民放TV全国四波化方針
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民放TV全国四波化方針(みんぽうてれびぜんこくよんぱかほうしん)は、1986年1月17日に当時の郵政省(現:総務省)が打ち出した情報格差是正施策である。
[編集] 概要
民放TV電波割り当て計画の中で1982年制定の初期基本方針を一部修正。「全国各地における(民放)受信機会平等の実現を図る」という項目に「一般放送事業者(民放TV局)による最低4の放送が受信可能となること」という文言を追加。「全国47都道府県全ての民放TV局を最低四つにする(JNN・NNN・FNN・ANN、以上の民放TV4大ネットワークを全て揃える)」という計画を明示した。
1986年に示された第一段階においては青森・秋田・岩手・山形・富山・石川・長崎、以上の7地区に第3局目の周波数を割り当てる方針が決定されている。
[編集] 現状
上記の施策によって今日まで実際に民放TVが4局化された地区は(上記記載中)岩手・山形・石川・長崎の4県のみで、残りの地区は3局止まりとなった。なおこれ以外にも'80年代後半から'90年代前半にかけて全国各地で3局目・4局目の民放TV局が相次いで新規開局している(TXN系列及び独立UHF局の開局は除く)。
しかし、視聴率競争やスポンサー獲得合戦の熾烈化によって(「負け組」となった若年局が)経営難に陥るケースが増加したことから、この施策はさくらんぼテレビジョン(山形4番目の局)と高知さんさんテレビ(高知3番目の局)、以上FNN系2局の開局を最後に1997年4月1日、事実上終息した。
なお、現在民放TV4局未満となっている地区は13地区14県である(3局地区:青森・秋田・富山・鳥取&島根・山口・高知・大分・沖縄の8地区9県。2局地区:山梨・福井・宮崎の3県。1局地区:徳島・佐賀の2県)。
これら民放TV4局未満となっている県にはもともと民放テレビ局4局を維持できる人口、経済力を持ち合わせていない県もある上に、在京キー局のBS進出、デジタル化による設備投資額の増加、景気低迷による新局開局意欲の低下から、上記地区での民放4波化は地上デジタル完全以降後の電波帯域に空きが生まれた場合でも、鳥取県・島根県、岡山県・香川県のような電波相互乗り入れや放送業務の一部を琉球放送に委託している琉球朝日放送のような1局2波が認められない限り非常に困難な状況である。
補足だが、中京広域圏、近畿広域圏のテレビ放送局は民放TV4大ネットワーク体制となっている。うち、近畿広域圏のテレビ放送局は親局が全てVHF波である。ほかに、民放TV4大ネットワークのVHF局で親局が1ch、11chの局が存在し、また地上デジタル放送のリモコンキーIDが1chの局がある。
※注1:鳥取・島根両県は過疎地域の為2県を合わせて単一の放送区域としている(1972年10月1日より実施。その後岡山・香川両県の民放TVも電波事情から1979年より2県を合わせて単一の放送区域としている)。
※注2:山梨県、富山県、福井県、鳥取県、島根県、山口県、徳島県、大分県、佐賀県は近隣県の民放TV局を直接受信、ケーブルテレビ、共聴設備で視聴可能な地域が多いため、視聴可能な民放TVは実質4波以上となっている。