闇金融
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闇金融(やみきんゆう)は、ヤミ金融、ヤミ金、闇金などとも書き、国(財務局)や都道府県に貸金業としての登録を行っていない貸金業者、または、その業務を指す。さらに、貸金業の登録をして違法な高金利を取る業者、または、その業務も闇金融に含める。
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[編集] 概説
貸金業を営む場合は、本来、国や都道府県に貸金業としての登録が必要である。闇金融には、こうした登録を行わず、出資法の制限を超える金利を課したり、人権を無視した取り立て(キリトリ、債権回収業務)を行うもの、または登録はしているが同様の犯罪をおかすものがある。
闇金融は、例えば2万円を貸して10日ごとに1万2000円を利息として支払わせるというような手口が知られている(年利に直すと2190%)。ダイレクトメールや携帯電話などを用いて勧誘したり、スポーツ新聞などに広告を掲載、または電柱などに広告を貼り付ける違法広告も知られている。
当初は非常に低利な融資条件を提示するが、実際に貸す段になると上記のような超高金利を求める、というパターンが多く、保証金などの名目でお金を騙し取り融資をしない融資詐欺(貸します詐欺)もある。
また、主に電機メーカー、自動車メーカー、都市銀行など大手企業、上場企業に酷似した商号(これらの企業とは全く無関係)を名乗って営業を行っていることが多い。
[編集] 闇金融の定義
厳密な定義はなされていないが、下記のいずれかひとつでも該当すれば闇金融に当たるとされている。
- 無登録の業者全て(このとき、金利の高低は無関係。もっとも、年率29.2%の金利や取り立ての制限を守っている業者は皆無である)。
- 登録しているものの、出資法の制限を超える金利を課す業者。
- 登録番号を表示しないか、あるいは登録番号をもっともらしく偽証する業者(090金融は全て非表示。仮に固定電話の番号を表示していても、登録番号を偽証する業者も多い)。
- 電話番号が携帯電話のみ(いわゆる090金融)で、固定電話の番号を表示しない業者(登録には固定電話の番号を有し、また広告で表示しなければならない。携帯電話の番号ではほとんど足がつかず、摘発が極めて困難なため、携帯電話の番号のみによる登録は一切認められない)。
- 「あなたの信用状態では貸せない、しかし○○社なら貸してもらえるかもしれない」などと、別の貸金業者や闇金融を紹介するというものもある。紹介された先で金が借りられたら「それは当社が紹介したから」などと言って紹介料を騙し取るタイプのもの。いわゆる紹介屋。
- 無保証・無担保で多額の金額(数百万~一千万)を低金利(年利数パーセント)で貸し出すといった、一般的にはありえない条件などの誇大広告をしている。
[編集] 闇金融の例
※財務局などから無登録業者として公表、あるいは経営者が摘発されたものの一例。当然ながら社名にある大手企業とは一切無関係である。中には前述のように、大手企業のロゴやイメージカラーを無断で使用したものもある。なお右図にある金融会社もアプラスとは無関係の闇金融である。
- ゼロックス
- 救心
- ワコール
- エーベックス
- 富士通ファイナンス
- 三菱第一信用
- ヤンマークレヂット
- みずほ総合信販
- みずほトラディショナル
- 日本信販ファイナンス
- 三菱重機レンタル
- アリコクレジット
- JOMOファイナンス
- JR東日本信販
- サンケイ信販
- 三井住友ファイナンス
- 日興コーディアルファンド
- JAL信用信販
- 東芝クレジット[1]
また、最近見かけるケースでは、一見、大手消費者金融と全く同じ名称の広告DMに見える郵便物(官製はがきで印刷されることが多い)を使い、書かれているフリーダイヤルに電話をかけると実際は闇金融で違法な取立てに苦しんでいるという事件も多発している。
これらはその金融会社の住所が全く記載されていないか、記載先の住所と消印の郵便局の所在地が明らかに掛け離れている(本社が東京都豊島区と書いてあるのに消印が広島市内や横浜市内の郵便局である等)のと、官製はがきに大手消費者金融の広告をそのまま市販のカラープリンターでカラーコピー印刷をしただけの粗悪なものがほとんどなので区別は可能であるが、大手の消費者金融の広告と勘違いしてしまうケースが多い。
[編集] 闇金融の今後
グレーゾーン金利の撤廃により、消費者金融の審査が厳しくなり、消費者金融で融資を断られた者が闇金融に手を出す事が、懸念されている。 闇金融業者の増殖をおさえるためには、利息制限法の上限を超える金利を無効にするだけでは手ぬるく、貸借契約自体を無効にする(つまり、元金自体の返済の義務をなくし、取立ては恐喝、または詐欺として扱う)以外に無いのではないかと言われている。
闇金融業者は自らが違法行為を行っている認識はあるため、取立ての電話等があった場合、会話を録音した上で、逆に事務所の所在地や代表者の名前等を尋ねたり、警察への通報を匂わせると、それ以後の取立てはとまる場合が多いとする人もいる。なぜならば、それ以上の取立てや自己の所在地等が判明することは闇金業者自体に警察からの捜査が及びかねないこと、闇金業者の貸付が2、3万円程度の場合は、ある種の貸し倒れに対する「リスクヘッジ」ができているからであるという。