Intel Core 2
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Intel Core 2(インテル コア ツー)はインテルが2006年7月27日に発表したx86命令セットを採用するCoreマイクロアーキテクチャのCPU。
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[編集] 概要
Core 2は、それまでとは違い全く新しい設計思想によって作られたCPUである。インテルのシニアアーキテクトであるボブ・バレンタインの発言によると、「Coreマイクロアーキテクチャはもはや内部RISCプロセッサのアーキテクチャではない」とした。
CISCであるx86命令セットは1命令で複雑な処理が可能であるが、その複雑さから処理の高速化は難しいと考えられた。そこで、CPUの内部でx86命令を複数の簡単なRISC的命令(μOPs)に分解することによって性能の向上が可能となる、との考え方が生まれた。それによって処理の向上を図った製品が、Pentium ProからPentium IIIプロセッサに続くP6マイクロアーキテクチャである。
当時、半導体の製造技術の順調な進歩に後押しされ、その設計思想は妥当だと考えられていた。また、処理能力の向上を支えるクロック速度向上に伴うダイナミック電流の増加、即ち消費電力の増大については、半導体技術の進歩を受けて設計ルールを微細化することにより消費電力を削減して相殺できると楽観視されていた。それに続くPentium 4プロセッサに代表されるNetBurstマイクロアーキテクチャは、その設計思想をさらに推し進めたものである。結果、NetBurstマイクロアーキテクチャは1個のx86命令を複数の極めて単純な命令に分解し、それを深いパイプラインに投入して高速に処理することで性能を稼ぐという手法を採用した。
しかし、半導体の製造技術の進歩により処理を高速化すると消費電力は級数的に増えてしまうことが予見されるようになり、加えて設計ルールの微細化に伴うリーク電流の増加が顕著になり、その現象が2000年代前半に顕著になってきた。NetBurstマイクロアーキテクチャは分解した単純な命令を大量に処理することを前提とし、それによってさらなる処理の高速化を実現する製品であったため、消費電力の増大と共に発熱問題にも直面した。結果として、複数のCPUを搭載するサーバ用途では放熱に苦心を強いられ、多数のCPUを搭載するブレードサーバ用途には向かないものとなった。また、熱設計的にはゆとりがあるはずのデスクトップPCでもその対策に悩まされるようになった。CPU放熱ファンは大型化し高速回転して唸りをあげ、放熱フィンも大型化し、これらの大きなパーツを支える仕組みを備える必要があったし、コストを押し上げる要因となった。また、CPUから奪った熱がこもらない様にケース内のレイアウトを適切に設計し、ケース・ファンを設けるなど設計に注意をはらう必要があった。
一方、同時期にモバイル用として登場したPentium Mは、良好な低消費電力と比較的高い処理性能によってモバイル分野では成功を収めた。しかし、モバイル用途に限定して設計していたため、デスクトップ/サーバ分野でNetBurstマイクロアーキテクチャを置き換える対象としては不向きであった。やがてPentium Mの後継としてIntel Coreに代替わりし、それをベースとしたデスクトップ/サーバにも適した次世代のマイクロアーキテクチャの開発が急がれた。
Coreマイクロアーキテクチャの完成により、高性能と低消費電力の両立に成功し、モバイルと高密度サーバ、そしてデスクトップと大規模サーバというカテゴリごとにそれぞれ違うマイクロアーキテクチャで対応していた製品展開を、Coreマイクロアーキテクチャから派生した単一のマイクロアーキテクチャでの対応を可能とするに至った。
Intel 3,4 Series、975X Express、965 (963) Express、946 Express、945 Expressの各チップセットファミリに対応する。
[編集] 機能
Core 2の新しい機能としては、インテルのCTOにより大きく5つの技術が紹介されている。
- インテル アドバンスト・スマート・キャッシュ
- 2MB - 3MB - 4MB - 6MBのL2キャッシュは2つのコアで効率的に共有され、使用率は状況に応じて動的に変更される。従来は各コアごとにL2キャッシュを備えていたため、データの重複によるキャッシュ領域の無駄遣いが生じ、またコヒーレンス制御にチップセットを経由する必要がありFSB帯域を無駄にしていた。コア間でL2キャッシュを共有することでより効率的なキャッシュ領域の使用ができ、またL2キャッシュのコヒーレンス制御がなくなるためFSB帯域が節約できるようになった。L1キャッシュのコヒーレンスもL2キャッシュ経由で行えるため極めて高速である。ただし、共有キャッシュ自体はPOWERプロセッサやItaniumプロセッサを採用した一部のハイエンドマルチプロセッサシステムですでに実装されており、手放しで目新しいものとは言い難い。
- インテル スマート・メモリー・アクセス
- メインメモリからの読み込みはL1キャッシュ・L2キャッシュの読み込みに比べて大変遅い。メインメモリにあるデータや命令のうち、予め必要となりそうなデータをキャッシュに取り込んで(プリフェッチ)おくことで、遅延を解消している。
- インテル アドバンスト・デジタル・メディア・ブースト
