StrongARM
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StrongARM(ストロングアーム)は、ARM社のARMアーキテクチャに基づいてDECが開発したマイクロプロセッサである。しかし、後にインテルへ売却され、最終的にはXScaleに取って代わられた。
[編集] 歴史
StrongARMは ARMとDECの共同プロジェクトとして、既存のARMシリーズよりも高速なCPU(ただし完全互換ではない)を開発することから始まった。StrongARMは低消費電力の組み込み市場の中でも従来のARMシリーズでは性能が足りなかったハイエンド市場を目指して設計された。ターゲットはPDAやセットトップボックスである。
プロジェクトは1995年に始まり、すぐに最初の製品SA-100が登場した。これはアップル・ニュートンの後期に発表されたMessagePad2000で採用(実際にはSA-110を使用)され、他にもエイコーン社のRisc PCなど多数の製品で使われた。
訴訟問題の結果として、DECの半導体部門は後にインテルに売却された。インテルは不振だった同社のRISCプロセッサ(i860, i960)の代わりにStrongARMを使った。その後、その設計はインテルのXScaleに取って代わられて今日に至っている。
[編集] 詳細
StrongARMシリーズは既存のARMプロセッサとは若干命令セットが異なる。206MHzで動作するものは最大235MIPS(1.14MIPS/MHz)ものパフォーマンスを発揮する。命令用とデータ用にキャッシュメモリを分離したために、ソフトウェア互換性には自己書き換えコードが実行できないという制限があった(といっても実のところめったにない)。これらの特徴は、後にARMv4アーキテクチャを採用したチップにもいくつか取り入れられた(例えば、ARM/TIのARM925など)。また、StrongARMは「キャッシュ無効命令」なるものを持ち、CPUにメインメモリからデータをリロードさせることができた。この命令を使う状況は普通のソフトウェアではめったにない。ただ、StrongARMだけがこのような犠牲を払った唯一のプロセッサというわけでもない。例えば、モトローラの68020は初期の68000と68010用に開発されたソフトウェアで、似たような互換問題を引き起こした。
StrongARMは遅い(それゆえに単純で安価な)メモリと使うことを念頭に設計されている。StrongARMは仮想アドレスで動作する32ウェイのセットアソシアティブキャッシュを持つ。大きいウェイ数により競合する設計に比べてより高いヒット率を引き出し、仮想アドレスの使用によりメモリに対してキャッシュを経由するアクセスとキャッシュを経由しないアクセスの両方を同時に行うことができる。またライトバッファによりメインメモリの書き込みはCPUをストールさせることなしに行え、効率をより増す設計を行っている。
SA-100 が最初のマイクロプロセッサであり、後に SA-110 と SA-1110 が登場した。
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生産終了 | 4004, 4040, 8008, 8080, 8085, 8086, 8088, iAPX 432, 80186, 80188, 80286, 80386, i486, i860, i960, Pentium, MMX Pentium,Pentium Pro, Pentium II, Pentium III, Pentium 4, Pentium D, Pentium M, Pentium Extreme Edition, Itanium, StrongARM, XScale |
生産中 | Celeron, Pentium Dual-Core, Xeon, Core, Core 2, A100, Atom, Itanium 2 |
開発中 | Nehalem, Sandy Bridge, Larrabee, |
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