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洪蘭淑 - Wikipedia

洪蘭淑

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

洪蘭淑
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各種表記
ハングル 홍란숙
漢字 洪蘭淑
平仮名
(日本語読み仮名)
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片仮名
(現地語読み仮名)
ホン・ナンスク
ラテン文字転写: Nansook hong
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洪蘭淑(ホン・ナンスク、1966年*月*日~)は韓国人の女性。統一教会(「世界基督教統一神霊協会」)の教祖、文鮮明の後継者候補であった長男、文孝進(ムン・ヒョジン、문효진)と結婚したが、1997年離婚。なお孝進は2008年3月17日に亡くなった。「神の家庭」とされる文鮮明一族の内幕を暴露した告発手記、“IN THE SHADOW OF THE MOONS—My Life in the Reverend sun myung Moon’s family”(邦題『わが父文鮮明の正体』)が内外に波紋を呼んだ。

目次

[編集] 概略

洪蘭淑(ホン・ナンスク)は統一教会の信仰を持つ父・洪性杓(ホン・ソンピョ、홍성표、36家庭[1])と母、柳吉子(ユ・キルジャ)のもとに育つ。両親は教団の幹部で、洪性杓は統一教会の関連企業、「一和製薬(後の「一和」)を立ち上げ、社長を務めた。15歳で、統一教会の教祖文鮮明の長男、文孝進(ムン・ヒョジン)と結婚したが、14年の文家での生活の後に、夫の暴力や不品行に耐えかね、2年間の裁判を闘い、離婚が成立した。その後に、教団側の反対に屈せずに出版した告発手記で、教団の後継者と見られてきた夫が酒、タバコ、麻薬や女性に溺れていること、「再臨のメシア」とされてきた義父、文鮮明の女性問題や、私生児の存在など、「神の家庭」とされてきた文家の偽善的な実態を暴露したこの手記は内外に大きな波紋を呼び、教団を離れる信者が多数出た。同様の告発をアメリカのテレビ番組や新聞等でも行ったが、「統一教会」側からの抗議はなかったと見られる。 コロンビア大学の女子部バーナードカレッジでは芸術科を専攻した[2]。自らの経験を生かし、DV(家庭内暴力)の被害女性達を助けるセンターに勤める[2]。兄も文鮮明の指名で、文鮮明の長女文誉進(ムン・イエジン、문예진)と結婚していたが、離婚し、一家全員は「統一教会」を離れた。

[編集] 告発手記『わが父文鮮明の正体』

原題の“IN THE SHADOW OF THE MOONS”の部分は直訳すると、『月たちの影で』となるが、これは文鮮明の「文」の英語表記である“Moon”と月を意味する“Moon”をかけている。

出版の動機については騙されたという気がしているからと述べている。義父であった文鮮明と元夫であった文孝進について、あまりにも大きな欠陥があるため、神がこの二人を自分の代理人に選ぶことはありえないとわかったとしている。しかし、文鮮明は神を失望させたが、神は自分を失望させなかったとして、神への信仰は持ち続けている。「文一族が霊的に優れているという神話を広めることは恥ずべき欺瞞である。」と語っている。