- YonahのMedia Boostを強化したもの。それまで128ビットSSE命令は64ビット命令が2サイクルとして処理されていたが、これを1サイクルで処理可能にした。
- インテル ワイド・ダイナミック・エグゼキューション
- 効率的なマイクロオペレーション(μOPs、CPU内部の命令実行単位)の制御機構。デコードからエグゼキューション(実行)までの間に、μOPsを随時統合・分割するなど効率的に管理することによって、内部の処理時間を短縮させている。また32bit命令を最大5命令まで処理可能なパイプラインは14段階(NetBurstでは最大31段階)に縮小されており、クロック数を上げにくい反面、低消費電力を(つまり高IPCを)実現する。ピーク性能は1クロックあたり20命令同時実行である (Kentsfield)。
- パイプラインはP6,NetBurstの3issueから4issueへと拡張され、同時実行命令数及び同時実行可能命令種類の拡大が行われている。[1]
- Intel Intelligent Power Capability
- プロセッサの回路を細かく分割して管理し、使用されていない区画には電力を供給しないことで、消費電力を抑えている。
- Intel Dynamic Acceleration
- 他のコアがC3ステート以下の状態にある時、TDPの枠内でクロックを引き上げることでシングルスレッド性能を向上させる。
更に2007年7月27日のリリースでMerom(モバイル向け)特有の機能として以下の3つの技術が紹介された。
- インテル ダイナミック・パワー・コーディネーション
- 各コアをそれぞれ独立してスリープ(Cステート)させる機能。
- インテル ダイナミック・バス・パーキング
- CPUと連動してチップセットの消費電力も減らす機能。
- ダイナミック・キャッシュ・サイジング機能を備えた拡張版インテル ディーパー・スリープ
- キャッシュを利用しないことで、より消費電力を削減するスリープモード。
2007年3月28日に発表されたPenrynではプロセスルールの微細化によるリーク電流問題の解決のため、トランジスタのゲート絶縁膜にHigh-k(高誘電率ゲート絶縁膜材料)とメタルゲートを採用。プロセスルールも65nmから45nmに微細化され、さらなる消費電力低減と高クロック動作が可能となった。またL2キャッシュはダイ毎に最大で6MBに増加。デュアルダイ構成の場合は最大で12MBとなる。Meromに対し新たにSSE4と除算性能を約2倍に向上させるRadix-16 dividerの追加、Intel VTの25~75%の性能向上が行われている。
[編集] 性能比較
Intelの前世代の主製品だったPentium 4 / Pentium Dと、競合するAMDのAthlon 64 / Athlon 64 X2との間で、製品性能競争でつばぜり合いが行われていた。その為、Core 2が登場した時にも盛んにベンチマークテストが行われていた。
エンジニアリングサンプル品が幾つかのコンピューター関係プレス各社に配布され、プレス各社はベンチマークテストを行い、その結果を公表した。またAMDとIntelは秋葉原にて互いに競合製品との比較を行うベンチマークテストのデモンストレーションを実施した。
- Pentium 4との性能比較
- 同じクロックのPentium 4に比べて圧倒的に高い性能を持つ事が明らかにされた。Merom New Instructions (SSSE3) をはじめとする、ストリーミングSIMD命令セットは極めて強力な能力がある事を示した。詳細はインテル アドバンスト・デジタル・メディア・ブーストの項を参照。
- Intel 64の性能
- 一部のベンチマークで若干の性能低下が見られる。これはLong modeではMacro ops Fusionが効かず、L1CacheのFetch帯域は16byteなので(Intel 64の命令長は最大で7byte)、1サイクルで最大5命令デコードできるデコーダの性能が生かされず、実行ユニットの稼働率が低下するのが原因とされている。しかしレジスタの拡張の効果かLegacy modeと比較すると平均して10%程度性能が向上する。言い換えるなら、Coreアーキテクチャは64bitにおいて、他のアーキテクチャと比較した際に(批判的な立場から言われるように)性能低下が見られるというよりは、64bit化による伸び代(しろ)が少ないということである。また、向上率だけで言えば最も優秀なのはNetburstであり、以下Hammer、Coreと続く。
- 反復処理の性能
- 同じ処理を何度も繰り返すMPEG4エンコードや、円周率の計算などではAthlon64 X2やPentium 4と比較して、特に性能が高い事が明らかにされた。
- 同時使用レジスタ数の増加に対するパフォーマンスの低下
- Core2は同時に使用するレジスタ数が少ないと非常に高いパフォーマンスを発揮する。しかしレジスタ数が増えるとパフォーマンスは劇的に低下する。整数レジスタが3個+メモリ参照が1個+条件分岐命令が1個の場合、5命令同時に1クロックで実行を完了する。しかし整数レジスタへのアクセスが1つ増えると処理にかかるクロックが1クロック増加する(すなわち性能が半分になる)。さらにレジスタ数を増やせば増やすほどIPCは低下しP6マイクロアーキテクチャと大差のない(すなわちK8よりも遅い)結果に至る。[2]
