ICO (ゲーム)
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ジャンル | アクションアドベンチャーゲーム |
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対応機種 | プレイステーション2 |
開発元 | ソニー・コンピュータエンタテインメント |
発売元 | ソニー・コンピュータエンタテインメント |
人数 | 1人 |
発売日 | 2001年9月26日(米国) 2001年12月6日(日本) 2002年3月20日(欧州) 2002年1月13日(アジア地域) 2002年2月22日(韓国) |
売上本数 | 米国 約25万本 日本 約16万本 欧州 約20万本 アジア地域 約2万本 韓国 約2万本 |
『ICO』(イコ)は、2001年12月6日に ソニー・コンピュータエンタテインメントより発売されたプレイステーション2用ソフト。後にPlayStation 2 the Bestとして廉価版(撲殺表現により12歳以上対象)が発売された。2008年2月に生産が終了し、現在は入手困難(後述)。
角が生えたために生贄として謎の古城に閉じ込められた少年イコが、そこで出会った言葉の通じない少女ヨルダの手を取り共に古城から脱出するアクションアドベンチャーゲーム。
目次 |
[編集] 概要
近年、開発会社の豊潤な資金力と技術力によって、ゲームが映画のようなスペクタクルとなりつつある中で、この作品はシンプルな作りと、パズル的要素を含んだ高いゲーム性という点で異彩を放っている。一般のアクションアドベンチャーゲームに定着していたパラメーター表示やアイテム収集といった要素を極力排しており(企画段階には存在した)、メニュー画面でもオプションのみが表示される。シンプルな画面に加え、光の表現や物体の質感を主としたグラフィックの作り込みの高さや、意図的に表示フレーム数を下げることなどによって、独特の世界を造り上げている。BGMの使用法にも特徴があり、普段は曲を流さずに城の静寂を表すとともに、影の出現やイベントシーンを一層印象深いものにしている。また、ゲーム中の台詞や文字はすべて架空の言語であり、これも独特の世界観を生み出している。
のちに、PS2ゲーム「ワンダと巨像」が発売され、そのエンディングはICOとの繋がりを想像できる作りになっている。
キャッチコピー
この人の手を離さない。僕の魂ごと、離してしまう気がするから。
[編集] キャラクター
- イコ(Ico)(声優:進藤一宏)
- 物語の主人公。頭に一対の角を持つ少年。
- 「角の生えた子供は十三歳になると霧の城へ生贄に捧げられる」という掟に従い、霧の城へ生贄として連れて行かれ、生贄の間のカプセルに閉じ込められる。ところが、部屋に起こった振動により偶然にもカプセルから飛び出てしまう。自由の身となって城の中を彷徨ううちに、檻に幽閉されていた少女・ヨルダを救出、彼女とともに城からの脱出を試みることになる。
- なお、本来は名前の無いキャラクターだったが、海外で「タイトル=プレイヤーキャラクターの名前」と解釈され報道されたため「イコ」という名前が定着した。後ろから突き飛ばされたような特徴的なジャンプをする。
- ヨルダ(Yorda)(声優:高橋理恵子)
- 霧の城の中で空中に吊り下げられた檻に閉じ込められていた、イコとは違う言葉を話す少女。イコによって檻から助け出され、彼と共に城からの脱出を試みることになる。
- 真っ白な肌に亜麻色の短い髪と目を持ち、黒い模様が入った白い膝丈のワンピースのような服を着ている。その体はわずかに発光しているように見え、城のあちこちで影の魔物に襲われたり、城の至る所に設置されている偶像の扉を開く力を持っていたりと、謎の多い少女である。
- ちなみに、イコよりも頭一つ分背が高いため、少し年上と思われる。
- クイーン(Queen)(声優:渡辺美佐)
- 霧の城に住まう女王。緑色の縁取りがある影のような黒いローブ状の衣装をまとっている。
- イコの言葉もヨルダの言葉も話すことができ、ヨルダのことを「娘」と呼んでいる。
- 影
- 黒い煙のような体を持つ、正体不明の存在。基本的に人の形をしているが、壁を這うものや空を飛ぶものもいる。
