飛島 (山形県)
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飛島(とびしま)は、山形県北部の、酒田市の北西方向に39kmの日本海に浮かぶ島。全島が山形県酒田市に属し、山形県の北端に当たる。山形県では唯一の離島である。
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[編集] 地理
- 面積 - 2.7km²
- 地勢
- 周囲長 - 10.2km
- 山 - なし
- 人口 - 約300人
島の東側の「勝浦」「中村」、北側の「法木」の計3ヶ所の集落によって構成されている。
新潟県の粟島・佐渡島とは一直線に結ばれた海の道であり、古来より交流があった。
山形県に属しているが距離的には秋田県のほうが近い。
[編集] 歴史
- 島の成立過程については諸説あるが、鳥海山の山頂が噴火によって吹き飛んで飛島になったという説があり、飛島の名前もそれに由来している。島内に祀られた小物忌神社は、鳥海山の大物忌神社と対をなしている。
- 島の洞窟から、縄文時代の頃と推定される人骨や土器など、人が住んでいた形跡が見つかっている。
- 15世紀に、これまでの海賊の根拠地から羽後の豪族仁賀保氏の所領となり、戦国時代に仁賀保氏が最上義光に滅ぼされると、飛島も最上氏の所領となった。
- 江戸時代には、酒田港に出入りする北前船の潮待ち港や、水や食料の補給港として使われていた。庄内藩の所領であり、加茂港から島役人が派遣されていた。
- 幕末になると、ロシア船やイギリス船などの外国船がたびたび近辺を航行するようになり、庄内藩の沿岸警備の最前線となった。
- 1933年に、東北大学八木秀次博士らによって開発された八木・宇田アンテナを使った、初の公衆無線電話が、飛島~酒田間に開通。島内に「無線通信発祥の地」碑が立っている。
- 1950年に飛島村が酒田市に編入。
[編集] 気候
対馬海流のただ中にあり、年平均気温は約12℃。山形県の最北端でありながら、山形県でもっとも温暖。海底には珊瑚もある。夏には渇水に悩まされ、冬は荒天により絶海の孤島となる。トビシマカンゾウなど独自の草花が植生し、野鳥の種類は約270種。ウミネコの繁殖地となっている。漁業が盛んで、釣り客も多い。
[編集] 交通
300人が乗れるニューとびしまにより山形県酒田市の酒田港と結ばれている。所要時間は約1時間30分である。季節により1~3便。貨客船だがマイカーを運ぶことは出来ない。ニューとびしまのドック入り期間中は、羽幌沿海フェリー所有の高速旅客船「さんらいなぁ」と、粟島浦村漁協所有の貨物船「かもめ丸」をそれぞれ傭船し、運航を維持する。
飛島(勝浦)港には、旅客ターミナルとビジターセンターを兼ねた三角型の「飛島マリンプラザ」がある。1階が乗船券売場と待合室、2階が売店及び軽食・喫茶コーナー、3階は島についての展示スペース、4階が展望室となっている。
他には中村集落の裏手に公共用ヘリポートがあり、急患搬送が行われている。
冬になると海が荒れるため、ニューとびしまが長いときで一週間以上欠航して絶海の孤島になり、海上保安庁の巡視船が決死の渡海をして物資を届けることがある。
島は歩いても移動できる程度の大きさだが、勝浦集落に自転車を貸してくれる食堂がある。
島内に無線方位信号所があり、付近を航行する船舶に、安全航行のための位置信号を発信している。
[編集] 生活
- 行政機関 - 勝浦集落に酒田市役所飛島連絡所、中村集落に公民館と体育館を兼ねたとびしま総合センターがある。他に酒田市営飛島葬祭場あり。
- 警察 - 勝浦集落に酒田警察署飛島駐在所がある。
- 学校 - 中村集落に飛島小中学校がある。(児童減少により休校中)
- 水道 - 島内に簡易水道を引いている。貯水池の整備と浄水場の数度の増槽により、渇水が当たり前だった時期に比べると供給量には余裕がある。高度処理設備を導入したため、水質も向上している。
- 電気 - 勝浦集落に東北電力飛島火力発電所があり、ここで島の電気を賄っている。重油を燃料とし、650kwの発電能力がある。
- 医療機関 - 酒田市立酒田病院飛島診療所があり、急患はヘリコプターで酒田市立酒田病院に搬送される。基本的に山形空港から山形県消防防災航空隊が飛んでくるが、都合により山形県警察航空隊、海上保安庁新潟航空基地所属ヘリ、近傍派遣により新潟県防災ヘリが派遣されることもある。
- 金融機関 - 島内に金融機関は存在しないが、飛島郵便局のATMからお金を引き出すことは可能(ただし、郵便貯金カード以外は所定の手数料がかかる)。
- 商店 - 勝浦集落に雑貨店・食堂・釣具店などがある。
- 宿泊施設 - 旅館・民宿は21軒
- 電話 - 通じている。NTT酒田ビルから無線伝送を行い、島内の無線中継所から有線回線でサービス。
- 携帯電話 - NTT DoCoMoとソフトバンクモバイル、auの携帯電話が使える。
- 放送 - 山形県の放送局は全て受信可能(鶴岡市高館山から)。隣県(秋田・新潟)の放送もほとんどの場所で受信可能。
- 宅配便 - 各社とも荷物の受付は行っており、宛先は島内の住所で届くが、配送員による島内各戸への配達は行っていない。宅配便業者による配達は酒田港までであり、荷物は船で運ばれた後、飛島港預かりになる。港の荷捌業者から連絡を受けた島民が港まで取りに来る方式である。そのため、島民は通信販売の商品代引が受けられない。一方、郵便局員が配達を行っているゆうパックは本土と同じサービスが受けられる為、一部通信販売業者は、通常とは別料金になることをことわった上で、ゆうパックによる配送を行っている。
- ガソリンスタンド - なし。漁船や火力発電所に給油するために給油船が来航する。
- ごみ・し尿 - 島外に搬出。島内に回収業者があり、定期的に回収船で酒田港に輸送。
- 選挙 - 交通の便の問題から、選挙期間中に候補者が来島することはほとんどない。投票は、投票日の3日前までに終了し、2日前に、選挙管理員によりニューとびしまで酒田港に運ばれ、開票まで酒田市選挙管理委員会で封印される。投票箱の輸送の様子は、選挙のたびに地元ニュースで紹介されている。
[編集] 名産品
[編集] 所属自治体
[編集] 関連項目
- 日本の秘境100選
- いきなり!黄金伝説。(テレビ番組) - 濱口優が”離島で屋台0円生活”で飛島を訪れている。
- 27時間テレビ