- 以上のように、テクニカルライターの大原雄介が考察しているわけだが、このテストコードにおいてはCoreではLoad命令の処理が律速条件になっているのは明らかであり、同時使用レジスタ数の増加によって劇的にパフォーマンスが低下していると結論付けるのは早計である。
この事から、第1世代のCore2は32bit命令セットにおいて抜きん出た性能を発揮し、反復処理に強いプロセッサであるといえる。上記のベンチマークテストは動画エンコードやπの計算など限られた用途に注目したものであるが、その他にも、たとえば分子動力学といった先端科学技術計算は反復計算を繰り返す用途であって、それらの目的で構築されたコンピュータ(例えばGRAPEプロジェクト)を構成するプロセッサがCore2ベースのXeonに移行する予定である。プレスリリース
[編集] 製品ラインナップ
元々はモバイル向けとして開発され、そこからデスクトップ、ワークステーション、サーバ向けの製品が派生的に開発されている。その為、Coreマイクロアーキテクチャ内での世代を表すコードネームは、モバイル向けの標準ダイものが用いられる。しかしそれぞれの用途向けであっても内容的にはほぼ同じであり、先行して開発が進んでいたモバイル向けにそれぞれの用途向けの機能が追加されていった。組み込まれた機能を無効化することでそれぞれの用途向けに作り分けられている。
製品名 | Meromファミリ | Penrynファミリ | |
---|---|---|---|
デスクトップ向け | デュアルコアCore 2 Extreme | Conroe-XE | |
クアッドコアCore 2 Extreme | Kentsfield-XE | Yorkfield-XE | |
Core 2 Quad | Kentsfield | Yorkfield | |
Core 2 Duo | Conroe/Allendale | Wolfdale | |
Pentium Dual-Core | Conroe-L | ||
Celeron Dual-Core | Allendale-512K | ||
Celeron | Conroe-SC | Perryville | |
モバイル向け | Core 2 Extreme | Merom-XE | |
Core 2 Duo | Merom | Penryn | |
Core 2 Solo | Merom-SC | ||
Celeron | Merom-SC | ||
サーバ / ワークステーション向け | デュアルコアXeon (E)3000番台 | Conroe | Wolfdale |
クアッドコアXeon X3000番台 | Kentsfield | Yorkfield | |
デュアルコアXeon DP 5000番台 | Woodcrest | Wolfdale-DP | |
クアッドコアXeon DP 5000番台 | Clovertown | Harpertown | |
4CPU以上を搭載するサーバ向け | デュアルコアXeon MP 7000番台 | Tigerton-DC | |
クアッドコアXeon MP 7000番台 | Tigerton-QC | ||
ヘクサコアXeon MP | Dunnington |
[編集] デスクトップ向けラインナップ
現行製品は内容的にはどれも同じで、コアの数、キャッシュの容量、FSBの速度、そして熱設計電力(TDP)で差別化が行われている。
[編集] Core 2 Extreme (デスクトップ向け)
ハイエンドデスクトップ/ワークステーション向けCPU「Pentium Extreme Editionシリーズ」の後継製品。コアユーザー、ゲーマー向けのハイパフォーマンスCPUとして発表された。Extremeは、その他の製品と違い内部コアクロックの倍率が固定されておらず、変更が可能となっている。
- Conroe-XE(コンロー・XE)
- Intel Core 2 Extremeの第一世代の製品。Core 2の最上位製品であるが、Core 2 Duoとの差はほとんど無い。相違点は動作周波数が1段上回り、コアの動作クロックの倍率が固定されていない点のみである。行き詰まっていたPentium Extreme EditionとPentium Dの速やかな更新が必要で、Core 2 Duoと差別化をする余裕がなかった為と考えられる。
-
プロセッサ・ナンバ 動作周波数 コア数 FSB 2次キャッシュ VT対応 TXT対応 ソケット TDP X6800 2.93GHz (266x11) 2コア 1066MHz 4MB ○ × LGA775 75W
- Kentsfield-XE(ケンツフィールド・XE)
- 2006年11月14日に発表されたCore 2 Extremeの新製品。2個のConroeの半導体ダイを1個のパッケージに封入したMCM方式のクアッドコアプロセッサ。複数のダイを一つにパッケージングするMCPは、開発期間短縮と歩留まりの向上に効果がある。しかしダイ間の通信はFSBを介して行うのでダイ間の通信速度は同ダイ上のコア間より遅くなってしまう。また同ダイおよび別ダイでコア同士の関係が同一ではないので、状況により処理能力に違いが発生する場合がある。この問題はWindowsXPまでのWindowsで顕著であった。Windows Server 2003やWindows Vistaではマルチダイ・マルチコアに正式対応している為、FSB間のキャッシュコヒーレント情報交換は最小限にとどめられている。[3]
-
