貧乏神
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貧乏神(びんぼうがみ)は、取りついた人間やその家族を貧困にする神。日本各地の昔話、随筆、落語などに名が見られる[1]。
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[編集] 概要
基本的には薄汚れた老人の姿で、痩せこけた体で顔色は青ざめ、手に渋団扇を持って悲しそうな表情で現れるが、どんな姿でも怠け者が好きなことには変わりないとされる。
仮にも神なので倒すことはできないが、追い払う方法はないわけではない。新潟では、大晦日の夜に囲炉裏で火を焚くと、貧乏神が熱がって逃げていくが、代わりに暖かさを喜んで福の神がやって来るとされる。囲炉裏にまつわる貧乏神の俗信は多く、愛媛県北宇和郡津島町(現・宇和島市)では囲炉裏の火をやたらと掘ると貧乏神が出るといわれる[1]。
他の説では、取りついた家の人に親切にされていると、福の神に変わるとされる。井原西鶴『日本永代蔵』(祈る印の神の折敷)は、嫌われ者の貧乏神を祭った男が、七草の夜に亭主の枕元にゆるぎ出た貧乏神から「お膳の前に座って食べたのは初めてだ」と大感激されて、そのお礼に金持ちにしてもらったという話である。また、かつて江戸の小石川で、年中貧乏暮しをしていた旗本が年越しの日、これまでずっと貧乏だったが特に悪いことも無かったのは貧乏神の加護によるものだとし、酒や米などを供えて貧乏神を祀り、多少は貧窮を免れて福を分けてもらうよう言ったところ、多少はその利益があったという。この貧乏神は貧乏を福に転じる神とされ、現在では東京都文京区春日北野神社の牛天神の脇に祠が祀られている[1]。
[編集] 信仰
長野県飯田市に貧乏神神社が建立されていて、そこに置かれている貧乏神の木像は拝む為ではなく殴り蹴りするために祀られている。ここでは貧乏神=自分の弱い心とされており、像を殴ったりすることで弱い心を追い出し(ストレス解消?)、プラス思考で物事を考えれば福はやって来ると説いている。
東京都台東区の妙泉寺にも貧乏神の石像(モチーフは桃太郎伝説・電鉄シリーズの貧乏神)が祀られている。この石像は景気回復の願から貧乏神の頭の上に猿が乗る「貧乏が去る(猿)像」と名づけられている。この像は香川県高松市の鬼無駅と長崎県佐世保市の佐世保駅、銚子電気鉄道の仲ノ町駅にも設置されている。また銚子電気鉄道には、笠上黒生駅に「貧乏を取り(鳥)」として頭にキジが乗った像が、犬吠駅に「貧乏が居ぬ(犬)」として頭に犬が乗った像が、猿と時同じくして設置された。
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
- 日本の妖怪一覧
- 桃太郎伝説・桃太郎電鉄シリーズ - 作中に貧乏神が登場するゲーム作品。上記の様に薄汚れた老人の姿ではなく、ゲーム原作者さくまあきらの仕事仲間である榎本一夫をモデルにしたパーマ頭にふんどし一丁という姿。『桃太郎電鉄』には貧乏神の強化版といえる『キングボンビー』というキャラクターも登場する。
- おじゃる丸 - 作中に貧乏神が登場するアニメ作品。この作品では上記のような薄汚れた老人の姿ではなく、つぎはぎだらけの「お手玉」のような姿になっている。
- ゲゲゲの鬼太郎 - 作中に貧乏神が登場する漫画及びアニメ作品。
- かみちゅ - 作中に貧乏神が登場するアニメ作品。
- まんが日本昔ばなし - 作中に貧乏神が登場する昔話が放送されたアニメ作品。
- Mr.オクレ - 吉本興業に所属するお笑い芸人。自身の極貧生活をネタにしたギャグの一つとして、テレビ番組のコントや吉本新喜劇等で、貧乏神の役を演じたことがある。
- 貧乏神(落語)
- 憑神(つきがみ) - 貧乏神・疫病神・死神に取り憑かれる侍が主人公の小説。原作は浅田次郎。同作品は妻夫木聡主演で映画化され、中村橋之助主演で舞台化もされている。貧乏神の役は映画版は西田敏行が、舞台版は升毅が演じている。
- 地獄先生ぬ〜べ〜 - 作中に貧乏神が登場する漫画及びアニメ作品。
- 忍者戦隊カクレンジャー - 作中で現代風にアレンジされた貧乏神が登場する特撮作品。