車両長
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
車両長(しゃりょうちょう)
- 鉄道の車両基地などで鉄道車両の点検・検修などを行う車両係員の長。鉄道係員職制(1987年(昭和62年)運輸省令第13号)では「車両に関する業務を掌理し、他の車両係員を監督する」と定められている。
- 車両の長さ。車体長ともいう。鉄道車両では一般的には20mが多い。本項で詳述。
[編集] 鉄道車両の車両長
車両長が長いほど、一両当たりの輸送人数が多い。その路線の輸送力の目安になる。
一方で、小型車は、軸重制限が厳しく急カーブの多い低規格の路線での運用に適している。こうした路線では、大型車だと急カーブで建築限界をはみ出し、ホームなど周囲の工作物に接触する恐れがある。路盤も大型車の軸重に耐えられない場合がある。
このため、低規格路線を持つ地方私鉄(中小私鉄)での小型車採用例(特に、近年は地下鉄用小型車の譲渡)が多い。反面、大手私鉄路線たる京阪京津線や南海高野線(本線級21m車とズームカー17m車の併用)、準大手私鉄の神戸電鉄線等、急カーブ急勾配の多い路線で小型車が採用される。
地下鉄の場合も、トンネル断面が狭いため建築限界が小さいことが多い。さらに道路下に建設される場合が多いため急カーブが多くなる。このため、小型車を採用する路線が多かった。最近でも、小断面のトンネルが使用されるミニ地下鉄では小型車が目立つ。一方で、他の鉄道との相互乗り入れを考慮した路線では、大型車が入線できるよう建築限界を大きめにとってあり、このため、20m前後の大型通勤車が採用される例が多い。
欧米や中韓の標準軌幹線では、通勤車・長距離旅客列車ともに25~26.5m程度の車両が多くみられる。かつて欧州の古典客車を台車交換して日本国内で走行させた例があるが、これは対象車両の車体長が20~22m程度であったために、車体側のごく一部の改造のみで実現したものである。
[編集] 車両長一覧
※長さはおおよそである。
- 27.5m
- ドイツ鉄道の急行用食堂車(WRmh132形など)
- 26.5m
- UIC-X規格、UIC-Z規格で製造された欧州の車両
- 旧西欧圏で国際列車に使用可能な客車(UIC-Y規格で製造されたものを除く)
- ドイツ鉄道の主な客車(旧東ドイツ国鉄所属車両を除く)
- フランス国鉄の中~長距離用主力客車(Corail形やUSI形)
- スイス連邦鉄道の急行用主力客車(IC2000形やEW-IV形)
- 21.5m
- JR各社に現存するほとんどの気動車と客車
- JR貨物の主力コンテナ貨車(コキ100系列、コキ50000形)
- 20m(車体が19.5m)
- 19m
- 18.5m(車体が18m)
- 京王電鉄(井の頭線3000系の現存する車両)
- 18m
- 16.5m
- 都営地下鉄大江戸線
- 14.66m
- 13.5m
- 札幌市営地下鉄南北線(2000形、3000形のみ。5000形は約18m)