プロセッサ・ナンバ 動作周波数 コア数 FSB 2次キャッシュ VT対応 TXT対応 ソケット TDP QX6850 3.00GHz (333x9) 2コアx2 1333MHz 4MB×2 ○ × LGA775 130W QX6800 2.93GHz (266x11) 2コアx2 1066MHz 4MB×2 ○ × LGA775 130W QX6700 2.66GHz (266x10) 2コアx2 1066MHz 4MB×2 ○ × LGA775 130W
- Yorkfield-XE(ヨークフィールド・XE)
- 第2世代であるPenrynファミリーで最初に発表された製品の一つ。2007年11月11日に発表された。この時点ではQX9650のみ。デュアルコアの2個ダイをKentsfield-XEと同じくMCM実装している。プロセッサーナンバーはQX9000番台で、QX6000シリーズの上位モデル。
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プロセッサ・ナンバ 動作周波数 コア数 FSB 2次キャッシュ VT対応 TXT対応 ソケット TDP QX9775 3.20GHz (400x8) 2コアx2 1600MHz 6MB×2 ○ × LGA771 150W QX9770 3.20GHz (400x8) 2コアx2 1600MHz 6MB×2 ○ × LGA775 136W QX9650 3.00GHz (333x9) 2コアx2 1333MHz 6MB×2 ○ × LGA775 130W
- ※QX9750についてはまだ販売が決定しているわけではない
- ※小売用のQX9000番台には、青色LEDのデコレーション付き120mmファンを使用したクーラーが付属する
[編集] Core 2 Quad (デスクトップ向け)
- Kentsfield(ケンツフィールド)
- 2007年1月9日に発表されたCore 2 Duoの上位製品。Power Classはクアッドコアを示すQが付くだけで、消費電力を表すアルファベットは付かない。
- 2008年2月AMDの新製品Phenomに対抗する為に、インテルは恒例とも言えるディスカウント攻勢にQ6600を起用した。市価は高クロックのデュアルコア製品よりも低めに設定され、あわせてIntel2 チップセットマザーボードに対するリベートを加える事でQ6600を2万円前後で入手できるようにした結果、クアッドコアブームが起こった。
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プロセッサ・ナンバ 動作周波数 コア数 FSB 2次キャッシュ VT対応 TXT対応 ソケット TDP Q6700 2.66GHz (266x10) 2コアx2 1066MHz 4MB×2 ○ × LGA775 95W Q6600 2.40GHz (266x9) 2コアx2 1066MHz 4MB×2 ○ × LGA775 105W / 95W(Stepping G-0以降)
- Yorkfield(ヨークフィールド)
- 45nmプロセスで製造される第二世代のCore 2 Quad。
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プロセッサ・ナンバ 動作周波数 コア数 FSB 2次キャッシュ VT対応 TXT対応 ソケット TDP Q9650 3.00GHz (333x9) 2コアx2 1333MHz 6MB×2 ○ × LGA775 95W Q9550 2.83GHz (333x8.5) 2コアx2 1333MHz 6MB×2 ○ × LGA775 95W Q9450 2.66GHz (333x8) 2コアx2 1333MHz 6MB×2 ○ × LGA775 95W Q9400 2.66GHz (333x8) 2コアx2 1333MHz 3MB×2 ○ × LGA775 95W Q9300 2.50GHz (333x7.5) 2コアx2 1333MHz 3MB×2 ○ × LGA775 95W
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- Q9300/Q9450/Q9550は 米国時間2008年3月24日 に発売された。
- Q9400/Q9650は2008年第3四半期に発売予定
[編集] Core 2 Duo (デスクトップ向け)
- Conroe(コンロー), Allendale(アレンデール)
- 第一世代のデスクトップパソコン向けCore 2 Duoのコードネーム。2次キャッシュが4MBのものをConroe、2次キャッシュが2MBのものをAllendaleとしている。ただ、E6400, E6300は物理的に4MBの2次キャッシュがあり、そのうち2MBが無効にされている。コアが同じであるため、資料に4MB同様Conroeと表記されているが、AllendaleはE4300などの2次キャッシュが2MBに削減されたコアのコードネームである。
- 消費電力や発熱で行き詰っていたPentium 4やPentium Dを置き換える製品。絶対性能でPentium Dを超え、かつ消費電力もより低くなっているため、消費電力あたりの性能は非常に高い。しかし動作温度の上限値であるTcaseがやや低下しており、性能をフルに発揮させるためにはそれなりに冷却に気を遣う必要がある。Pentium 4やPentium Dなどと同じくLGA775ソケットを採用するものの、その高度な省電力機能の代償としてマザーボード上のVRM部により細かな電源管理能力が必要とされるため、Pentium DやPentium 4向けに製造されている古いマザーボードでは全ての機能を利用する事はできない。
