防衛省職員
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防衛省職員(ぼうえいしょうしょくいん)とは、防衛省に勤務する国家公務員のことである。防衛省の大臣以下の政治任命職と、事務次官以下、常備自衛官・予備自衛官等の自衛官すべてを含む防衛省の職員のすべてがこれにあたる。
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[編集] 定義と区分
防衛省の内部部局(内局)、審議会等、施設等機関、特別の機関、地方支分部局に所属する職員をいい、特別職の国家公務員である防衛大臣以下の政治的任命職、防衛参事官・書記官・部員・事務官・技官等の文官(自衛官以外の職員、いわゆる「背広組」)、自衛官(いわゆる「制服組」)と、一般職の国家公務員である在日米軍基地日本人従業員の労務管理を行う職員がこれに含まれる。また、予備自衛官等の非常勤の官職にある者や防衛大学校・防衛医科大学校の学生も防衛省職員である。
- 国家公務員法第2条第3項第16号以外の規定に基づいて特別職である職員
- 国家公務員法第2条第3項第16号の規定に基づいて特別職である職員(自衛隊員)
- 国家公務員法第2条第3項第16号及び人事院規則1-5第3条第8号の規定に基づいて一般職である職員
- 防衛省地方協力局労務管理課の職員(非常勤職員を含む)
[編集] 地位・待遇
自衛隊法上の自衛隊員である防衛省職員は、国家公務員法第2条第3項第16号の規定に基づいて特別職の国家公務員とされている。以下では、政治的任命職と一般職を除く防衛省の常勤の職員について述べる。
防衛省職員の定員は、自衛官と自衛官以外の者によってそれぞれ別の定めにより管理される。自衛官を除く防衛省職員は、行政機関の職員の定員に関する法律に基づく総定員の枠内にあり、行政機関職員定員令で定員数が決まっているが、自衛官は総定員の枠外で、定員は防衛省設置法に規定されている。
任免、分限、懲戒、服務その他人事管理に関する事項は、自衛隊法第5章に定められている。任命権者は、自衛官と自衛官を除く防衛省本省の職員と防衛施設庁長官は防衛大臣およびその権限を委任された者、防衛施設庁長官と自衛官を除く防衛施設庁の職員は防衛施設庁長官およびその権限を委任された者である。
給与は、防衛省の職員の給与等に関する法律に基づく。同法の規定により、事務次官、参事官、書記官、部員や、自衛官等の給与は同法別表に定める額、事務官、技官、教官は一般職の職員の給与に関する法律に定める額を支給される。
[編集] 採用
防衛省の実施する職員の採用試験は、自衛官募集の各種目において行われる試験と、事務官等を採用する防衛省職員採用I種・II種・III種試験(旧防衛庁職員採用I種・II種・III種試験)がある。
自衛官の主な募集種目は、大卒程度では幹部候補生など、高卒程度では防衛大学校学生、防衛医科大学校学生、航空学生、一般曹候補生、2等陸・海・空士などがある。採用後の職務内容は内部選抜などによって差が生じるが、従来、防衛大学校出身者が最も出世できると言われることが多いようである。
防衛省職員採用試験のうち、I種試験は電子、機械など技術系職種(技官)を採用する試験区分のみを実施しており、行政・法律・経済の事務系職種(事務官)は国家公務員I種試験の合格者から採用される。防衛省職員採用I種試験による技術系職種を採用する機関は、経理装備局、地方協力局などの防衛省本省の内部部局(内局)のみならず、装備本部、技術研究本部などの本省以外の機関にも及ぶのに対して、国家公務員I種試験による事務系職種は内部部局に採用され、職歴の大部分を内局の各部局で重ねることになる(防衛キャリア)。
防衛省職員採用II種・III種試験の採用者については、試験区分の違いがその後の経歴を左右するところは他省庁のII種・III種などと同様である。なお、II種には防衛省特有の区分である語学(英語・中国語・朝鮮語)、国際関係(英語・中国語・朝鮮語)を設けて、自衛官の語学教育、在日米軍等との折衝、海外資料の翻訳や、海外情報の収集・分析などにあてる人材を確保している。