鬼貫警部
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鬼貫警部 (おにつら けいぶ) は、推理作家・鮎川哲也の長・短編諸作品で活躍する架空の警察官である。名前は作品中では明かされておらず不明。所属は警視庁刑事部捜査一課で、主に丹那(たんな)刑事とコンビを組む。
また、1993年から、日本テレビ系の『火曜サスペンス劇場』内にて、彼の事件簿を原作とした「刑事 鬼貫八郎」というシリーズが放送されている(同シリーズは「火サス」枠の終了に合せて2005年で終了した)。こちらは鬼貫に「八郎」という名前がつけられているなど様々な設定変更がある(詳細後述)。
目次 |
[編集] 人物像
ここでは原作での鬼貫警部の人物像を紹介する。
- 初登場は鮎川哲也の処女長編でもある「ペトロフ事件」で、この作品は戦前の満州国および南満州鉄道を舞台としており、鬼貫は、大連警察署に出向していた。この作品での年齢は35歳。なぜこの年齢まで独身なのかもわずかに語られている。この時点ですでに警部だが、山前譲による光文社文庫版の解説では警部補時代を描いた短編が2つ発表されている。
- 次に彼が登場する長編は「黒いトランク」である。この作品以降は戦後の設定となっており、鬼貫は警視庁刑事部に戻っている。また、この「黒いトランク」にて鬼貫が何故、大連に出向していたかが明かされている。
- 警察官らしくクロフツ流の「足」による地道な捜査を基本方針とするが、持前の想像力と演繹的推理能力によって捜査に新局面をもたらすことも少なくない。多くのアリバイ工作が鬼貫の手により破られ、犯人に捕縄の恥辱を与えることとなった。また、音楽やロシア語の知識が豊富であり、時として捜査にも活かされている。
- 名探偵星影龍三・(通称)三番館のバーテンと並ぶ鮎川作品のシリーズ探偵として後進の推理作品の中でも度々言及され、場合によっては作中に登場することもある。
[編集] 主な登場作品
括弧内は発表年
- ペトロフ事件(1950年)
- 緋紋谷事件〈後に「碑文谷事件」と改題〉(1955年)
- 黒いトランク(1956年)
- 黒い白鳥(1959年)
- 憎悪の化石(1959年
- 人それを情死と呼ぶ(1961年)
- 砂の城(1963年)
- 偽りの墳墓(1963年)
- 死のある風景(1965年)
- 宛先不明(1965年)
- 準急“ながら”(1966年)
- 積木の塔(1966年)
- 鍵孔のない扉(1969年)
- 風の証言(1971年)
- 戊神はなにを見たか(1976年)
- 沈黙の函(1978年)
- 王を探せ(1979年)
- 死びとの座(1982年)
[編集] 刑事 鬼貫八郎
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[編集] 特色
1993年~2005年まで全18作が放映された。このドラマ作品では、原作と多くの違いがある。
- 鬼貫に「八郎」という名前がある。
- 鬼貫の所属が警視庁刑事部ではなく、東中野警察署刑事課である。
- 鬼貫が糖尿病を持病としている。
- 鬼貫に家族(妻・娘)がいる。 ※原作では「ある理由」から、独身である。
[編集] キャスト
- 鬼貫八郎・・・大地康雄
- 碓氷道夫・・・羽場裕一(9~)
- 丹那孫六・・・川野太郎(1~3)
- 清水幣吉・・・宍戸開(4~6)
- 松村刑事・・・米山善吉(7~8)
- 島田刑事・・・十貫寺梅軒(6~18)
- 田代刑事・・・森本浩(10~18)
- 黒川刑事課長・・・天田俊明
- 鬼貫真奈美(鬼貫の娘)・・・間下このみ(1~9)→安田芽衣子(10~16)→須藤温子
- 鬼貫良子(鬼貫の妻)・・・左時枝
[編集] スタッフ
[編集] サブタイトル
話数 | 放送日 | サブタイトル | ゲスト出演者 |
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1 | 1993年3月9日 | 死びとの座 | 高岡健二、香坂みゆき、椎谷建治、及川以造、金子研三、越村公一、白井晃 |
2 | 1993年11月30日 | 偽装心中 | 水島かおり、峰岸徹、茂木和範、長澤ゆかり、村田正雄 |
3 | 1994年7月26日 | 完全犯罪 | 長谷川初範、秋山菜津子、久我美智子、阿知波悟美、荒井紀人、坂西良太、吉満涼太 |
4 | 1994年11月8日 | ゆすり | 高畑淳子、一色彩子、篠塚勝、生瀬勝久、北島道太 |
5 | 1995年9月12日 | 嫉み | 原田大二郎、藤井びん、沢村一間、松本南美、小林操 |
6 | 1996年8月13日 | 十六年目の殺意 | 京本政樹、高畑淳子、金久美子、酒井敏也、水木薫、藤井びん、沢村一間、越村公一、菅原大吉、山路和弘 |
7 | 1997年12月2日 | 憎悪の化石 | いしのようこ、中原丈雄、寺島進、中島陽典、奈良坂篤、でんでん、なべやかん、清水章吾、山崎一、草見潤平 |
8 | 1998年9月22日 | 青の殺意 | 国広富之、金久美子、西山水木、飯島大介、山下容莉枝、伊藤洋三郎、石井洋祐、篠倉伸子、鈴木一功 |
9 | 1999年4月27日 | 沈黙の函 | 小松政夫、藤井びん、阿部サダヲ、竹井みどり、石井光三、ひがし由貴、久保田篤、高橋克実 |
10 | 1999年10月12日 | 風の証言 | 大島さと子、中原丈雄、深浦加奈子、根岸季衣、小宮孝泰 |
11 | 2000年4月4日 | 積木の塔 | 床嶋佳子、永島敏行、大竹一重、野口雅弘、斎藤晴彦 |
12 | 2001年4月3日 | まだらの犬 | 前田吟、草薙良一、涼風真世、石井苗子、山上賢治 |
13 | 2001年8月28日 | 誰の屍体か | 藤真利子、渡辺梓、金田明夫、吉見一豊、水木薫、平井真軌、永野典勝、池内万作 |
14 | 2002年7月23日 | 表と裏 | 渡辺いっけい、石丸謙二郎、永島暎子、掛田誠、平栗あつみ、住吉正博、河野洋一郎、大城英司 |
15 | 2003年6月17日 | 愛の軌跡 | 平田満、川上麻衣子、河原崎建三、あめくみちこ、天宮良 |
16 | 2004年3月16日 | 死のある風景 | 川島なお美、益岡徹、渡辺典子、半海一晃、勝部演之、藤井びん |
17 | 2004年11月30日 | 炎の記憶 | 竜雷太、山口果林、野村祐人、山本陽一、松永玲子、西川忠志 |
18 | 2005年9月20日 | 真夜中の乗客 | 中田喜子、中島ひろ子、白石加代子、北原佐和子、小倉一郎、楊原京子 |