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プロセッサ・ナンバ 動作周波数 コア数 FSB 2次キャッシュ VT対応 TXT対応 ソケット TDP E6700 2.66GHz (266x10) 2コア 1066MHz 4MB ○ × LGA775 65W E6600 2.40GHz (266x9) 2コア 1066MHz 4MB ○ × LGA775 65W E6420 2.13GHz (266x8) 2コア 1066MHz 4MB ○ × LGA775 65W E6400 2.13GHz (266x8) 2コア 1066MHz 2MB ○ × LGA775 65W E6320 1.86GHz (266x7) 2コア 1066MHz 4MB ○ × LGA775 65W E6300 1.86GHz (266x7) 2コア 1066MHz 2MB ○ × LGA775 65W E4700 2.60GHz (200x13) 2コア 800MHz 2MB × × LGA775 65W E4600 2.40GHz (200x12) 2コア 800MHz 2MB × × LGA775 65W E4500 2.20GHz (200x11) 2コア 800MHz 2MB × × LGA775 65W E4400 2.00GHz (200x10) 2コア 800MHz 2MB × × LGA775 65W E4300 1.80GHz (200x9) 2コア 800MHz 2MB × × LGA775 65W
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- L2キャッシュ2MBのE6300/E6400については組込向けを除いて生産終了している。
- 2007年4月22日の価格改訂後のE6300/E6400についてはAllendaleコアを搭載しているとの情報もある。
- Conroe (コンロー)
- ConroeコアのFSBを1333MHzに引き上げたもの。新たにTrusted Execution Technology (TXT) がサポートされる。その他のスペックについては同じ。Intel 3 Seriesと一部のP965 Expressに対応している。
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プロセッサ・ナンバ 動作周波数 コア数 FSB 2次キャッシュ VT対応 TXT対応 ソケット TDP E6850 3.00GHz (333x9) 2コア 1333MHz 4MB ○ ○ LGA775 65W E6750 2.66GHz (333x8) 2コア 1333MHz 4MB ○ ○ LGA775 65W E6550 2.33GHz (333x7) 2コア 1333MHz 4MB ○ ○ LGA775 65W E6540 2.33GHz (333x7) 2コア 1333MHz 4MB ○ × LGA775 65W
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- E6540については組込、OEMメーカー向けで、一般ユーザーが入手できる機会は少ない。
- Wolfdale(ウルフデール)
- 45nmプロセスで製造される第二世代のCore 2 Duo。TDPはConroeと変わらず65Wであるが、2次キャッシュの増量(4MB→6MB)が行われている。対応マザーボードはConroe (FSB1333MHz)と同じ。初期の製品にはコアの温度計測を正常に行なえないものが含まれている。2008年4月下旬には E4000シリーズ の後継ぎの E7000シリーズ が発売された。
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プロセッサ・ナンバ 動作周波数 コア数 FSB 2次キャッシュ VT対応 TXT対応 ソケット TDP E8600 3.33GHz (333x10) 2コア 1333MHz 6MB ○ ○ LGA775 65W E8500 3.16GHz (333x9.5) 2コア 1333MHz 6MB ○ ○ LGA775 65W E8400 3.00GHz (333x9) 2コア 1333MHz 6MB ○ ○ LGA775 65W E8300 2.83GHz (333x8.5) 2コア 1333MHz 6MB ○ ○ LGA775 65W E8200 2.66GHz (333x8) 2コア 1333MHz 6MB ○ ○ LGA775 65W E8190 2.66GHz (333x8) 2コア 1333MHz 6MB × × LGA775 65W E7200 2.53GHz (266x9.5) 2コア 1066MHz 3MB × × LGA775 65W
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- E8190は組込、OEM向けである([4])ことから、一般ユーザーが入手する機会は少ない。
- E8300はE8200と置き換える形で2008年Q2に発売予定。
- E8600は2008年第3四半期に発売予定
[編集] モバイル向けラインナップ
