HOゲージ
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HOゲージは、鉄道模型の縮尺と軌間を示す呼称のひとつ。国際的には縮尺1/87、軌間16.5mmのものを指す。日本ではHOゲージと呼ぶことが多いが、むしろ、米国ではHO(エイチオー)、欧州ではH0(エイチゼロ)と呼ばれることが多い。ハーフOゲージの略である。 日本で鉄道模型といえばNゲージが製品および愛好家の数が多く主流であるが、欧米ではHOゲージが製品および愛好家の数が最も多いゲージである。
[編集] 概要
そもそも欧米を発祥とする呼称であるが、日本の場合、正規のHO部品は特殊となり、当時は特殊な線路や模型部品が高価となるため、輸出用のHOスケールと共通の線路・車輪部品を用いることとし、実物の鉄道車両の車体断面が欧米のそれと比較して一回り小さい為、軌間と車体サイズのバランスを取り、車体は1/80と少し大きめに製作することとなった。また、当時は小型モータが普及しておらず、1/87の小型車両の製作が困難であったこともこの理由として考えられ、古典蒸気機関車など一部の動力車は1/80より大きなサイズで製作されたものも存在する。
このような方法が考案されたのは戦前から戦時中にかけてであり、同一の線路で日本型のみならず世界各国の車輌を走らせて楽しむ為に考えられたものであるが、のち第二次世界大戦後に米国向け製品の線路や部品を流用することで日本国内での普及に便宜を図ることが出来たという副次的な効果ももたらした(占領下の日本では米国向けに精密工芸品としての鉄道模型を輸出していた)。
一方、標準軌であるが日本よりも鉄道車両の車体断面の小さい英国では、縮尺1/76、軌間16.5mmのOOゲージが主流となった。
このように同じ16.5mm軌間の線路を用いていても、縮尺と呼称の異なる2種類のゲージが存在し、かつ日本型車輌の1/80はOO=1/76、HO=1/87のどちらでもない。そこで1/76から1/87の縮尺で、16.5mm軌間の線路を使用するという観点で括ったもの(すなわち英国のOOゲージ、欧米のHOゲージ、日本の1/80・16.5mmゲージを含む)を16番ゲージと呼ぶべきであるという提言が、雑誌『鉄道模型趣味』の主筆であった山崎喜陽によってなされたが、一般的には1/76~1/87で16.5mm軌間であればHOゲージと呼ばれることが多い。結果、日本の縮尺表記はHOゲージ表記と16番表記が入り乱れている。この1/80サイズに至る過程で、山崎喜陽は湯山一郎が1938年に提唱した1/45、32mm軌間の零番ゲージへの賛同者が多いことに興味を持っている。この二人はたびたび会って日本における「国際ゲージ論」について語り合っている。 第二次世界大戦以前の国粋主義的1/30、35mm軌間のような失敗を繰り返したくないとの反省を込めて1/80を定めたという。
英国の1/76のOOゲージから日本型1/80、本来のHOスケールの1/87までを漠然と「HO」と呼ぶようになってしまったのが現状であるが、厳密なスケール論からすると、これは誤りであるとする意見も多い。
縮尺1/80の場合、16.5mm軌間では日本の国鉄等の用いる狭軌1067mm軌間を忠実に再現していない為、1/80・16.5mmゲージの部品を流用し、軌間を13mmにした13mmゲージが1960年代初期にアマチュアの作品として登場し、部品も一部発売された。
しかし、そもそも欧米のHO(H0)スケールと同一の16.5mmの線路上を走らせる為に1/80という縮尺を取ったのであり、16.5mmの線路を用いないのであれば縮尺を欧米のHO(H0)スケールと同一の1/87にするべきではないのか?とする意見が1970年代初期に『鉄道模型趣味』誌等でみられるようになった。狭軌線である日本の鉄道を忠実に1/87に縮尺し、12.0mm幅の線路を使用するHOn3-1/2(後にHOj、HOs、H0m等の呼称もされるようになる)の可能性が示唆され、一部のファンやメーカーで研究が開始されるが、実際に製品として登場するのは1980年代初頭である。
これは別に項目を設けることで混乱を避けることとして、本項目では一般的に普及しているHOゲージの記述に絞る事とする。
[編集] 歴史
- 1947年8月30日 - 株式会社カツミ創立
- 1949年 - 天賞堂が製造販売を開始
- 1970年 - 大阪万博のタイムカプセルにカツミ製0系と同社製103系
[編集] 主なメーカー
- 日本
- ドイツ
- オーストリア