[編集] 来歴

洪蘭淑『わが父文鮮明の正体』[3]を参照。

XX月XX日 洪性杓と柳吉子(ユ・キルジャ)の第2子として生まれる(7人兄弟)。
公立の小学校に通う。
私立の小学校に入学。毎日ピアノのレッスンに通う。
5月16日 - 兄が文鮮明の長女、文誉進(ムン・イエジン)と結婚。
文鮮明が自身の長女と兄とをマッチング[4]すると伝えられた翌日、式が行われた。統一教会では祝福を受けるまでに3年間会員で新しい会員を3人集め、3年に渡り「蕩減献金」をするなどの条件があるが、兄の式の際には「聖酒式」、「三日行事」などの関連儀式が省略されたことに洪蘭淑は衝撃を受けたという。
11月 文鮮明の邸宅に両親と共に招かれ、長男、文孝進の嫁にほしいと言われる。夕食の席では統一教会信者ではない仏教の巫女、占い師の女性が二人の組み合わせは完璧だと賞賛する。
文孝進(ムン・ヒョジン)とマッチング(結婚の指名)される。
1月3日 ビザ取得のため統一教会が捏造したニューヨークでの国際ピアノ・コンクールを行うという名目でアメリカに入国。
入国の名目がばれないために、文鮮明からピアノ・リサイタルを開くように指示される。
1月7日 アメリカで文孝進(ムン・ヒョジン)と結婚する[5]。ニューヨークのウエストチェスター郡のアービントン(Irvington)にある文鮮明一族の邸宅(通称:イーストガーデン[6])に夫の妹であり、文鮮明の二女、仁進(インジン)の家族と共に住む。
夫と文鮮明の個人的な補佐、ピーター・キムと共に新婚旅行に出かける。フロリダディズニーランドラスベガスを訪れる。ラスベガスで賭け事をしている文鮮明夫妻を見る。
2月 文鮮明の夫人、韓鶴子がお金のかかる私学に反対したため、公立のアービントン高校の10年生に転学。周囲に統一教会との関係を知られないためピーター・キムが後見人になりすまし、結婚の事実を知られないため旧姓を使う。
孝進から別れ話を切り出される。孝進は蘭淑との結婚は望まなかったが両親を喜ばせるためだけ結婚したこと、韓国にいるガールフレンドをあきらめるつもりはないことなどを告げ、黙って韓国のソウルへ旅立つ。蘭淑はその直後に自身の妊娠に気づく。孝進は蘭淑の妊娠を知っても帰国せず、ピーター・キムに、自分たちは法的に結婚していないので自分には何の義務もない、両親が赤ん坊と蘭淑の面倒を見たいなら勝手にしてよい、自分は教会員でないガールフレンドと結婚するつもりであることなどを告げる(p131、p132)。韓国から帰国した孝進は結婚祝いのお金でそのガールフレンドをアメリカに呼び寄せ、マンハッタンに二人で暮らすアパートを借り、両親にそのガールフレンドと結婚するつもりであることを告げる。文鮮明から孝進がそのような事態に至ったのは妻である蘭淑の失敗であると激しく叱責される(p134)。
文夫人が「祈り屋」を連れてタリータウンの軽食堂「デリ」で孝進のガールフレンドと話し合う。手切れ金とカリフォルニア州行きの航空券を渡し手を打つ(p137、138)。
3月 長女を出産。
アービントン高校が蘭淑の長期欠席に疑問を抱くのを恐れた文鮮明により私立の女子高「マスターズ・スクール」に転学させられる。
ニューヨーク大学に入学。
2月13日 長男を出産。
コロンビア大学の女子部バーナードカレッジに転校。
4月 孝進がニューヨーク市オールド・ニューヨーカー・ホテル大宴会上で「劇的なコンフェッション(告白式)」を行う。
10月 三女を出産。
9月24日~ 韓鶴子の「世界平和女性連合」創設大会の日本の講演ツアーに同行。妊娠中であることを隠していた。新札2万ドル(約200万円)を渡され化粧ケースのトレイの下に隠し入国したという。
胎児が死産になってしまう異常が見つかり中絶手術を受ける。
夫、孝進の暴力に命の危険を感じ、アービントン警察に駆け込み、被害届けを出す。
冬 家出するための計画を始める。貯金を貯め、統一教会を去りマサチューセッツ州で暮らす兄と文鮮明の長女に近く(レキシントン)で住居を見つけてもらう。
2月 義父、文鮮明・義母、韓鶴子と共に韓国の伝統である子供の誕生100カ日を祝う(夫、孝進は飲酒とドラッグのため欠席)。
8月8日 夫の暴力、薬物やアルコールの濫用などの様々な不品行に耐えかねて、5人の子供を連れて文家から逃げ出す。イーストガーデンの姉妹達の協力を得て計画していた。マサチューセッツ州のニューヨークのレキシントンに子供たちと移住する。
10月25日 裁判所が孝進に毎月養育費を支払うよう命じる。
12月 孝進の人格とアルコールと薬物乱用を理由に離婚。孝進は薬物乱用の事実を認める。慰謝料の一部支払い(60万ドル)と月ごとの養育費(9千ドル)の継続に同意する[2]。子供たちと文鮮明夫妻の監督付面会には反対しなかった。p284 [3]
ドメスティックバイオレンスの被害女性達を助けるセンターで働き、ロー・スクールで法律を学ぶ[2]
裁判所に孝進が自分に接触することを禁じる「保護命令」を申請する。
9月20日 アメリカのCBSドキュメンタリーテレビ番組’’60 Minutes”で文鮮明一家の偽善性を告発。「文師は決してメシアではないという結論に到逹しました。」「(文師は)詐欺師です。」「これは、文師の家族と15年間生活して得た私の結論です。」と語る。文鮮明の3女、文恩進(ムン・ウンジン、문은진)とヨーロッパの幹部の娘、ドナ・コリンズも共に出演し、同様の告発をする。
10月13日 『タイム』誌のインタビュー記事が掲載される。『わが父文鮮明の正体』 の発売に先立ち、『文藝春秋』11月号では、「文鮮明聖家族の仮面を剥ぐ」 と題してその一部が掲載される。
11月25日 文家の偽善を告発する手記“In The Shadow of Moon”(『わが父文鮮明の正体』)をアメリカと日本で出版。

[編集] 参考文献

  • 洪蘭淑(著) 林四郎(訳)『わが父 文鮮明の正体』(文藝春秋社 1998年11月25日)ISBN 4163546103
  • 朴正華 『六マリアの悲劇―真のサタンは、文鮮明だ!!』(恒友出版 1993年ISBN 4765230732
  • 郷路征記 『統一協会マインドコントロールのすべて―人はどのようにして文鮮明の奴隷になるのか』(教育史料出版会 1993年) ISBN 4876522502 弁護士である著者が多数の統一教会の元信者からの聞き取りから、教団が行う「マインド・コントロール」による教化の詳細を説明。)
  • 南哲史 『マインド・コントロールされていた私―統一教会脱会者の手記』(日本キリスト教団出版局 1996年ISBN 4818402516
  • スティーヴン(スティーヴ)・ハッサン(浅見定雄訳)『マインド・コントロールの恐怖』(恒友出版 1993年)ISBN 4765230716

[編集] 出典

  1. ^ 統一教会では草創期から現在まで、教祖、文鮮明が信者の男女を夫婦として組み合わせる、いわゆる「合同結婚式」を行っており、36家庭とは1960年の最初の3組と翌1961年の33組のカップルを合わせて呼ぶものであり、統一教会の幹部を形成している。
  2. ^ a b c d CBS60 Minutes1998年9月20日放送
  3. ^ a b 洪蘭淑(著) 林四郎(訳) 『わが父 文鮮明の正体』(文藝春秋社 1998年11月25日)
  4. ^ 文鮮明が夫婦となる男女を組み合わせること。文鮮明は人の性格、運命、血統的因縁などを見抜く力を持っているとされている。
  5. ^ この時、15歳だった洪蘭淑はニューヨーク州が定める結婚の法定年齢に1歳満たなかったので、法的には結婚できなかったが、蘭淑自身はそれを知らなかった
  6. ^ “East garden”は「東の園」『旧約聖書』においてが人類を住まわせた「エデン」の園を意味する名前

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク


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