[編集] Core 2 Extreme (モバイル向け)
2007年Q3以降、モバイル向けにもCore 2 Extremeがラインナップされる。モバイル向けとしては消費電力は高いが、さらにオーバークロックやNVIDIA SLIとの組み合わせを前提としている。
- Merom(メロン/メロム)
- 最初のモバイル向けCore 2 Extreme。
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プロセッサ・ナンバ 動作周波数 コア数 FSB 2次キャッシュ VT対応 TXT対応 ソケット TDP Turbo Mode (IDA) X7900 2.80 GHz (200x14) 2コア 800MHz 4MB ○ × Socket P 44W 3.0T GHz (200x15)? X7800 2.60 GHz 2コア 800MHz 4MB ○ 44W
- Penryn(ペンリャン/ペンリン)
- 45nmプロセスで製造されるモバイル向けのCore 2 Extreme。
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プロセッサ・ナンバ 動作周波数 コア数 FSB 2次キャッシュ VT対応 TXT対応 ソケット TDP Turbo Mode (IDA) QX9300 2.53 GHz 2コアx2 1066MHz 6MB×2 ○ 45W X9100 3.06 GHz 2コア 1066MHz 6MB ○ 44W X9000 2.80 GHz 2コア 800MHz 6MB ○ 44W
[編集] Core 2 Duo (モバイル向け)
- Merom(メロン/メロム)
- 2006年8月29日に発売されたモバイル向けCore 2 Duoの第一世代のコードネーム。Conroeより更に消費電力を引き下げるために厳密な電源管理を必要とするものの大きく分けて3つの機能を搭載しており、TDPを引き下げている。
- 前世代のモバイルプロセッサであるIntel Coreと同じSocket M(Socket 479M)を引き続き採用しており、BIOSがCPUに対応していれば、基本的にはそのまま載せ替えて動作させることが可能である。Centrinoブランドの第3世代にあたり、プラットフォームコードネームは「Napa64」「Napa Refresh」である。
- チップセット「Crestline(クレストライン)」、無線LAN「Kedron(ケドロン)」と共に第4世代プラットフォーム「Santa Rosa」を構成する、2007年に発売されたFSB800MHz版は新たにSocket Pを採用している。
- 消費電力が大きいPentium 4やPentium Dを置き換えることで大幅な省電力化に成功したデスクトップ向けと異なり、モバイル向けでは依然消費電力が前世代のCore Duoを上回っており、その低減が今後の課題である(モバイルよりさらに低消費電力が求められる製品はCore Soloがベースとなっている)。
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プロセッサ・ナンバ 動作周波数 コア数 FSB 2次キャッシュ VT対応 TXT対応 ソケット TDP Turbo Mode (IDA) T7800 2.60 GHz (200x13) 2コア 800MHz 4MB ○ × Socket P 35W 2.8T GHz (200x14) T7700 2.40 GHz (200x12) 2コア 800MHz 4MB ○ × Socket P 35W 2.6T GHz (200x13) T7600 2.33 GHz (166x14) 2コア 667MHz 4MB ○ × Socket M 34W N/A T7500 2.20 GHz (200x11) 2コア 800MHz 4MB ○ × Socket P 35W 2.4T GHz (200x12) T7400 2.16 GHz (166x13) 2コア 667MHz 4MB ○ × Socket M 34W N/A T7300 2 GHz (200x10) 2コア 800MHz 4MB ○ × Socket P 35W 2.2T GHz (200x11) T7250 2 GHz (200x10) 2コア 800MHz 2MB ○ × Socket P 35W 2.2T GHz (200x11) T7200 2 GHz (166x12) 2コア 667MHz 4MB ○ × Socket M 34W N/A T7100 1.80 GHz (200x9) 2コア 800MHz 2MB ○ × Socket P 35W 2.0T GHz (200x10) T5600 1.83 GHz (166x11) 2コア 667MHz 2MB ○ × Socket M 34W N/A T5500 (Stepping L2) 1.66 GHz (166x10) 2コア 667MHz 2MB ○ × Socket M 34W N/A T5500 (Stepping B2) 1.66 GHz (166x10) 2コア 667MHz 2MB × × Socket M 34W N/A T5470 1.60 GHz (200x8) 2コア 800MHz 2MB × × Socket P 35W N/A T5450 1.66 GHz (166x10) 2コア 667MHz 2MB × × Socket M 34W