L2キャッシュ
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L2キャッシュ(Level2 Cache)とはキャッシュメモリの一種。CPUが動作する時に、CPUの速度とメモリーの速度のギャップを埋めるために使われる小容量の高速メモリのこと。2次キャッシュ、あるいはセカンダリキャッシュなどとも呼ばれる。
CPUのキャッシュとしては、L2キャッシュよりもさらに高速なL1キャッシュが存在する。L1キャッシュはCPUのアーキテクチャと密接に連動して動くため、高速だが容量を増やすことが難しい。そのためメインメモリよりは高速で、L1キャッシュよりも容量を増やすことが容易なL2キャッシュがCPUの性能向上の手段として有効である。
昨今のGHzオーダーで駆動されるCPUではメインメモリの速度に比べてCPUの速度が圧倒的に速すぎるため、CPUがメインメモリへアクセスしに行くと、多大な時間(概して数百クロック)を待たされることになり、これだといくらCPU周波数を速くしてもメインメモリの速度でプログラムの動作速度が決まってしまい、CPUリソースを有効に活用できない。このボトルネックを無くすのが近年の高性能CPUのもっとも大きな課題といわれ、その対策としてAthlon 64シリーズに代表されるメモリコントローラー内蔵、POWERやPentium 4で採用された同時マルチスレッディング (Simultaneous Multi Threading, SMT) など、様々な技術が投入されている。キャッシュの導入によるメモリの階層構造はそれらのうちでも最も重要で一般的なものである。
なお、昔のCPUではCPUと別のSRAMをキャッシュに使っていたが、現在ではCPUのシリコンダイの上に演算回路と一緒に形成してしまう手法が一般的である。