郷原信郎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
郷原 信郎(ごうはら のぶお、1955年 - )は、日本の弁護士。桐蔭横浜大学法科大学院教授。島根県松江市生まれ。
目次 |
[編集] 来歴・人物
小学校~中学校は広島県で育つ。島根県立松江南高校、東京大学理学部(地質学)卒業。
大学卒業後、三井鉱山に入社するが1年半で退社し、1980年、司法試験に合格した。
1983年検事任官。以降23年間、検事として犯罪と向き合う。1990年公正取引委員会に出向、談合など企業犯罪が生涯のテーマとなった。広島地検時代に担当した海砂採取を巡る一連の事件は、瀬戸内海での海砂採取全面禁止のきっかけになった。長崎地検時代には、自民党長崎県連の違法献金事件を指揮、政党の政治献金要求を初めて公選法違反罪に問うなど「政治とカネ」の問題を浮き彫りにし全国的に注目された。2003年、東京地検公判部に異動し、捜査の現場から外されたのを機に2006年検事を退官した。
企業法務やコンプライアンスに詳しく、「コンプライアンスとは、単なる法令遵守ではなく、社会的要請に適応することである」という「フルセット・コンプライアンス論」を提唱している。桐蔭横浜大学コンプライアンス研究センター長のほか、ビジネスコンプライアンス検定の監修者など、多くの役職に就任している。
2007年3月、不二家「信頼回復対策会議」議長として一連の問題の原因等を分析し、報告書を発表した。その後、TBS系「みのもんたの朝ズバッ!」が不二家の不祥事特集で不正確な内容を放送した問題について、TBS宛に公開質問状を提出するなど、不二家の信頼を回復し、マスコミ報道の不正を是正する活動を継続している(詳しくは、TBS不二家捏造報道問題を参照)。 また、8月、コムスン第三者委員会副委員長として、同社事業の各法人への承継に関わる。承継先法人の選定について、コンプライアンスの観点からアドバイスを実施した。
2007年12月には、日本経済新聞社が実施した「企業法務・弁護士アンケート調査」<企業法務部門>で6位にランキングされた。
[編集] 略歴
- 1955年 - 島根県松江市に生まれる
- 1977年 - 東京大学理学部卒
- 1983年 - 検事任官
- 1990年 - 公正取引委員会事務局審査部付検事
- 1998年 - 広島地検特別刑事部長
- 1999年 - 法務省法務総合研究所研究官
- 2001年 - 長崎地検次席検事
- 2003年 - 東京地検(八王子支部副部長)
- 2003年9月 - 桐蔭横浜大学大学院特任教授を兼任
- 2004年 - 法務省法務総合研究所総括研究官兼教官に就任
- 2006年 - 検事退官。桐蔭横浜大学法科大学院専任教授、同大学コンプライアンス研究センター専任センター長に就任。
- 2006年9月 - 郷原・米津法律事務所開設。弁護士登録。
- 2006年11月 - 株式会社コンプライアンス・コミュニケーションズ設立。代表取締役就任。
[編集] 主な著書
- 『独占禁止法の日本的構造制裁・措置の座標軸的分析』(清文社、2004年) ISBN 9784433248833
- 『コンプライアンス革命コンプライアンス=法令遵守が招いた企業の危機』 (文芸社、2005年) ISBN 9784286001371
- 『企業法とコンプライアンス』(編著)(東洋経済新報社、2006年) ISBN 9784492532058
- 『入札関連犯罪の理論と実務』(東京法令出版、2006年) ISBN 9784809011283
- 『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮社〈新潮新書〉、2007年) ISBN 9784106101977
- 『社会が医療に求めるもの』(ロングフィールドジャパン、2008年) ISBN 9784903950037