディスクの普及に従い、ディスクベースのSWORDが発表された。SWORDでは、X1のHu-BASICフォーマットがフロッピーの共通フォーマットとなっている。負論理で記録され、表裏が逆に取り扱われるのが標準であるMZシリーズではディレクトリエントリにゴミが表示される(動作には支障がない)。オフィシャルなSWORDはバッチ処理と、いくつかのコマンドをセットにした拡張キットが発表され、以降の移植などはこの環境を基準に行われている。プラットフォームとしてオペレーティングシステムと呼ぶに足る機能を持った後も最強のマシン語モニタを自称しているのには、各機種でS-OS用のアプリケーションの互換性は保ちながらも、各々の機種の特徴も生かせるように作られていることにもあるだろう。S-OS対応アプリケーションは読者投稿も交えてBASICFORTHLISP などの言語からインベーダーゲームテトリスをはじめ、高度なシューティングゲームなどのゲームまで幅広い作品が掲載された。

各機種のBIOS/CIOSに当たるモニタプログラムは、エントリアドレス、入出力条件こそ違えど、機能としては類似した物が多かった。S-OSの実装は各機種のモニタプログラムのラッパーと追加デバイスのサポートルーチンで構成されており、それらのコール条件を揃え、文字コード等もテーブルやリプレースにより変換し、同じ出力が得られる様になっている。このような共通化のレイヤーを通し、互換性が維持されていること、"SWORD"でフロッピーディスクがサポートされたことにより、カセットテープベースでは不可能であった他社のハードウェア上にも移植されるようになり、コーナーの中でも異彩を放ち、成果に対しては、機種の壁など関係なく褒め称えようという同誌の性格も示すものになった。これらの実装は、実行速度としてはデメリットになる物であるが、モニタを残し実装することでその機種で利用するアプリケーションも多くがSWORD上で開発、実行できるというメリットも存在する。速度の問題については、一部のエディタでは専用モジュールを用意することで高速化を図ったり、草の根レベルではエントリの書き換えによるモジュールの入れ替えで高速化が行われることや、モニタ部分も含め書き直された互換システムも存在する。 MZ、Xシリーズ以外への移植版については、草の根のユーザーグループ、パソコン通信等で頒布されたもの、Oh!PASOPIA誌上等で公開された物などもあるが、機種別雑誌である同誌にソース、ダンプリスト共に掲載された事が異例である。

なお、ファイルシステムが古いこともあり、2DD以上の容量を持つメディアに対しては、512KB迄で利用する、ディスクイメージを利用するなどの対応が取られた。移植に際してCPUが異なる場合は、CPUエミュレーションや拡張カードへの対応によって対応している。

グラフィックスのサポートはS-OSには無いが、標準ではグラフィック用VRAMを特殊ワークとして利用する。これらはアプリケーションからのワークエリアとして利用されたり、拡張キットにおけるRAMDISKとして利用することが可能である。 またコーナーとは別に、吉村功成によるMAGICというグラフィックスインタープリタが発表されており、S-OSアプリケーションとしてグラフィックス表示を行う場合には、これを利用する。

これ以前には、多機種で共通に使用できるディスクオペレーティングシステムとして CP/M が比較的普及していた。とはいえ、当時は CP/M の稼動に必要なフロッピーディスクドライブが搭載されていない機種も多かったうえに、CP/Mそのものの価格も高価であり、さらにCP/M上で動作するアプリケーションソフト(言語やツールの類)はさらに高価であり、一般に普及していたとは言い難い。

しかも、連載開始当時はオープンソースソフトウェアの思想がまだない時期であって、CP/Mでもソースコード公開のアプリケーションソフトはほとんど無かった。そのような時代的背景にあって、当連載にかかるプログラムはすべてソースコード掲載を義務付けた点、しかも連載第一回に掲載されたのがLISPインタープリタであったことに見られるように、単なるプログラム作例公開にとどまらない連載であった点は、当時として極めて画期的なものであった。またここで公開された開発ツールは市販されていたものに匹敵するほどの物も多く、アセンブラデバッガコンパイラも複数存在し、ソースジェネレータまで存在する。

なお、雑誌『ハッカー』の書評欄で「ただのジャンプテーブルのようなもの」と評されたことがあるが、これは上記のような多岐にわたる内容を理解していなかったことによる誤解に基づくものと思われる。

[編集] グラフィックスインタープリタMAGIC

1986年9月号に掲載された、当時アルシスソフトウェアに在籍していた吉村功成によるMZX1PC-8801用のグラフィックスインタープリタ。 X1のVRAMもエミュレートするPC-286/386用のS-OSでも動作する。 ワイヤーフレームとはいえ、3Dでの表現も可能にし、そのライン描画は当時の機種においては高速であった。 後にX68000用にもリファインされ、SION、SION IIというサンプルプログラム兼付録ゲームの描画ライブラリとしても利用されている。

[編集] 言わせてくれなくちゃだワ

毎年、5月号において読者の葉書投稿を特集して掲載した。同時に前年に掲載されたプログラムのバグ情報もまとめて掲載された。

[編集] MZ-700 用 Tiny XEVIOUS

1986年11月号に読者投稿作品の MZ-700TinyXEVIOUS が掲載された。掲載当時でも決して高機能とはいえなかった MZ-700 の能力を極限まで発揮させたものとして読者から高い評価を受けた。これにより「MZ-700 に不可能はない」とのフレーズが生まれた。 その後、オジリナルのシューティングゲームなどの発表を経て、X1や、PC-88でも制限の多かったスペースハリアーがオンメモリで実現、掲載されるなど、表示がテキストのみであり、アトリビュートが背景色、文字色で別々に指定できることのフットワークの軽さを生かしたソフトウェアも発表されることになる。 この MZ-700 用スペースハリアーは、後にI/O部分を書き換えX1でも動作するようにもなった。

[編集] 皿までど~ぞ

[編集] 試験に出るX1

祝一平による、X1,X1turbo のハードウェア解説記事。他では見られないほどの高度な分析と独特の文体で好評を博した。後に単行本化された。

[編集] 猫とコンピュータ

筆者である"キョウコさん"と飼い猫のホンニャア、そして家族の周辺とパソコンとの係わりを綴ったエッセイ。単行本化されたが、1巻のみ発売されただけで、全話収録されていない。最後期には、MacintoshWindows絡みのエピソードが増えていった。

[編集] 知能機械概論-お茶目な計算機たち

人工知能を研究している筆者によるエッセイ。

[編集] パソコン千夜一夜

[編集] between the lines

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

[編集] 脚注

  1. ^ 改題された直後、「運動会綱引きの掛け声みたいで嫌だ」という読者投稿があった。
  2. ^ 有名な話では、FM TOWNSにテキストVRAMが存在しない事を非常に批判していたが、実際はX68000もテキストVRAMは持たなかった。X68030が登場した当時、80486を搭載するFM TOWNSを比較対象としてベンチマーク記事を載せ、68030の方が高速に演算できるという記事を載せたが、そもそもX68030側に圧倒的に有利な条件で行っていた、等。基本的に他のOh!誌は、Oh!Xのそのような態度を無視していたが、ベンチマークの件に関しては、Oh!FM TOWNS休刊号にて、特定機種を偏愛する余り明らかな捏造記事を載せたとして、ライターから名指しで批判されていた。


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