生きる (映画)
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生きる |
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監督 | 黒澤明 |
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製作 | 本木莊二郎 |
脚本 | 黒澤明 橋本忍 小国英雄 |
出演者 | 志村喬 金子信雄 関京子 |
音楽 | 早坂文雄 |
撮影 | 中井朝一 |
編集 | 岩下広一 |
公開 | 1952年10月9日 |
上映時間 | 143分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
allcinema | |
IMDb | |
生きる(いきる)は、1952年の日本映画。黒澤明監督作品。志村喬主演。
目次 |
[編集] 概要
数ある黒澤明監督作品の中でも、そのヒューマニズムが頂点に達した作品と評価される名作。時代劇の印象が強い黒澤の、現代劇での代表作である。
その題名通り「生きる」という普遍的なテーマに真っ向から切り込んだ作品であると同時に、官僚・役人への痛烈な皮肉を含むという二面性を持つ作品でもある。志村喬がブランコをこぐシーンは日本映画史上に残る名シーンとしてよく知られている。脚本には、レフ・トルストイの「イワン・イリイチの死」が下敷きにされており、作中にそれを暗示するせりふも盛り込まれている。
1948年の酔いどれ天使に出演以降、1965年の赤ひげまで黒沢映画の看板役者であった三船敏郎が、その期間の間に唯一出演していない作品としても知られている。
黒澤明はもともと東宝の監督だったが、東宝争議の影響で独立プロ「映画芸術協会」を設立し、他社で『野良犬』『羅生門』などを撮り、1951年には松竹で『白痴』を製作した。労働争議が収束した1952年に黒澤は東宝へ戻り、20周年企画の映画として『生きる』を製作した。
黒澤は作中で積極的に流行歌を取り入れているが、「生きる」では作中に絶望した初老の主人公が口ずさむ歌として「ゴンドラの唄」が選ばれた。「ゴンドラの唄」は吉井勇の作詞、中山晋平の作曲で1915年に芸術座の第5回公演ツルゲーネフ「その前夜」の劇中歌として用いられ、のちに流行歌となった。
1953年度のベルリン国際映画祭(第4回)においてベルリン市政府特別賞を受賞した(日本では銀熊賞を受賞したとされることがあるが誤り)[1]。
[編集] ストーリー
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
市役所に勤める渡辺勘治は日々無気力に過ごしていたが、ある日自分が胃ガンで余命が少ないことを知る。絶望の果てに自分の無意味な人生に愕然としていた時、奔放に生きる部下の小田切とよと出会い、力強く生きる姿に心を動かされる。そして無意味に感じていた自分の職場で意味を見つけ、「生きる」ことの意味を取り戻す。
[編集] キャスト
- 志村喬 - 渡邊勘治(市役所市民課長)
- 金子信雄 - 渡邊光男(勘治の長男)
- 関京子 - 渡邊一枝(光男の妻)
- 小堀誠 - 渡邊喜一(勘治の兄)
- 浦辺粂子 - 渡邊たつ(勘治の兄嫁)
- 南美江 - 家政婦
- 小田切みき - 小田切とよ(市役所臨時職員)
- 藤原釜足 - 大野(市民課係長)
- 山田巳之助 - 齋藤(市民課主任)
- 田中春男 - 坂井(市民課職員)
- 左卜全 - 小原(市民課職員)
- 千秋実 - 野口(市民課職員)
- 日守新一 - 木村(市民課職員)
- 中村伸郎 - 市役所助役
- 阿部九洲男 - 市会議員
- 林幹 - 土木部長
- 小川虎之助 - 公園課長
- 清水将夫 - 医師
- 木村功 - 医師の助手
- 渡辺篤 - 患者
- 伊藤雄之助 - 小説家
- 丹阿弥谷津子 - スタンド・バーのマダム
- 永井智雄 - 新聞記者
- 村上冬樹 - 新聞記者
- 青野平義 - 新聞記者
- 宮口精二 - やくざの親分
- 加東大介 - やくざの子分
- 堺左千夫 - やくざの子分(ノンクレジット)
- 広瀬正一 - やくざの子分(ノンクレジット)
- 宇野晃司 - やくざの子分(ノンクレジット)
- 千葉一郎 - 焼香する警官
- 三好栄子 - 陳情の主婦
- 菅井きん - 陳情の主婦
- 谷晃 - 飲み屋の親父
- 長濱藤夫(長浜藤夫) - 公園課職員
- 河崎堅男 - 市役所職員
- 勝本圭一郎 - 市役所職員
- 瀬良明 - 市役所職員
- 光秋次郎 - 市役所幹部(ノンクレジット)
- 鈴木治夫 - 市役所受付職員(ノンクレジット)
- 今井和雄 - 市役所受付職員(ノンクレジット)
- 安芸津宏 - 市役受付所職員(ノンクレジット)
- 津田光男 - 市役所受付職員(ノンクレジット)
- 加藤茂雄 - 市役所受付職員(ノンクレジット)
- 榊田敬二 - 市役所受付職員(ノンクレジット)
- 熊谷二良 - 消防署職員(ノンクレジット)
- 夏木順平 - 病院待合所の患者(ノンクレジット)
- 深見泰三、小島洋々、登山晴子、安雙三枝 - その他
- 以下の3人は、-特別出演-としてクレジットされている。
- 市村俊幸 - ジャズバー・ピアニスト
- 倉本春枝 - ジャズバー・ダンサー
- ラサ・サヤ - ヌード・ダンサー
[編集] 特記事項
- 作中に引用された『トウ・ヤング』『カモナ・マイ・ハウス』などアメリカのポップスの著作権をめぐってトラブルが起こり、リバイバル上映が1974年まで出来なかった
[編集] リメイク
- 松本幸四郎主演。物語の舞台は現代(2007年)に設定されており、それに合わせて一部の登場人物や、終盤にかけての話の流れが変更されている。
[編集] 脚注
- ^ Special Prize of the Senate of Berlin. 参照:山本英司「徒然映画日記 考えるネコ」第61回「生きる」
- ^ 「黒澤明監督の「生きる」が米でリメイク」、ZAKZAK、2002年11月17日
- ^ 「ジム・シェリダン、『生きる』リメイクへ」、シネマトゥデイ、2004年9月15日
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