美女と野獣 (アニメ映画)
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『美女と野獣』(びじょとやじゅう、原題:Beauty and the Beast)は、1991年に制作されたディズニーの長編アニメーション作品である。日本での公開は1992年9月。また、2002年にはアイマックスシアター向けに同作品を作り直して上映している。
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[編集] 備考
アニメ映画史上唯一のアカデミー賞作品賞ノミネート作品(第64回)。また、作曲賞と歌曲賞を受賞。
アメリカでは1992年10月28日にホームビデオが発売され、1週間で700万本、1ヶ月で1420万本という売上記録を達成。同時点で1300万本余を販売していた『ファンタジア』を上回る当時の米国記録を達成した[1]。
日本では1993年9月6日にブエナビスタジャパンからビデオ発売。日本で初めて、セルビデオ(販売用ビデオテープ)のみで100万本を出荷した作品となった[2]。これまでの記録は『ファンタジア』の80万本(レーザーディスクを含めるとミリオンセラー)であった。
アイマックス版では大画面の観覧に耐えるよう、細かい部分で書き足しなどを行っている。また最初の上映時には無かった「人間になりたい」などの家来たちの心情をアニメーション化するなど、一部シーンが追加されている。エンディングテロップもスクロールではなく、全面表示の切り替わりとなっており、アイマックス向けに丁寧に作られていた。それらは後にDVD版として発売された。
ウォルト・ディズニーは生前1950年代からこの作品をアニメ化の構想を練っていた。当時の構想は原作の民話やボーモン夫人の話に近いものだったが、最終的に頓挫している。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] ストーリー
森の奥にある城にとても傲慢な王子が住んでいた。ある日の夜、醜い老女が城を訪ね、一輪のバラをあげるかわりに城に一晩泊めてほしいと頼む。しかし王子はそれを断り、老女がもう一度頼んでも王子は聞く耳を持たず追い返そうとした。するとその瞬間に老女は美しい魔女に変わり、優しい心を持たない王子と、王子をそのように育てた召使いたち、さらにその城全体に魔法をかけてしまう。そして王子は恐ろしい野獣の姿に、召使いたちは家財道具の姿になってしまった。一輪のバラの花を置き、魔女は消えていった。そのバラの花びらが全部散るまでに、王子が人を愛し人に愛されるという「真実の愛」を見つけなければ、王子たちにかけられた魔法が解けることはない…。
一方、街の発明家モーリスの娘、ベルは街一番の美貌の持ち主。読書と空想が大好きな父親想いの娘。父の発明を心から応援するベルに見送られ、ある日モーリスは街の発明大会へ一人向かう。今度こそ一位を獲るのだという希望を胸に。 そんな中、彼女に街一番の狩人ガストンがベルに結婚を申し込む。ところが高慢で意地悪な性格であるガストンは、ベルの気持ちも確かめずに一方的に結婚を迫るのだった。 ガストンの執拗なアタックに疲れてしまったベルは草原を歩く。そこへ、モーリスの馬が慌てた様子で走ってくる。 父に何かあったのでは…と一人父を探しに出かけるのであった。 辿り着いたそこでベルが見たものは…。
[編集] 登場キャラクター
詳細は各キャラクターの記事を参照。
- ベル
- 物語のヒロイン。容姿も心ばせも美しい娘。本の虫で、町の人からは少々風変わりな娘だと思われている。父モーリスがビーストの城で捕らえられ、父の身代わりとして自分が城で暮らすことを決める。そして、短気で乱暴だが根は優しいビーストと次第に心を通わせていく。普段は青と白のロングワンピースを着ている。また、スカートの下にレースをはいていたが、続編「ベルの素敵なプレゼント」でははいていない。(ちなみにミュージカル版では青いショーツをはいていた。)また「ベル」とはフランス語で「可愛い女の子」という意味。
- 野獣(ビースト)
