無冠の帝王
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無冠の帝王(むかんのていおう)とは、賞やタイトルを獲得できていない実力者を指す言葉。
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[編集] 概要
元々は新聞記者をさしていた言葉である。これは、新聞記者は特に地位や権力を有しているわけではないが、決して圧力に屈することはなく、世論を武器に権力者に対抗するという意味から名づけられたものである。
現在では、相当の実力を持ちながらも、その実力に相応しい賞やタイトルを獲得できていない人物を指す言葉となっている。多くの分野で用いられるが、特にスポーツ選手の実力を賞賛するために使われる例が目立つ。一方で肝心なところで勝負強さを発揮できず、賞を取り逃しているということから、やや侮蔑的な意味を込めて使われることもある。元来は新聞記者を賞賛する意味で使われたことを考えると、別の点からも意味が変わった言葉であるといえる。
[編集] 無冠の帝王と呼ばれている人物
[編集] ボクシング
- サム・ラングフォード
- ジョー・メデル
- 串田昇
- 村田英次郎
- トニー・アヤラ
- タノムサク・シスボーベー
- カーロス・リベラ
[編集] 野球
※野球においては首位打者、本塁打王、打点王の打者三冠タイトルを獲得していないが、それらのタイトルを獲得してもおかしくないほどの実績のある選手を指している(その他の打者タイトルやベストナイン、ゴールデングラブ賞、新人王等は除外されている)。
- 現役時代において通算2095安打、331本塁打、1180打点の活躍であったにも拘らず、打者三冠タイトルは一つも獲得できなかった。また、新人王やMVPの獲得経験も無く、同時期に王貞治が現役だったこともありベストナインやゴールデングラブ賞も受賞できなかった。最多安打は2度記録しているが、当時は表彰記録ではなかったため、結局現役時代に獲得したタイトルは一つも無い。
- シーズンMVP(1回)、ベストナイン(6回)、ゴールデングラブ賞(7回)を獲得している。
- ベストナイン(4回)、ゴールデングラブ賞(4回)を獲得している。
- 新人王、ベストナイン(2回)、ゴールデングラブ賞(5回)を獲得している。
- ベストナイン(1回)、ゴールデングラブ賞(6回)を獲得している。
- 選手生活14年目の1975年に本塁打王を獲得したが、日本プロ野球史で無冠の帝王と言えば土井の代名詞である。
[編集] モータースポーツ
- 1955年から1961年にかけ7年連続でランキング3位以内に入るも、チャンピオン獲得はとうとう実現しなかった。1958年に1ポイント差で2位に終わったことをはじめ、1956年には3ポイント差、1959年には5.5ポイント差、と、わずかな得点差でチャンピオンを逃すこともしばしばであった。
- 2007年までにランキング2位を1回、3位を4回記録。無冠で通算13勝は上述のスターリング・モスに次ぐ成績。2008年も現役を続けることが決まっている。
- マルク・アレン
- 1970年代から長年トップチームで活躍したが、1度もドライバーズタイトルを獲得できなかった。特に1986年は、1度タイトルを決めた14日後、多くの問題が起こったイタリアのサンレモラリーが無効となり、ここで優勝していたアレンはその分のポイントを失い、ユハ・カンクネンに破れた。ちなみに、1978年にはFIAドライバーカップを獲得しているが、WRCにドライバーズチャンピオンシップが始まったのは1979年なので、正式なチャンピオンではない。
[編集] プロレス
[編集] K-1
[編集] 競艇
[編集] 競輪
- 国持一洋
- GI(特別競輪)優勝戦で2着6回、3着2回の実績がありながらとうとう優勝まで手に届かず。
[編集] 将棋
- 初タイトルである名人を獲得するまでは、何度も非タイトル戦の棋戦優勝経験はあったが、タイトル獲得がなかったため、「無冠の帝王」と呼ばれていた(名人獲得後は数々のタイトルを獲得し、かつての呼び名は払拭)。
[編集] エンターテインメント
- M-1グランプリの決勝戦に進出した芸人にはキャッチフレーズがつけられる。その中で、第1回大会の決勝戦に進出したDonDokoDonに付けられたキャッチフレーズは「無冠の帝王」であった。これは、DonDokoDonが当時、全国的な知名度があったにもかかわらず、各賞レースなどでは一度も賞を獲ったことが無いことから来ている。(但し、爆笑オンエアバトルのチャンピオン大会において、初代チャンピオンとなっている)