ニュース系列
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ニュース系列とは、日本の民間放送における、ニュース取材および情報の相互流通を行う放送局の系列関係をいう。
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[編集] 系列
左が系列名で、( )内はキー局。
[編集] 歴史
1959年8月、当時東京のラジオ東京(現東京放送)が、大阪の朝日放送(1975年より毎日放送が加盟し、同局は、ANNに変更。)・名古屋の中部日本放送・福岡のRKB毎日放送・北海道の北海道放送等計16局と結んだニュース協定のJNNが嚆矢とされる。
その後、1966年4月に日本テレビ系列がNNN、1966年10月にフジテレビ系列がFNN、1974年4月に当時の日本教育テレビ⇒テレビ朝日系列がANNというニュース協定を各地の地方局と結ぶことになった(ANNニュースそのものは1970年1月よりスタートしていた)。
テレビ東京がキー局となっているTXNはニュース協定を含んでいないため、ニュース系列ではない。
[編集] 特徴
東京を中心とした関東広域圏を放送対象地域とするキー局にとって、地方のニュース取材は負担が重い。また、系列局にとっては東京でのニュースを必須とする。この事情から、
- 系列間でニュース映像の交換(配信)を行う。
- ニュース系列名を冠したニュースは全国での放送とする。
- 系列外へのニュース配信を行ってはいけない(排他協定)。
の3点を目的とした局間ネットワークが組まれていった。排他協定は他系列が混じることによる品質の低下を防ぐためにJNNが当初から盛り込んでいたもので、ほかのニュース系列では盛り込まれていないものもある。その地域の放送局が少なく複数の系列に属する場合は「クロスネット」というが、平成に入ってから新たに開局した放送局が増えたため少なくなっている。
またニュース以外のドラマなどの各種番組についても、このニュース系列のネットワーク各局で放送されることが多い(フジテレビ系列の番組供給ネットワークはFNS・日本テレビ系列の番組供給ネットワークはNNSという別名称で呼ばれている)。
尚、JNN基幹局などを見てもわかるように、札幌・東京・名古屋・大阪・福岡のテレビ局(NNN、FNNでは仙台・広島も含む)はその系列の基幹局であり、ニュース系列で大きな力を持つ。
[編集] 批判
本来は、独立した放送局として、ニュースの相互配信を目的とするものであったが、現在では地方局は、番組制作までもキー局に深く依存し、地方局の番組製作は停滞し、ただ東京の番組を放送させるだけで電波料・ネットワーク費が貰え、番組を制作しなくても収入になる。もはやこれは共生ではなく寄生で癒着であると、放送局の在り方として批判されている。しかし今まで総務省がキー局を優遇(関東広域免許での全国放送の黙認など)してきた経緯もあり、単に地方局を切り捨てることもできない状況にあり、情報の格差論とも呼応する。また現行の放送制度で全国放送を活用したい企業の思惑もある。