- 呪いをかけられ、醜い野獣の姿となった王子。魔法のバラが全て散るまでに「真実の愛」を見つけなければ、人間の姿に戻ることができない。絶望の内に日を送っていたがベルと城で過ごす内に人間としての感情を取り戻してゆく。イノシシ、クマ、オオカミなどの動物をあわせたデザインになっている。
- チップ
- ポット夫人の子供。呪いでコップの姿になっているが、コップとして使われるとくすぐったがる。ベルを好いていつも傍にいたがる。同じ姿の兄弟が何人もいる。ミュージカル版ではカップの中にコーヒー豆がはいっている。
- フェザーダスター
- ルミエールの恋人。呪いで羽根ばたきの姿になっている。ラストでベルと、人間の姿に戻ったビーストがダンスをしているとき、ルミエールの目の前を通っていく。
- ワードローブ
- 呪いで洋服ダンスの姿になった女性。元の姿は出てきていない。
- モーリス
- ベルの年老いた父で発明家をしている。森で狼に襲われて道に迷い、辿り着いたビーストの城で暖を求めたがビーストに一蹴されて牢屋に入れられる。その後かけつけたベルが代わりに捕らえられたことで半ば強引に解放される。病気で体が弱い。
- ガストン
- ハンサムで力持ちな町のリーダー的存在。狩りの名人で女性にも人気があるが、実際のところは乱暴で教養もあまりなく、ナルシストな男。マッチョな肉体を持ち、一日に玉子を60個も食べている。胸毛が濃い。靴が臭い。自信過剰な態度を厭われているのに力ずくでベルに結婚を迫ったり、ビーストを殺そうとするが、城の屋根から転落して死んでしまう。東京ディズニーランドのイベントにも登場。
- ル・フウ
- ガストンの手下で、いつもガストンについて回っている小太りの男。茶目っ気がありどこか憎めないがガストンの為なら何でもしてしまう。
[編集] キャスト
- ベル:ペイジ・オハラ (吹き替え:伊東恵里)
- ビースト:ロビー・ベンソン (吹き替え:山寺宏一)
- ルミエール:ジェリー・オーバック (吹き替え:江原正士、歌:若江準威知)
- コグスワース:デビッド・オグデン・ステイアーズ (吹き替え:熊倉一雄)
- ポット夫人:アンジェラ・ランズベリー (吹き替え:福田公子、歌:ポプラ)
- チップ:ブラッドレイ・マイケル・ピアース (吹き替え:山口淳史)
- モーリス:レックス・エバーハート (吹き替え:あずさ欣平)
- ガストン:リチャード・ホワイト (吹き替え:松本宰二)
- ル・フウ:ジェス・コルティ (吹き替え:中丸新将)
- ワードローブ:ジョー・アン・ウォーリー(吹き替え:近藤高子、歌:白石圭美)
- フェザーダスター:キミー・ロバートソン(吹き替え:横尾まり)
- ダルク:トニー・ジェイ(吹き替え:渡部猛)
- 本屋:アルヴィン・エプステイン(吹き替え:矢田稔)
- ナレーター:デビッド・オグデン・ステイアーズ (吹き替え:鈴木瑞穂)
[編集] スタッフ
- 制作:ドン・ハーン
- 監督:ゲーリー・トゥルースデイル、カーク・ワイズ
- 製作総指揮:ハワード・アッシュマン
- 脚本:リンダ・ウルバートン
- 作詞:ハワード・アッシュマン、アラン・メンケン
- 作曲:アラン・メンケン (アカデミー作曲賞受賞)
- 主題歌:「Beauty and the Beast」(アカデミー歌曲賞受賞)
[編集] 原作との違い
- この作品は原作の民話やボーモン夫人の美女と野獣とは大きくストーリーが異なり、現代的なフェミニズム要素を含むストーリーになっている。有馬哲夫の著書、『ディズニーの魔法』(新潮社[新潮新書], 2003年)にてこの違いを詳しく記している。原作では試練のもと成長するのはベルであり、外観ではなく中身の大切さを学び美徳に磨きをかけるが、本作では成長するのは野獣であり、粗暴さを改め、女性を尊重して愛することを学ぶ。野獣は心を入れ替えていくのに対し、ガストンは悔い改めないセクシストであるとしている。
- 原作にはガストンのような粗暴な求婚者は存在しないが、ジャン・コクトーの映画「美女と野獣」(1946年)では似たような役割の男性が登場する。
- 原作では「ベル」というのは彼女の本名ではなく、「美女」という意味のあだ名である。本名は作中では明かされない。