N/A T5300 1.73 GHz (133x13) 2コア 533MHz 2MB × × Socket M 34W N/A T5250 1.50 GHz (166x9) 2コア 667MHz 2MB × × Socket M 34W N/A T5200 1.60 GHz (133x12) 2コア 533MHz 2MB × × Socket M 34W N/A L7500 1.60 GHz (200x8) 2コア 800MHz 4MB ○ × Socket P 17W 1.8T GHz (200x9) L7400 1.50 GHz (166x9) 2コア 667MHz 4MB ○ × Socket M 17W N/A L7300 1.40 GHz (200x7) 2コア 800MHz 4MB ○ × Socket P 17W 1.6T GHz (200x8) L7200 1.33 GHz (166x8) 2コア 667MHz 4MB ○ × Socket M 17W N/A SL7100 1.20 GHz 2コア 800MHz 4MB - U7700 1.33 GHz (133x10) 2コア 533MHz 2MB ○ × Socket M 11W N/A U7600 1.20 GHz (133x9) 2コア 533MHz 2MB ○ × Socket M 11W N/A U7500 1.06 GHz (133x8) 2コア 533MHz 2MB ○ × Socket M 11W N/A
- Penryn(ペンリャン/ペンリン)
- 45nmプロセスで製造される第二世代のモバイル向けCore 2 Duo。Montevina及びSanta Rosa Refreshプラットフォームを構成する。
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プロセッサ・ナンバ 動作周波数 コア数 FSB 2次キャッシュ VT対応 TXT対応 ソケット TDP Turbo Mode (IDA) T9600 2.80 GHz 2コア 1066MHz 6MB ○ 35W T9500 2.60 GHz 2コア 800MHz 6MB ○ × 35W T9400 2.53 GHz 2コア 1066MHz 6MB ○ 35W T9300 2.50 GHz 2コア 800MHz 6MB ○ × 35W T8300 2.40 GHz 2コア 800MHz 3MB ○ × 35W T8100 2.10 GHz 2コア 800MHz 3MB ○ × 35W P9500 2.53 GHz 2コア 1066MHz 6MB ○ 25W P8600 2.40 GHz 2コア 1066MHz 3MB ○ 25W P8400 2.26 GHz 2コア 1066MHz 3MB ○ 25W SP9400 2.40 GHz 2コア 1066MHz 6MB ○ 25W SP9300 2.26 GHz 2コア 1066MHz 6MB ○ 25W SL9400 1.86 GHz 2コア 1066MHz 6MB ○ 17W SL9300 1.60 GHz 2コア 1066MHz 6MB ○ 17W SU9400 1.40 GHz 2コア 800MHz 3MB ○ 10W SU9300 1.20 GHz 2コア 800MHz 3MB ○ 10W
[編集] Core 2 Solo (モバイル向け)
- Merom(メロン/メロム)
シングルコアのcore 2。Core 2 Soloは発売されないと言われていたが、それはデスクトップ向け製品に対する発言だったと言える。
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プロセッサ・ナンバ 動作周波数 コア数 FSB 2次キャッシュ VT対応 TXT対応 ソケット TDP U2200 1.20 GHz (133x9) 1コア 533MHz 1MB ○ × Socket M 5.5W U2100 1.06 GHz (133x8) 1コア 533MHz 1MB ○ × Socket M 5.5W
[編集] 将来
[編集] Nehalem (ネハーレン/ネハーレム)
Core 2の後継マイクロアーキテクチャとして、Merom / Penrynを開発したイスラエルの開発チームとは別にPentium IIIやPentium 4を開発した米国オレゴン州のヒルズボロの開発チームが開発しているNehalemの最初の製品の発表を2008年後半に予定している。Nehalemは、NetBurstマイクロアーキテクチャを拡張したものだと米Intelのサイトに掲載されていた(短期間で削除された)。しかしその後、NetBurstマイクロアーキテクチャは4GHzのPentium 4が発売を予告していたにも拘らず打ち切られるなど、事実上の失敗に終わり、その後継であるNehalemマイクロアーキテクチャもその方向性は大きく変えられていると言われていた。
その後の発表によるとNehalemは1個のプロセッサ上にコアの数が2から8までを予定しており、ハイパースレッディング・テクノロジーに類似したSMT機能を持ち、コアあたり2つのスレッドの処理を行うとされている。マルチプロセッサ構成の自由度も向上し、プロセッサ単位、あるいはシステム単位でコア数を増やすに従って順当に性能が向上するような構造を備えている。通常では最大8個までのプロセッサ接続を想定している。これにより、合計で最大で128スレッドの同時処理が可能となっている。