- 城の至る所に数多く出現し、自らが出てきた穴の中へヨルダを引きずり込もうとする。
- 神官
- 鎧の騎士2名と共にオープニングに登場する。(この人物が「神官」とされているのは小説版のみである。)
- イコを生贄に奉げることを「村のため」だと言い、多少の後ろめたさを感じているようである。
[編集] 体感時間とエンディング演出
この作品の最大の特徴はサブイベントやわき道にそれる要素をほぼ排除していることである。これは裏をかえせば「プレイヤーは城を脱出することにしか目的がない」ということである。そのため、実際のプレイ時間よりもプレイヤーの感じている体感時間は圧倒的に短いことになる。この体感時間の短さはエンディングムービーの演出と掛け合わせたかなり計算されたものである。
[編集] 作品解説
日本では、年末商戦のさなかに発売されたためか一部のゲームファンが注目するにとどまり、その魅力が口コミで広がっていったもののセールスにはそれほど反映されなかった。
一方で、海外では高い評価を受けることとなり、アメリカにおいてゲームのアカデミー賞とみなされている AIAS (The Academy of Interactive Arts and Sciences) の 5th AIAS Achievement Awards において最多ノミネートとなる。
さらに、国際ゲーム制作者団体 (The International Game Developers Association) の Geme Developpers Choice Awards においても以下の6部門にノミネートされ、こちらも最多ノミネートとなる。
- Game of the Year(ゲームオブザイヤー)
- Original Game Character of the Year(オリジナルゲームキャラクターオブザイヤー)
- Excellence in Game Design(ゲームデザイン賞)
- Excellence in Level Design(ステージデザイン賞)
- Excellence in Visual Arts(ビジュアルアート賞)
- Game Innovation Spotlights(イノベーティブゲーム賞)
[編集] GPL違反と生産終了・廃盤
2007年11月29日、ICOのソースコードの中にGNU GPL(LGPLではない)の下でライセンスされている「libarc」のライブラリが含まれていることが、有志のユーザーにより発見された。これが事実ならば、GPLのルールにより、このライブラリを使用したSCEはICOのソースコードを一般に公開しなければならなかったが、SCEはこれを怠っていたことになる。2007年12月、SCEは「GPL違反疑惑そのものを認識していないため現在確認中」とコメントを発表したが、2008年2月にはICOの生産終了、廃盤を決定。現在は在庫限りとなり、新品の入手は極めて困難である。世界的評価を得たこのビデオゲームは、7年間に及ぶその歴史に静かに幕を降ろしたのだった。[1]
[編集] スタッフ
[編集] 主題歌
- 『ICO -You were there-』
作曲・編曲:大島ミチル/作詞・対訳:Lynne Hobday/歌:Steven Geraghty
[編集] 関連商品
- 宮部みゆきによる小説版『ICO 霧の城』が「週刊現代」紙上で連載され、2004年6月に単行本が出版された (ISBN 4-06-212441-6)。当然ながら攻略本的な要素は無く、小説独自の展開・設定がなされている。
- 公式ガイドブック - 税込1470円でソフトバンク社より発売。(ISBN 4-7973-1882-1)。
- サウンドトラック「ICO ~霧の中の旋律~」 - 全16曲、税込1470円でSMEビジュアルワークスより発売。SVWC-7117
[編集] 関連項目
- ワンダと巨像 - ICOチームが製作
[編集] 脚注
- ^ プレイステーション2ゲーム『ICO』にGPL違反発覚 engadget.com 2007年11月29日
[編集] 外部リンク
- ICO - 日本版公式サイト
- ICO - ヨーロッパ版公式サイト
- Team ICO Gamers - ICO & ワンダと巨像 ウェブサイト