CPUのコア自体は、マイクロアーキテクチャの刷新であるにもかかわらずCore 2のPenrynコアを流用し、そこにSMT機能の追加など改良を加えられている。キャッシュシステムにも改良が加えられ、特にCore世代で大容量化が進む一方で、レイテンシの増加が問題になってきていたL2キャッシュを改善する目的で、以前の二段階から三段階へと増えた。L1キャッシュは命令とデータそれぞれ32KBの合計64KB。L2キャッシュは各コア256KBの独立した高速なもの。これまでのL2に相当するものは、すべてのコアで共有される大容量のL3キャッシュとなり、容量はコア数などによって異なる。
また、競合他社であるAMDのAthlon 64以降のプロセッサと同様にメインメモリのコントローラのCPUへの統合も行われ、DDR3メモリのコントローラを3もしくは2チャンネル実装する。大別して、Xeon向けのものから派生したハイエンド向けのBloomfield、一般向けのLynfield・Havendaleの2種類あり、前者はCPUバスにそれまでのFSBに代わってQuick Path Interconnect(QPI)が採用されている。後者もそれまでのノースブリッジ機能を統合されており、サウスブリッジにあたるPCH(Platform Controller Hub)とはDMIで接続される。HavendaleではGPUも統合される。チップセットやマザーボードなどの互換性は以前のものとは全く無く、上位製品と下位製品の間でも無い。
- Bloomfield(ブルームフィールド)
- シングルダイでクアッドコアプロセッサ。ハイエンド製品だが、PenrynまでのCore2Extremeの価格帯だけでなく、発売時でCore 2 Quad Q9450の発売時の価格帯(40000円程度)にも投入され、それほど手に入れにくいものではない。8MBのL2キャッシュ。LGA1366パッケージ。TDPは130Wで3.2 2.93 2.66GHzの三製品が登場する。トリプルチャネルのDDR3メモリコントローラを実装し、3.2GHzはDDR3-1333まで、他はDDR3-1066までに対応。2008年第4四半期発売予定。
- Lynfield(リンフィールド)
- シングルダイのクアッドコアプロセッサ。メインストリーム製品。LGA1160パッケージで、デュアルチャネルのDDR3メモリコントローラとPCI Express 2.0 x16を実装。2009年第3四半期発売予定。
- Havendale(ヘイブンデール)
- シングルダイのデュアルコアプロセッサ。メインストリーム製品。GPUを内蔵する。CPUとGPUとの内部接続にはQPIが使われる。LGA1160パッケージで、PCI Express 2.0 x16を実装。デュアルチャネルのDDR3メモリコントローラを実装。95WのTDP枠で2009年第3四半期発売予定。
- Clarksfield(クラークスフィールド)
- Lynfieldのモバイル版。シングルダイのクアッドコアプロセッサ。989接点のLGAパッケージで、2チャンネルのDDR3メモリコントローラとPCI Express 2.0 x16を実装。TDP枠は55W及び45W。発売時期未定。
- Auburndale(オーバーンデール)
- Havendaleのモバイル版。シングルダイのデュアルコアプロセッサ。GPUを内蔵する。989接点のLGAパッケージで、PCI Express 2.0 x16を実装。2チャンネルのDDR3メモリコントローラを実装。TDP枠は45W及び35W。発売時期未定。
[編集] Westmere (ウェストメア)
Nehalemを32nmにシュリンクした上で小改良を行ったマイクロアーキテクチャ。1CPU当たり6コアになる。2010年前半に発売予定。
[編集] Sandy Bridge(サンディ・ブリッジ)
2010年には再びイスラエル・ハイファの開発チームによって、回路幅32nmのSandy Bridgeが開発中と発表されている。以前Gesher(ゲッシャ。ヘブライ語で橋の意味)、さらに以前ではGilo(ギロ)と呼ばれていた。
[編集] 外部リンク
- Intel Core 2 Duo(英語)
- Intel Core 2 (英語)
- Intel Core 2 プレスリリース(英語)
- インテル Core 2 Sequence(英語)
- インテル Core 2 Mobile Specification update(英語)
[編集] 関連項目
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生産終了 | 4004, 4040, 8008, 8080, 8085, 8086, 8088, iAPX 432, 80186, 80188, 80286, 80386, i486, i860, i960, Pentium, MMX Pentium,Pentium Pro, Pentium II, Pentium III, Pentium 4, Pentium D, Pentium M, Pentium Extreme Edition, Itanium, StrongARM, XScale |
生産中 | Celeron, Pentium Dual-Core, Xeon, Core, Core 2, A100, Atom, Itanium 2 |
開発中 | Nehalem, Sandy Bridge, Larrabee, |
x86プロセッサ以外は斜体 |